大学生のうちにフリーランスを目指す!そのためのヒントはこれ!

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大学生の皆さんは在学中に何をしますか?卒業したらどうしますか?多くの学生が企業に就職することをゴールとしているのではないでしょうか。ところが、本当は自由に働きたかったという声が会社員になってから聞こえてくるのが現実です。今は「会社と一生を過ごす」「骨をうずめる」は死語になっている時代です。

そこで働き方の一つとしてフリーランスがあります。会社も安泰ではないので正直何が正解かはありませんが、個人の力が必要な時代であることは事実として受け止めておきたいものです。そこで今回は未経験の大学生が在学中にフリーランスになるためのヒントと、いいこと悪いこともひっくるめて紹介していく記事になっています。

目次

大学生でもフリーランスになれる?

もちろんなれますが、簡単に捉えていると失敗します。確かに将来リスクという点にスポット当てれば会社員も同じことですが、違うとすればそのリスクの度合いです。ここではフリーランスの実情をふまえてみましょう。

まだ希少種のフリーランス

日本における労働人口の10%にも満たない約400万人がフリーランスであることがわかっています。そのうち25歳未満のフリーランスはなんと1%未満です(※1)。学生の割合はさらに低いですから、まだレアケースであることも事実です。一方、この中に入ることができれば、ゆくゆくは起業するなんてことも充分あり得るのです。
※1:フリーランス協会「フリーランス白書2023

会社員と何が違うのか

一番の違いは会社として責任をとれるか否かです。仮に新人が失敗してもカバーしてくれる先輩や上司がいる、つまり簡単な言葉で表すと代えが利きます。これが会社です。一方フリーランスの場合はひとりのため代えが利きません。カバーするのもすべて自分ひとりです。もちろん新入社員が失敗したら自分でどうにかするという気持ちは大切ですが、限界があるのが現実です。プロが何人もいるのとプロがひとりしかいないというのは、クライアントにとって安心感の大きさが違います。これは日本が組織のための教育をやってきているからです。したがって、例えば仕事のスピード感であったり、質を極めたりすることで組織ではできない対応力を身につければ大いにチャンスはあるとも考えられます。

フリーランスの平均年収

フリーランス全体の年収における中央値は約200万円です。会社員の約450万円と比べると低いように感じます。これはフリーランスが副業系と独立(本業)系に分かれており、自然と年収が低くなる副業系に引っ張られているからです。独立系フリーランスだけで見ると約400万円、副業系フリーランスは200万円未満です。特にフリーランスの中で高収入なのが技術系やコンサルタントです。この中の約8割が400万円以上を稼いでいます。次いでWeb系の中では約5割が400万円以上を稼いでいます。当然ながらスキルや資格が必要な仕事ほど収入が高い傾向にあります。

未経験から学生フリーランスになるには?

Web関連のスキルやプログラミング(エンジニア、プログラマー)関連のスキルがないと正直厳しい世界です。WebデザインやWeb製作のスキル、プログラミング言語のスキルなどあった方がよいでしょう。しかし、幼い頃から好きが高じて専門的な知識を身につけている人は別として、誰しも最初は未経験という点は同じです。まずは自分ができることは何か、何で稼ぎたいかを探してみましょう。

最低限やっておくべきこと

業界や目指すものに関わらず基本としてこれらだけはやっておきましょう。

 ✔︎パソコン
 ✔︎ビジネスマナー
 ✔︎インターン(推奨)

①パソコン

大学の専攻によってはレポートを書くだけだったり、それほどパソコンに接しずに卒業することもあります。フリーランスになるとパソコンは必須です。ひとりで何でもこなしていく必要があるからです。例えばGoogleドキュメント、スプレッドシートひとつとっても、ネットワーク経由でのやりとりが前提となっているため、単に文字や絵を入力するだけでは済まなくなってきています。コワーキング用のツールは溢れかえっているため何が流行りでどう使われることがあるかは知っておくと良いでしょう。

②ビジネスマナー

アルバイトで接客業を経験されている方はご理解いただけると思いますが、マナーに欠ける行為は相手との信用を失いかねません。基本のビジネスマナーとして「自分の素性を明らかにして連絡先を交換する」「かっこよさではなく清潔感を優先する」「相手の都合に配慮する」「感情的にならない」「迷ったり問題が発生したらすぐに相談する」を心がけましょう。そして「学生なので」という言葉は禁句です。クライアントがいる以上誰に何を言われようとプロなんです。

③インターン(推奨)

必須ではないですが、選んだ業種で社会人経験を一足先に経験するには近道かもしれません。例えばライティングなどWeb系は経験させてくれる企業が多くなってきています。また、どうしてもフリーランスと会社員は比べられがちですから、会社員とはどのようなものかを感じ取り、双方の良い点を活かせるといいですね。

まず試してみる

何でも試してみることはフリーランスにとって重要です。例えばどちらの仕事にしようか決めかねている人も、自分が本当に向いているか自信がない人も含めてまずはやってみましょう。自分の市場価値を把握するというのは案件を獲得するためのひとつの指針になります。

 ✔︎副業から始める
 ✔︎セミナーに行く

①副業から始める

まずは自分で案件をとる練習をします。そのためにクラウドソーシングを活用して営業活動をしましょう。クラウドソーシングとはクライアントがワーカーを公募できるインターネット上のコミュニティです。運営側は仲介手数料として発注金額の5〜20%を差し引いているのが一般的です。フリーランスになってもクラウドソーシングを使ったり、SNSを活用して直接売り込みを行なったりします。特にSNSは活況で、自分を売り込むために見せ方を無限に工夫できることがメリットです。はじめは単価の安い案件しか請けられませんが、確実に実績になります。

②セミナーに行く

同じ業界の人とつながるチャンスです。困ったときに相談できそうな人を探せる場所です。セミナーの内容をとにかくインプットすることも大事ですが、そればかりになってなかなか前へ進めない人も多くいます。ここは、セミナーへ行く目的をもう一つ増やしてみてはいかがでしょうか。

大学生がフリーランスになるメリット・デメリット

意外にもメリットが目立つ大学生フリーランス。スキルの壁はありますが、経験することで得られることのほうが多いのは事実です。

デメリット

 ✔︎学業に割く時間が減る
 ✔︎社会的信用度が低い

①学業に割く時間が減る

大学は卒業しておくのか、学業のウェイトを下げてでもやりたい仕事のプロになってフリーランスになりたいのか。学費を自分で払っていない人にとっては学業のウェイトを下げるというのは難しいでしょう。しかし覚悟があるという人にとってはデメリットという捉え方にはならないかもしれません。

②社会的信用度が低い

今後もずっとフリーランスで続けていく場合、社会的信用度は会社員より低くなることはお伝えしておきます。中には学生というだけで案件を断られる場合もあります。しつこいようですがあくまでもプロなので本来ならあってはならないことですが残念ながら、現実は厳しいものです。他にはローンやクレジットカードの審査が通りにくい傾向にあります。例えば会社員と比較すると収入(月収)の安定性という点でリスクがより少ないのは会社員という解釈に基づきます。

メリット

 ✔︎アルバイトよりも稼げる可能性がある
 ✔︎まとまった時間が作れる
 ✔︎やり直しがきく
 ✔︎コネクションができる

①アルバイトよりも稼げる可能性がある

場所や時間を選ばない分、効率よく稼げることです。また、時給や日給と違い、仕事の質が高ければそれに見合った価値を買ってくれる人がいることです。そのため質を高めたり量をこなせばこなすほど報酬は右肩上がりになります。

②ビジネスの経験値を上げられる

自分で仕事をとって、打ち合わせをして、報酬をいただき、収支を管理して税金を納める。一連の流れを経験できることはアルバイトや会社員では経験できないことです。会社員と比べると拘束時間が少ないため経験値を上げるスピードは速いと言えるでしょう。

③やり直しがきく

覚悟が足りないと言われればそれまでですが、とは言っても逃げ道をつくっておくのもひとつの手です。最悪の場合、フリーランスがうまくいかず失敗しても、就職活動(就活)をすれば社会に出ることは可能です。就職活動の際にフリーランスとしてトライした経験を利用しましょう。

④コネクションができる

仕事で人脈を広げられることは今後の人生において大きな武器になります。会社員の場合、人脈ができたとしてもそれは個人ではなく対会社として繋がっていることに過ぎませんし範囲は限られます。ところがフリーランスの場合は、繋がれたのは個人の力であり、様々な経営者やプロと接する機会が格段に増えます。営業も自分でやらなければならないのは正直大変ですが、その分得られるものは大きいでしょう。

大学生がフリーランスになるときの注意点

アルバイトとは違ってフリーランスは事情が違います。そこで特に注意しなければならない点を紹介します。お金に関することもあるので知っておいて損はありません。

 ✔︎確定申告が必要になる
 ✔︎扶養から外れることもある
 ✔︎責任の重さが会社と同じ
 ✔︎常に学ぶ姿勢を忘れない

①確定申告が必要になる

収入を得た場合は所得税の納税が義務になります。年収から経費や控除を引いた額つまり課税所得額で所得税が決まります。控除は、申告者全員に対する基礎控除(所得額2,400万円以下の場合、48万円)、青色申告を行う場合は青色申特別告控除(最高65万円)、また所得額が75万円以下の場合に限り勤労学生控除(27万円)があります。(※2、※3、※4)

売上 − 経費 − 控除 = 課税所得(所得)

このとき課税所得が20万円を超えたら確定申告をしないといけません。フリーランスとして最低限の税金の勉強をしておきましょう。いくらスキルがあっても、税金の知識が皆無では節税できません。

※2:国税庁「No.1199 基礎控除
※3:国税庁「No.2072 青色申告特別控除
※4:国税庁「No.1175 勤労学生控除

②扶養から外れ確定申告が必要になる

扶養とは給与収入のある人が家族を養うことです。たいていの場合は大学生は親の扶養家族になっていることが多いです。親が扶養控除として申告しているなら、大学生(12月31日時点で19歳以上、23歳未満の者)のフリーランスの場合、特定扶養親族となり所得額48万円を超えると親の扶養から外れることになります(※5)。結果的に親の税負担が増えたり、会社から家族手当を支給されている親ならそれがなくなることになりますから扶養が外れる場合は必ず伝えておきましょう。

※5:国税庁「No.1180 扶養控除

③責任の重さを感じながらやる

会社とは違い、クライアントが相手にしているのはあなただけです。特に体調管理がしっかりしていないと、トラブルの対応さえできなくなり元も子もありません。締切を守れなかった場合は約束を破ったことになり、クライアントとの信用問題になりかねません。アルバイトとは比べものにならないということを意識しておきましょう。

④常に学ぶ姿勢を忘れない

悔しいですが学生というハンデを埋めるには学ぶしかありません。単に授業を聞いて学ぶこととは全く違いますから、自分が好きで選んだ仕事に関することであれば学ぶことがきっと好きになるでしょう。もし困ったときに指導してくれる人(師匠)、相談できる人は見つけておきましょう。フリーランスエージェントに登録するのもありです。

大学生でもインボイスは必要なのか?

2022年10月からはじまったインボイス制度。大学生がフリーランスとして働く場合もインボイス制度への登録は必要なのでしょうか?

インボイス制度の概要

仕入税額控除とは?

インボイス制度の概要を説明する前に、消費税の説明を少しだけいたします。

たとえば、A工場がB商社へ税抜き1,000円で商品を売ったとします。このとき、B商社はA工場に対して、代金に加えて消費税100円(税率10%)を支払います。そして、B商社がC小売店に同じ商品を税抜き2,000円で売ったとします(価格設定は簡単のため。利益率の大小は無視)。このときC小売店はB商社に、代金に加えて消費税200円を支払います。

そして、A工場は預かった消費税100円を国に納めます。このときB商社は同様に消費税200円を納めるのでしょうか?答えはNOです。B商社はたしかにC小売店から200円の消費税を預かっていますが、その前にA工場に100円の消費税を払っています。つまり、B商社が国に納める消費税額は両者の差である100円になります。

これを「仕入税額控除」といいます。インボイス制度がはじまる前までは個人事業主や事業者は誰でも仕入税額控除ができました。しかし、インボイス制度開始後に仕入税額控除をするためには、インボイスに登録して「適格請求書発行事業者」になる必要があります。

仕入税額控除ができないとどうなるのか?

インボイス制度開始後は、適格請求書発行事業者が発行する請求書等がないと仕入税額控除ができなくなります。その場合、どのような問題が起きるのでしょうか?例えば先ほどのB商社の例を見てみましょう。

B商社は消費税100円を払って、消費税200円を受け取っていた(預かっていた)ため、国に納めるのは両者の差である100円でした。しかし、ここでC小売店がインボイス登録していなかったとしましょう。そうなるとC小売店が適格請求書を発行できないため、B商社がC小売店に払った消費税額を証明できず、B商社は国に200円の消費税を納めないといけません。

免税事業者と消費税納税義務

それでは全事業者が適格請求書発行事業者になればよいのでは?と思うかもしれませんが、免税事業者という制度がネックになってきます。

課税売上が1,000万円以下の事業者は消費税を納めなくてよいという制度(特例)があるのです(※6)。しかし、インボイスに登録するとこの制度が適用されなくなり、課税売上1,000万円以下の事業者も消費税の納税義務が発生します。

つまり、課税売上1,000万円以下の事業者からすると、次の2つの選択を迫られることになるのです。

  • インボイス制度に登録して消費税を支払う(取引先は仕入税額控除ができる)
  •    〃   に登録せずこれまで通り消費税を支払わない(取引先は仕入税額控除ができない)

前者の場合は、取引先の負担は増えませんが、自身の負担が増えます。反対に、後者の場合は自身の負担は増えませんが、取引先の負担が増えてしまいます。そのため、契約を打ち切られたり、新規の契約が難しくなる場合もあります。

もちろん、一方的に契約を打ち切るようなことをしないよう国は事業者にアナウンスしていますが、現場レベルまで本当にそれが浸透しているかは疑問です。

※6:国税庁「No.6501 納税義務の免除

インボイス制度への登録は自由

前置きが長くなりましたが、インボイス制度は登録してもしなくても、自身あるいは取引先にデメリットがある制度なのです。これらの条件を踏まえたうえで、インボイス制度に登録するかはフリーランスの自由です。例ではB卸売やC小売店とたとえましたが、Bフリーランス、C小売店(SaaSや外注先のこともある)と考えればよいでしょう。

インボイス制度に限らず社会に出ると権利と責任が「対になった条件」として存在することは多々あるもの。すべて自分の都合のよいようにはいきません。社会の制度を正しく理解して、自分にとってどちらが有利か(あるいはどの方法が有利か)、検討して決断しないといけないのです。

中には「私はどちらを選べばよいのか?」と他人に答えを求める方がいるかもしれません。しかし、誰も答えは持っていません。あなたの答えはあなた自身で出すべきなのです。たとえば、就職活動をするときに入社する会社を他人に決めてもらう人はいませんよね?インボイス制度への登録もこれと同じようなものです。

登録するのか、登録しないのか。どちらが良い・悪いではなく、フリーランスならすべて自分の責任で判断する必要があるのです。

稼ぐ必要がないなら登録しなくてよい

とはいえ、上記のような内容だけ言われても判断に困るでしょう。そこで、インボイス登録を迷っている方へヒントをお伝えします。

前述の通り、インボイス登録をしないと契約を打ち切られたり、新規契約を取りづらかったりする懸念があります。しかし、クライアントの中にはインボイス制度の登録の有無に関係なく契約を結んでくれる場合もあるでしょう。ただし、このような事業者は少数派になるのではないかと予想されます。

そのため、稼ぐ必要がないのならインボイス制度へ登録しなくてよいでしょう。「フリーランスを体験してみたいだけ」とか「就職活動の自己PRの話題になればいい」くらいに思っている人はインボイス登録すべきではありません。消費税の計算・納税というデメリットばかり目立ってしまってメリットがないでしょう。

新規クライアントを開拓したいなら、登録した方がよい

一方、フリーランスとして稼ぐと心が決まっているのなら、インボイスに登録した方がよいでしょう。適格請求書を発行できた方がクライアントは助かりますし、クライアントからも「インボイスに登録しているということは、本格的に稼働している」と信用を得られるかもしれません。

もちろん消費税の分だけ納税額が増えるため、目先の利益は減るでしょう。消費税の計算・納税という仕事も発生してしまいます。しかし、中長期的に見るとさまざまなクライアントに信用してもらい、多くの案件を獲得できるかもしれません。

自分がフリーランスとしてどのように活動したいのか、どのくらい稼ぎたいのか、なぜインボイスに登録するのか、とよく考えてから結論を出すようにしましょう。

登録後に取り消すことも可能

インボイスに登録したあと、「やはり免税事業者の方がよかった」と後悔することもあるでしょう。そのようなときには、登録の取り消しができます(※7)。ただし、課税期間の初日から効力を無効にしようとすると、課税期間の初日から数えて15日前の日までの届け出が必要です。ちなみにフリーランス(個人事業主)の場合、課税期間は1月1日から12月31日までになります。仮に2024年1月1日から効力を無効化したい場合には、2023年12月17日までに届け出が必要で、この日を過ぎた場合、効力を無効化できるのは2025年1月1日になりますので注意して下さい。

※7:国税庁「D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める手続

まとめ

クライアントからすれば相手はプロ。大学生であることは無関係な環境です。ただし、一歩間違えれば大学生という点を突いてくる可能性もあるのです。無計画に飛び込むことだけは避けましょう。また、スキルを元々持っている人を除いては、先にスキルを習得しないと正直厳しい世界だと言いましたが、本当に自分の好きなこと・得意なことは何かを発見できる機会でもあります。そのまま将来も仕事を続けていければやりがいしかありませんね。まずは少しずつ案件をとっていくことから始めて、理想とするフリーランスをこれから目指しましょう!

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