フリーランスが支払う税金にはどのような種類があるの?住民税やその他の税金について一通り解説

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会社員からフリーランスに転向して戸惑うことは多くありますが、その一つが納税です。

この記事ではフリーランスが納める住民税について解説しています。住民税以外の税金や、節税方法についても触れていますので、会社員からフリーランスに転向しようと思っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

フリーランスにおける住民税について解説

はじめに住民税の概要と徴収方法について解説します。

住民税の概要

住民税は住んでいる市町村に納める税金で、都道府県民税と市町村税の総称です。都民税や市民税という言い方もありますが、同じものを指しています。

金額は1年間の課税所得に応じて決まる所得割と、自治体に住んでいるだけで発生する均等割があり、その合計額が住民税として徴収されるのです。

住民税の徴収方法

会社員の場合、住民税は月々の給与から天引きされます。天引きされた住民税は、納税者に代わって勤務先の会社が従業員の居住している自治体に納税するのです。これを特別徴収といいます。

一方、フリーランスは普通徴収のため自ら納税する必要があります。毎年3月に確定申告を行い、課税所得に応じて自治体が住民税の金額を決定します。なお、住民税の金額や内容は毎年6月頃に自治体から届く「納税通知書」にて確認できます。

フリーランスの住民税は控除を受けることができるか

前述の通り住民税は課税所得に応じて決まります。課税所得は「売上 − 経費 − 控除」により計算されるため、控除額が高いほど住民税が安くなります(経費については後述)。

住民税の所得控除

基礎控除

課税所得2,500万円以下の人全員が対象となる控除です(※1)。多くのフリーランスが対象となるはずです。

※1:国税庁「No.1199 基礎控除

配偶者控除

配偶者がいる人で、配偶者の課税所得が48万円以下の場合に対象となります(※2)。控除金額は13万〜48万円の間で段階的に変化します。

※2:国税庁「No.1191 配偶者控除

配偶者特別控除

配偶者がいるフリーランスで、配偶者の課税所得が48万円以上133万円以下の場合に対象となります。控除金額は1万〜38万円の間で段階的に変化します(※3)。

※3:国税庁「No.1195 配偶者特別控除

扶養控除

扶養家族がいるフリーランスで、扶養家族の課税所得が48万円以下の場合に対象となります(※4)。控除金額は38万〜58万円の間で段階的に変化します。

※4:国税庁「No.1180 扶養控除

雑損控除

自然災害や盗難・横領によって資産に損失が出た場合に対象となる控除です(※5)。控除金額は指定の計算方法により決まります。ただし、詐欺や恐喝による資産の損失については対象外となるため、注意して下さい。

※5:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

医療費控除

納税者本人を含み、生計をともにする親族が1年間で10万円を超える医療費(窓口負担額)を支払った場合に対象となります(※6)。控除金額は指定の計算方法により決まります。

※6:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

社会保険料控除

国民健康保険料(健康保険料を含む)や国民年金保険料(厚生年金を含む)、介護保険料を支払っている人が対象で、支払った全額が控除対象となります(※7)。生計を共にする親族の社会保険料も控除可能です。

※7:国税庁「No.1130 社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済掛金や確定拠出年金(企業型及び個人型)を支払っている人が対象となります(※8)。1年間の支払額全額が控除となります。

※8:国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除

生命保険控除

生命保険や個人年金、介護医療保険を支払っている人が対象となります(※9)。控除金額は指定の計算方法により決まります。

※9:国税庁「No.1140 生命保険料控除

地震保険料控除

地震保険などの損害保険料を支払っている人が対象となります(※10)。控除金額は指定の計算方法により決まりますが、最高額は50,000円と決まっています。

※10:国税庁「No.1145 地震保険料控除

寄付金控除

国や地方自治体、それに特定NPO法人に寄付した人が対象となります(※11)。ふるさと納税も寄附控除の対象です。控除金額は指定の計算方法により決まります。

※11:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)

障害者控除

納税者本人や、生計を共にする親族が障がい者認定を受けている場合に対象となります(※12)。控除される金額は障がい者区分により異なりますが、27万〜75万円となります。

※12:国税庁「No.1160 障害者控除

寡婦(夫)・ひとり親控除

配偶者と死別した人(寡婦・寡夫)やひとり親が対象となります(※13、※14)。控除額は寡婦・寡夫:27万円、ひとり親:35万円となっています。

※13:国税庁「No.1170 寡婦控除

※14:国税庁「No.1171 ひとり親控除

勤労学生控除

納税者本人が勤労学生(働きながら学校に通う人)に該当する場合に対象となります(※15)。控除金額は27万円です。

※15:国税庁「No.1175 勤労学生控除

住民税の税額控除

住宅ローン控除

住宅ローンを組んで住宅の購入や増築、あるいは新築した人が対象となります(※16)。ただし、課税所得2,000万円以下、住宅の床面積50㎡以上という条件があるため注意して下さい。また、投資用など自ら居住しない場合は適用外となります。

※16:国土交通省「住宅ローン減税

外国税控除

日本国外で所得税などを納税している人が対象となります(※17)。二重課税を防ぐための控除で、控除金額は指定の計算方法により決まります。

※17:国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除

災害減免額控除

自然災害などで住宅や資産に損害を受けた人が対象となります(※18)。控除金額は被災状況や所得金額により異なるため、注意が必要です。

※18:国税庁「No.8004 災害を受けたときの所得税の取扱い

配当控除

利子所得や配当所得がある人が対象となります(※19)。控除金額は指定の計算方法により決まります。

※19:国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)

フリーランスが支払うべき税金・社会保険料の種類

フリーランスが支払うべき税金・社会保険料には、大きく分けて次の八種類があります。

住民税

1年間の課税所得に応じて支払いますが、課税所得が45万円以下なら課税されません(※20)。ただし、次に紹介する所得税がゼロの場合でも住民税を支払う場合もあります。

※20:東京都主税局「個人住民税

所得税

1年間の課税所得に応じて支払いますが、課税所得が48万円以下なら課税されません(※21)。

※21:東京都武蔵野市「所得税は非課税でしたが住民税は課税になりました 非課税となる基準が異なりますか

個人事業税(対象業種のみ)

特定の事業を行った場合に3〜5%の税金がかかります(※22)。事業を行ううえで利用した公共サービスに対する税金で、対象業種と税率は※21を参照してください。なお、この税金は経費計上可能です。ただし、最大290万円の控除があります。

※22:東京都主税局「個人事業税

消費税

消費税は事業者の種類によって課税義務の有無が異なります。インボイス制度に登録せず、前々年度の売上が1,000万円以下の免税事業者は消費税の納入義務がありません。

一方、インボイス制度に登録しなくても前々年度の売上が1,000万円を超える人、あるいは前々年度の売上が1,000万円以下でもインボイス制度に登録した人は課税事業者として消費税の納税義務があります(※23)。

消費税の控除には条件があり、インボイス制度に登録した課税事業者が同様にインボイス制度に課税事業者から消費税を受け取った場合のみとなります。また、課税事業者は赤字でも消費税の納税義務が発生するため注意が必要です。

※23:国税庁「消費税のしくみ

固定資産税

固定資産(住宅や土地あるいは償却資産など)にかかる税金(※24)で、事業に使用している部分については家事按分して計上可能です。

※24:総務省「固定資産税

自動車税・自動車重量税

自動車を保有している場合にかかる税金です。自動車税(※25)は毎年かかり、自動車重量税(※26)は車検時にかかります。事業で自動車を使用する場合は、家事按分して計上可能です。

※25:国土交通省「自動車税

※26:国税庁「No.7192 自動車重量税のあらまし

国民保険料

国民保険料は各自治体が運営する国民健康保険に加入する人が対象で(※27)、自治体によって金額が異なります。ただし、フリーランスでも会社員時代の健康保険を任意継続で利用していたり、特定業種を対象とした健康保険(文芸美術国民健康保険組合など)に加入している場合は、その保険組合に保険料を支払います(全額が控除対象)。

※27:厚生労働省「国民健康保険制度

国民年金保険料

国民年金保険料は20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる公的年金制度です(※28)。金額は一律であり、全額控除できます。

※28:日本年金機構「国民年金保険料

フリーランスにおける効果的な節税方法

フリーランスにはいくつか効果的な節税方法があります。

まず青色申告をe-taxで行うと青色申告特別控除(65万円)を利用できます。その他、事業にかかる支出はすべて経費として計上できるため、家賃や交流会費、新聞・書籍や携帯・インターネット代などが経費の対象となります。作業を外注した場合にかかる外注費も、もちろん経費計上できるので、確定申告の際には一緒に計算しましょう。

まとめ

この記事では住民税をはじめとするフリーランスが支払う税金と控除対象について解説しました。フリーランスが支払う税金は多々ありますが、青色申告特別控除や経費など会社員には使えない節税方法があります。

残念ながら住民税は控除の対象となりませんが、他の控除や経費を活用して正しく賢く納税しましょう。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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