知らなかったら損?フリーランスとして独立する前に準備するべきことについて解説!

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フリーランスになる前に!必要な手続きを確認

フリーランスで働くには特定の資格は必要ありませんが、事前の下準備が必要です。
必要な手続き等については下記にて詳しく解説します。

会社で働いている間に、フリーランスとして独立すると、どのくらい移行期間が必要なのかを含め計画を練ることが大事です。転職ならある程度予想がつくかもしれませんが、独立となるとなかなか分かりづらいものです。

短期的な計画でもかまいませんので、計画を組んで実行する場合とそうでない場合ではフリーランスとして独立できる成功率に大きな差が出るでしょう。

「お金の準備」と「書類・印鑑の準備」

当たり前の話ですが、フリーランスとして働く場合、どうしても準備資金が必要となります。
フリーランスで働く形態は様々ですが、一例として、パソコンを買い替えてネット環境を整備して30万円かかるとすれば、準備資金としての費用となるのです。

また、書類や印鑑は必要となることがあります。
フリーランス開業における仕事用の口座に使用する印鑑、実績を証明するためのポートフォリオをまとめた書類や資料の準備は欠かせません。なお、開業届を提出すれば屋号で銀行口座を作成できます。

「信用の必要性」について理解しておく

フリーランスにおける「信用の必要性」について3つの項目に分けて紹介します。

クレジットカードの作成

クレジットカードをまだ作成していない人は、フリーランスとして独立する前に作るようにしておくことをおすすめします。
理由としては「収入の信用性」が大きく問われるからです。

フリーランスとして独立してからクレジットカードを作成しようとすると、職業欄に「フリーランス」という項目がないことが多く、「自営業」と記載せざるを得ません。

収入面で不安定な要素の強いフリーランスの状態で、クレジットカードの審査が通る可能性は会社員時代より低くなってしまいます。

必要に応じて転居

会社員時代に寮生活を送っている人にとっては、会社を辞めてフリーランスに転向する際に転居しなければなりません。

実は転居する場合、不動産会社への信用がなければ転居できない可能性があります。
敷金や礼金などが必要で職業欄に「フリーランス」と記入した時に、転居を断る不動産会社が中にはいるからです。

会社員であれば給料の手取り額のコピーを見せれば、「金銭的信用」を相手に与えるので、転居のハードルが下がります。

また、後述にて詳しく説明しますが、開業届に記載する住所が必要な場合があって転居する人もいます。
会社の寮で生活を送っている住所では開業届を出せないからです。

任意で民間保険への加入

フリーランスは個人事業主に該当されることから、何かあった時のために民間の保険に加入しておく必要性があります。

保険に入っておくと、万が一仕事ができない状態となったら、上限はあるものの入院費が1日1万円支給される保険やケガをして仕事ができない時の一時金の支給を保険で賄うことが可能です。

フリーランスの場合、働けない状態が続くとその間は無収入となりますので、会社員とは大きな違いがあります。

あくまで民間保険への加入は任意ですので、状況に応じて必要があれば加入しておくと良いでしょう。ただし、民間保険は税金が投入される公的保険に比べて費用対効果は悪くなります。なぜ民間保険に加入する必要があるのか?公的保険や所有の資産だけでは本当に賄えないのか?よく検討してから加入するようにしましょう。

会社を退職したら必要になる申請

下準備ができていよいよフリーランスに移行する際に、これまで勤めていた会社に退職届を出します。

退職したら必要な申請とは何かについて説明します。

厚生年金から国民年金への切り替え

会社員の時だと厚生年金に加入している場合がほとんどだと思われますが、退職した日に厚生年金から外れてしまいます。
基本的に退職した人から14日以内に国民年金への加入が必要です。(ケースバイケースでやむを得ない事情がある人は除く)

できるだけ早めに、お住まいから最寄りの市役所や町村役場か年金事務所で移行の手続きをしておきましょう。会社員を辞めると勤めていた会社から離職票が発行されます。国民年金は離職を理由に支払いの一部、あるいは全部が免除される可能性があります。詳しくはお近くの年金事務所か、お住まいの自治体の市役所に確認して下さい。

国民健康保険への移行

会社員として働いていた時は会社の健康保険、いわゆる社会保険に加入していて、費用の一部を負担して何かケガや病気になった場合にクリニックや病院で利用できます。

どうしても国民健康保険の加入に抵抗がある方は、2年間限定となりますが、前の会社で入っていた健康保険に継続して加入することも可能です。また、一部の職種だけが加入できる文芸美術国民健康保険(文美国保)もあります。

ポートフォリオやキャリアの整理

フリーランスとして独立する前に、業種によってはポートフォリオの作成が必要となることがあります。

ここでは詳しく解説しませんが、エージェント型の紹介サイトに登録する際に、これまでの自分自身が携わってきた企業の職種における業務内容や実績をまとめ、ポートフォリオを作成しておかないと仕事が獲得できない恐れがあるのです。

また、キャリアの整理を行っておくと、フリーランスで活躍する方向性が見えてきやすくなります。学生時代の研究内容や会社での実績をまとめておくと、思わぬところから仕事の依頼がくることもあるでしょう。

さらにポートフォリオを作成しておくと「自分自身を売り込む材料」となりますので、知識として覚えてきましょう。

仕事用アドレス、SNS、名刺を活用しよう!

フリーランスで活動するなら仕事用アドレスは必要不可欠です。

例えば、クラウドワークスというクラウドソーシングサイトに登録する際に、連絡用メールアドレスが必要となります。

有名なところとしてはGmailやヤフーメールなどが挙げられます。

また、SNSを駆使すれば、仕事の増加へとつなげることが可能です。

本名を公開する必要性はありませんが、フリーランスとしての活動名、先ほどのクラウドワークスを例に取ると、クラウドワークス名をそのままSNS名として、仕事の活動を紹介するか、簡単なポートフォリオを載せるなどをしてアピールします。

すると、SNSを見たクライアントから連絡が来て直接的に仕事が舞い込むことがあるのです。

名刺は作成して手元に持っておくと良いでしょう。

直接やり取りする機会があった場合、自分がフリーランスとしてどのような「活動」をしているのかアピールする材料となるので、名刺を配った時に新たな人脈が生まれる可能性を秘めています。

本名を出すかどうかは意見が別れるところでしょう。しかし、少なくとも名刺は本名で作ったほうが良いかもしれません。「ビジネスの基本は顔を合わせて本名を名乗って」という考え方は、まだまだ根強く残っています。本名を出すのは、そういった基本的なことで仕事のチャンスを失わないようにするコツの一つです。「仕事のチャンスを失ってでも本名で仕事したくない」という人は別ですが。

フリーランスに開業届は必要?

開業届とは個人事業を開設したときに税務署に提出する書類です。なぜフリーランスとして活動する際に開業届が必要なのか2つの項目を設けて説明いたします。

開業届を出すことで個人事業主としてスタートできる

会社員時代に副業の一環として、Webデザインの仕事や会計の仕事、情報処理などフリーランスにつながる仕事を経験している人がいるかと思いますが、これらの仕事を本業としてやっていくからには開業届を出した方がお得です。

開業届を出すことで、税務署に申請すると個人事業主として認められます。

一般的に開業届は、開業した日から1ヶ月以内に届けることとなっていますので、注意が必要です。

青色申告承認申請書で税金の優遇措置を受けられる

開業から2か月以内に青色申告承認申請書を提出すれば、青色申告が開業した年から認められ、白色申告よりも税務上の制度で優遇されるメリットがあるのです。

最大で65万円の控除が受けられますが、複式簿記(複合仕訳)で売り上げや経費などを記帳しなければならないので、10万円の控除となる記帳しやすい簡易簿記で済ませる人もいます。しかし、会計ソフトを使用すれば簿記の知識のない人でも青色申告の帳簿付けに対応できます。控除額が大きいのは非常にありがたいこと。事業所得が黒字でも控除を加味して課税所得が赤字になれば、国民健康保険料の所得割の金額がゼロになり、結果的に保険料が大幅に減額されます。また、所得税や住民税を支払う必要がなくなります。しかも、青色申告を選択すれば赤字を3年間繰り越せるため、次年度以降も節税効果があるのです。

インボイスに登録したほうがよいのか?

令和5(2023)年10月1日からインボイス制度がスタートしました。しかし、インボイス制度はやや難しい仕組みです。ここでは消費税やインボイス制度の概要、そしてインボイスに登録したほうがよいのか解説いたします。

消費税の仕組み

そもそも消費税とは何でしょうか?

私たちは商品やサービスを購入するとき、商品の代金に加えて10%(一部品目は8%)の税金を払っています。これが消費税です。

消費税は最終的に国に納めることになります。しかし、消費者が直接国に納めると手続きや処理が煩雑になります。そのため、消費者が払った消費税を預かった事業者(店舗など)が、まとめて国に消費税を納めるのです。

ある飲食店を例にしましょう。そのお店ではお客さんに料理を提供した際、代金と消費税をお客さんからもらいます。しかし、その消費税すべてを国に納める必要はありません。

その飲食店はお客さんに提供する料理の材料を問屋から買っています。そのとき、問屋に対して購入した材料(商品)の代金にかかる消費税を払っているのです。そのため、この飲食店が国に納める消費税は、お客さんからもらった消費税から問屋に払った消費税を引いた金額となります(仕入税額控除)。

消費者は商品やサービスを購入した際、必ず消費税を払わないといけません。しかし、すべての事業者が消費税を国に納めてなくてはならないわけではありません。

消費税を国に納める事業者のことを「課税事業者」といいます。一方、前々年度の売上高が1,000万円以下の事業者のことを「免税事業者」といい、免税事業者は消費税の納税が免除されます。免税事業者の場合、本来なら納める消費税が事実上の利益になるのです。これを「益税」といいます。

インボイス制度の概要

インボイス制度の開始前は、どのような事業者が発行した領収書や請求書でも仕入税額控除ができました。しかし、インボイス制度開始後はインボイスに登録した適格請求書発行事業者が発行する領収書や請求書がないと、仕入税額控除ができないのです。

ここで2人のフリーランスを例に見てみましょう。適格請求書発行事業者であるAさんと免税事業者であるBさんがいたとします。両者は同じクライアントC(法人)と契約を結んで働いており、クライアントCのお客さんがD(法人)とします。

クライアントCが納める消費税額を計算するときは、お客さんDからもらった消費税額から、フリーランスAやBに払った消費税額を引いて納税額を計算します。フリーランスAは適格請求書発行事業者であるため、クライアントCはフリーランスAに払った消費税額を控除できます。しかし、フリーランスBは免税事業者のため、実際には消費税を払っているにもかかわらず、消費税の計算においては控除できないのです。すると、クライアントCはフリーランスBに消費税を払ううえ同額を国に納めないとならず、重複して負担する必要があるのです。

  • 開始前:クライアントCが納める消費税=お客さんDに払った消費税−フリーランスA及びBに払った消費税
  • 開始後:クライアントCが納める消費税=お客さんDに払った消費税−フリーランスAに払った消費税のみ

適格請求書発行事業者になるとどうなるか?

フリーランスAはインボイス制度開始を機に、適格請求書発行事業者になりました。そのため、クライアントCからするとありがたいものです。しかし、フリーランスAにはどのような変化があるのでしょうか?

適格請求書発行事業者になると、Tからはじめる13桁の適格請求書発行事業者番号(以下、登録番号)が付与されます。それ以降、請求書には登録番号を含む一定の内容を記載したうえで、それを適格請求書として発行するのです。指定のフォーマットはありませんので、既存の請求書に所定の項目を追加するだけで構いません。このように、適格請求書発行事業者になると請求書の記載項目が変わります。

制度の名称には「適格請求書等」とあるように、請求書だけでなく領収書にも上記条件が適用されます。ただし、既存の領収書と別途適格請求書の条件を満たした明細を添付するといった対応も可能です。

次に消費税の納税義務が発生します。インボイス制度開始前は前々年度の売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納税が免除されていました。しかし、適格請求書発行事業者になると売上高に関係なく消費税の納税義務が発生するのです。

消費税の計算方法と特例制度

納税する消費税の計算方法はこれまでと変わりません。飲食店の例の通り消費税の差額を計算する一般課税と、売上にかかる消費税にみなし税率をかけて計算する簡易課税があります(※1)。どちらの方が納税額が少ないかは、各事業者が判断することになります。しかし、簡易課税を選んだ場合、結果的に本則課税より多い納税額になっても、納めた消費税は返還されません。

インボイス制度開始直後にはさまざまな特例制度があります。たとえば、売上にかかる消費税額の2割を納める2割特例(※2)や、課税事業者が免税事業者と引き続き取引する際に、税額の一部を控除できる経過措置(※3)もあります。

※1:国税庁「消費税のしくみ

※2:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要

※3:国税庁「インボイス制度とは ~事業者の方が消費税を正確に納めていただくために必要な制度です~

インボイスに登録したほうがよいのか?

インボイス制度への登録は任意です。登録して適格請求書発行事業者になるのか、免税事業者のままでいるのかを決めるのはあなたです。

適格請求書発行事業者になると消費税納税のため、金銭的な負担が大きくなります。そのため、免税事業者のままいる方が得だと考えるフリーランスの方もいるかもしれません。しかし、これはあくまでもフリーランス目線。クライアントからするとフリーランス適格請求書発行事業者になってくれないと、仕入税額控除ができないのです。そのため、実力が同程度のフリーランスAとBがいた場合、適格請求書発行事業者であるAに発注したくなるかもしれません。

フリーランスの中には、声高々にインボイス制度に反対している方もいるでしょう。その理由の一つに消費税分だけ利益が減ることを挙げています。中には「インボイス制度が開始されると廃業を検討しないといけない」というような意見もあったかもしれません。しかし、消費税分(=10%。実際は支払いがあるためそれ以下)の負担が増えただけで廃業を検討しないといけないようなら、はじめからビジネスとして成り立っていないのではないでしょうか?フリーランスは、どのような状況になっても社会的に生き残っていく力が必要です。その判断材料としてこの記事を参考にして下さい。

確定申告に向けて書類を保管しておこう!

毎年確定申告の時期に、経費を裏付ける書類や売上のデータなどはきちんと関連付けて保管してまとめておきましょう。

保管義務は申告した年月日から青色申告の場合7年間、白色申告の場合5年間となっています。
場合によっては、税務署に提出を求められることもあるので保管には細心の注意を払いましょう。

また、確定申告を行う際に無料で利用できるソフトがあるので、経費などの計算を一手に引き受けてくれます。

フリーランスに転向すると、確定申告は欠かせないので、必要な書類が揃っているのかどうか確認しておくことが必要です。

なお、確定申告は、少なくともはじめのうちは自分でやるようにしましょう。税理士に依頼したり相談したりするのもよいですが、当然費用がかかります。また、はじめから税理士に依頼してしまうと確定申告の内容を理解できないまま依頼することになるでしょう。

独立前にしっかり準備しておくことが大切

以上のことから、フリーランスとして独立するのであれば、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。

何も考えないでいきなりフリーランスとして活動しようとしてもうまくいきません。

フリーランスで活動していく方法として、何をしなければならないのか事前に情報を整理しつつ、さらに自分自身の仕事における実績をポートフォリオの作成という形でまとめておくと良いでしょう。

また、転居しなければならない場合は、アパートやマンションなどの賃貸契約を行い、開業届を届出る時に、拠点となる住所を設ける必要があります。

開業届を出すタイミングと同時に、可能であれば後々税金の控除で優遇措置を受けられる青色申告承認申請書を提出しておきましょう。この記事を見て、フリーランスに転向したいと思った方は今できる準備をきちんと行ってから実行に移すと良いでしょう。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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