海外旅行×フリーランス!?海外ノマドの魅力と注意点

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日本にはさまざまなフリーランスが存在しますが、その中には世界各国を転々としながらフリーランスとして活動している方々もいます。彼らは海外ノマド(海外ノマドワーカー)と呼ばれています。

この記事では、海外でフリーランスとして働きたい方向けに、一時期注目を集めた(今はある程度ブームが落ち着いているようですが)海外ノマドの魅力や注意点などを解説します。働きながら海外経験を積みたい方やフリーランスとしてどのように生きようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

海外ノマドの魅力とは?

海外ノマドの魅力としては、以下の3つが挙げられます。

・好きなタイミングで旅行できる

・出費を抑えつつ稼げる

・その国の雰囲気を実感できる

それぞれどのようなものなのか、1つずつ見ていきましょう。

魅力1.好きなタイミングで旅行できる

フリーランスの場合、自分で仕事の量や作業時間などを決められます。そのため、好きなタイミングで海外旅行を楽しむことができ、仕事をしながら世界一周といったこともできます。

好きなタイミングで旅行できるというのは非常に大きなメリットであり、ゴールデンウィークや夏休み期間など多くの観光客が集まりそうな時期を避けて観光できます。航空券やホテル代もピーク時を避ければ安く予約できる可能性が高くなるため、コストを抑えて旅をできるという点も魅力的なポイントです。

魅力2.出費を抑えつつ稼げる

ビザさえ取得して日本より物価の安い国でフリーランスとして仕事すれば、食費や家賃などの出費を抑えて稼げます。例えばアジアの場合、屋台料理がリーズナブルな価格で食べられます。

出費を抑えられる点に関しては、まだ稼ぎが安定していない駆け出しフリーランスにとって魅力的なポイントでしょう。そのため、物価の安い国で長期的滞在してフリーランスとしての実力をつけるという流れもおすすめです。

魅力3.その国の雰囲気を実感できる

海外ノマドの場合は長期的に1つの国に滞在できることから、その国の雰囲気を実感できます。観光とは違った視点でその国の生活を感じられるからこそ、「いつか海外で住みたい!」と考えている方にもおすすめです。1つの国に長く滞在してみることで現地の方々と触れ合えるチャンスが高まります。

海外ノマドになる上での注意点

海外ノマドは魅力的なライフスタイルの1つと思うかもしれませんが、実際になる際にはいくつかの注意点があります。簡単にまとめると以下の通りです。

・英語が話せないと思うように楽しめない

・なんとなくだと飽きやすい

・インターネット環境や仕事量で渡航しにくい国もある

・時差に振り回される可能性がある

それぞれどのようなことなのか、1つずつ見ていきましょう。

注意点1.英語がわからないと思うように楽しめない

海外を楽しむ上では、英語は欠かせないツールです。折角のチャンスを「英語が話せないから」という理由で逃してしまう恐れがあります。

その他にも、美術館や博物館の説明が理解できなかったり、スタッフからの英語での説明が理解できずに何をすればよいのかわからなかったりといったことも挙げられます。英語が使えないと全く海外を楽しめないというわけではありませんが、英語がわかったほうが旅行の満足度も高まりやすくなるでしょう。

注意点2.なんとなくだと飽きやすい

海外ノマドとして世界各地を旅するのであれば、何らかの目的や目標を持っておくのがおすすめです。なんとなくで海外ノマドとなってしまうと、飽きやすくなってしまいます。

目的や目標に関しては、どのようなものでも問題ありません。「この国に行ってみたい!」「この国でこの職種で働きたい!」というものでもOKであるため、海外ノマドが気になっている方は目的や目標を考えてみましょう。

注意点3.インターネット環境がよくなく渡航しにくい国もある

海外ノマドとなればさまざまな国に行きやすくなるとはいえ、その国のインターネット環境によっては渡航しにくくなる国も生まれるでしょう。特に発展途上国の場合はインターネットが十分に整っていない可能性があるため、思うように仕事ができない可能性があります。

また、国によってインターネット規制を設けているところもあります。もしさまざまな国を旅したいのであれば、あらかじめVPNを導入しておくのがおすすめです。

注意点4.時差に振り回される可能性がある

海外ノマドとして活動するためには、時差にも注意しなくてはなりません。東南アジアの場合はそこまで問題ないかもしれませんが、南米や北米などにいる場合には時差が大きな問題となってしまうでしょう。そのためにも、きちんと日本の時間が何時なのか把握しておくことが大切です。

海外ノマドになる前に準備すること

海外ノマドは誰でもすぐにできるものではなく、いくつかの準備が必要です。楽しい海外ノマド生活を目指すためにも、以下の準備をしておきましょう。

フルリモートで働ける仕事の獲得

海外ノマドの場合はフルリモートで働ける仕事でお金を稼ぐことになります。主な仕事としては、Webライターや動画編集者、プログラマーなどが挙げられます。

特におすすめなのかプログラマーであり、数多くの案件がそろっている上に現在需要が高い職業であるため、海外ノマドとして安定的に稼げるでしょう。実際にフリーランスとして活動している方の中には会社(企業)でプログラミングを学んで独立した方も多いため、いきなりフリーランスとなるのではなく、まずは会社員でスキルを習得した上で海外ノマドとして独立するのも良いでしょう。

海外ノマドとして必要なものの用意

海外ノマドとして旅行するためには、さまざまなものが必要になります。その中でも最低限用意すべきものとして、以下のようなものが挙げられます。

・PC

・スマートフォン

・充電器

・衣類や下着

・薬(風邪薬やかゆみ止めなど)

・パスポート

・変換プラグ

基本的に海外ノマドの場合、そこまで多くの荷物を持って旅しないことが特徴です。理由として、生活に必要なものは現地で購入できるためです。特にミニマリストのような日頃から必要最低限のもので生活している方だと、荷物を少なくしやすいかもしれません。

英語力

別の項目で述べたように、英語力は海外ノマドとして旅する上で持っておきたいツールです。そのため、あらかじめ海外ノマドとして旅をする前にある程度話せるスキルを持っておきましょう。

とはいっても、最初は中学生レベルの英語力で問題ありません。理由としては、観光で利用する英語のほとんどは中学生レベルの文法や単語で通じるケースがほとんどであるためです。

ただ、せっかく海外旅行を旅するのであれば、その国の現地の言葉を少しでも学んでおくのがおすすめです。そうすることで現地の人と交流しやすくなります。また、レストランのメニューを見てどのような料理なのか想像しやすくなるのも、現地の言葉を学ぶちょっとしたメリットです。

海外旅行保険の加入

万が一のことを考えて、海外旅行保険に加入しておくことも忘れないようにしましょう。国によっては日本と比べて衛生管理や交通がきちんと整備されていないところもあり、急な病気や事故で病院を利用することになるかもしれません。

場合によっては高額な医療費がかかる可能性もあるため、海外ノマドとして世界各地を旅するのであれば、必ず加入しておくことをおすすめします。

海外ノマドはどのように確定申告する?

海外ノマドはどのように確定申告すればよいのでしょうか?ここではさまざまなケースに応じて解説いたします。

基本的に日本に滞在している場合

一口に海外ノマドと言っても、どの程度海外で活動するかは人それぞれ。中には1年のうち数か月だけ海外で活動し、残りの期間は日本国内に住んでいる人もいるでしょう。この場合は、日本国内で確定申告をすることになります。開業届など必要な書類を提出し、事業年度(1月〜12月)の翌年の2月中旬から3月中旬までの定められた期間に確定申告を済ませるようにしましょう。

日本に住んでいない場合(非居住者)

日本の所得税法では、国内に「住所」を有して引き続き1年以上「居所」を有する個人のことを居住者といいます(※1)。そのため、日本に居住する期間が上記以下の場合は、非居住者となる場合があります。非居住者かどうかは、次の条件も踏まえて総合的に判断されるようです。

  • 住民票の有無
  • 滞在日数
  • 国籍
  • 職業
  • 家族が住んでいる場所
  • 資産がある場所 など

※1:国税庁「No.2875 居住者と非居住者の区分

国内源泉所得とは?

非居住者でも次のような所得がある場合は「国内源泉所得」とみなされ、日本への納税義務が発生することがあります(※2)。

  • 日本国内の事業所から得る所得
  • 日本国債や日本法人の債権利子
  • 日本国内の不動産収入
  • 著作権使用料やその譲渡対価

海外ノマドの場合、働いている場所は海外でも日本のクライアント(企業)から仕事を受注している人は多くいるでしょう。あるいは、著作権を保有しており、その権利料をもらっている場合もあるでしょう。このような仕事からの所得にかかる税金は、日本へ納税する必要があるのです。

※2:国税庁「No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)

国内源泉所得があると、必ず日本で確定申告しないといけないのか?

国内源泉所得があっても、必ず日本で確定申告しないといけない訳ではありません。国内源泉所得のうち源泉分離課税にあたるものは、確定申告しなくてよいのです。

源泉分離課税とは、ほかの所得と分離してそれ単体で課税するもので、源泉徴収をもって課税が完了するものです(※3)。源泉分離課税の対象となるのは次のような所得です。

  • 利子所得に該当する利子等(総合課税または申告分離課税の対象とならないもの)
  • 私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配にかかる配当
  • 私募公社債等運用投資信託の収益の分配にかかる配当
  • 懸賞金付預貯金等の懸賞金等
  • 金融類似商品の補填金等
  • 一定の割引債の償還差益

株式や債券を所有している場合、あるいは投資信託やFX取引により所得がある場合などは上記に該当することがあります。

※3:国税庁「No.2230 源泉分離課税制度

現地での納税は必要か?

日本に納税する以外の部分については、現地での納税が必要な場合もあります。詳細は活動する国や地域の行政期間に問合せて確認してみてください。

しかし、複数の国を放浪するように移り住んでいる場合、海外での納税が難しい場合があります。その際は、日本で確定申告するようにしてください。なお、複数の滞在地がある人の居住者・非居住者の確認は国税庁のサイト(※4)で行って下さい。

※4:国税庁「No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)

海外ノマドが確定申告するには、どのようにすればよいか?

居住者の場合

居住者の場合は、ほかの納税者と同様にe-Taxを利用して確定申告、及び納税ができます。日本国内にいる場合はもちろん、海外にいる場合でも利用できますので安心して下さい。e-Taxを利用するにはPCやスマートフォン、マイナンバーカード、ICカードリーダー(又はマイナンバーカードを読み取れるスマートフォン)が必要です。

非居住者の場合

非居住者の場合はe-Taxを利用したオンラインでの確定申告はできません。そのため、非居住者の場合は納税管理人を専任する必要があるのです(※5)。納税管理人とは非居住者に代わって日本国内で納税に関する手続きを代行する人のことです。日本国内に居住する個人や、日本国内に事業所のある法人が納税管理人になれますが、税理士と契約できる程度に経済的な余裕がある場合は税理士を納税管理人にするほうがよいでしょう。日本の最新の納税情報を教えてくれるだけでなく、確定申告書の作成から依頼できます。

ちなみに税理士資格のない人に確定申告書の作成を依頼すると、税理士法違反となります(※6)。確定申告書の作成を依頼する場合は、必ず相手が税理士資格を持っていることを確認してから行いましょう。

その他、判断に迷うことがあれば国税庁(※7)に問い合わせてみてください。

※5:国税庁「A1-7 所得税・消費税の納税管理人の選任届出又は解任届出手続

※6:国税庁「6 税理士法違反行為

※7:国税庁「国税に関するご相談について

その他、海外ノマドに関するQ&A

海外転出届を提出すべきか?

海外での滞在期間が1年以上となる場合は海外転出届を提出する必要があります。しかし、海外転出届を提出しても滞在期間が1年未満の場合は居住者という扱いになり、前述の通り日本で確定申告をする必要があります。

国民健康保険の支払いはどうなるか?

海外転出届を提出しなければ国民健康保険に加入したままとなります。そのため、保険料の支払い義務は生じますが、帰国時には保険証を利用して病院で治療を受けられるのです。しかし、海外転出届をしてしまうと国民健康保険料の支払いは任意となります。保険料を納めない場合は帰国時に保険を利用できませんので注意して下さい。なお、脱退前の保険証が手元にあって使用すると不正利用となりますので絶対にしないでください。

国民年金の支払いはどうなるか?

居住者の場合は年金の支払い義務が生じます。非居住者の場合、支払いは任意となりますが老後に受給できる年金額に影響が出るでしょう。

住民税の支払いはどうなるか?

収入のある国の税制度の従って納税することになります。現地クライアントからのみ収入がある場合は現地のルールに従い、国内源泉所得など国内のクライアントから収入がある場合は、日本で確定申告する必要があります。日本で確定申告し、一定以上の所得がある場合は日本で居住する自治体に住民税を支払うことになります。

海外在住で確定申告未申告の場合、どうなるか?

居住地にある日本の税務当局、あるいは現地の税務当局から納税催促を受けることがあります。居住地によらず納税そのものは必要なことです。

マイナンバーカードはどうなるのか?

海外転出届を提出するとマイナンバーカードが無効になり、返却する必要があります。海外転出届はお住まいの自治体の窓口で行いますが、そのときに一緒にマイナンバーカードを持参することで返却の手続きが可能です。ただし、この手続きはマイナンバーカードの機能を無効化するものであり、カードそのものは手元に戻ってきます。帰国後、ふたたびマイナンバーカードを有効化するときに必要ですので、大切に保管しておきましょう。なお、法改正により2024年5月末までには、海外転出後もマイナンバーカードを引き続き利用できるようになる予定です(2024年2月現在)。

注意点を踏まえた上で準備しよう

今回は、海外ノマドの魅力や注意点などを解説しました。海外ノマドは好きなタイミングで海外旅行ができたり、出費を抑えつつ稼げたりなど魅力がある一方、時差に振り回される可能性があるといった注意点もあります。そのため、もし海外ノマドを目指すのであれば、注意点を踏まえた上で準備するようにしましょう。どのような状況においても自分のすべての行動に責任を取るのが、フリーランスとしての嗜みです。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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