フリーランスはどのように見積書を書くべきか?基本的な書き方と失敗しないポイントを丁寧に解説

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見積書を書いたことがありますか?

クラウドソーシングサイトで受注しているうちは必要ありませんが、企業と直接契約をする場合や、その中でも受注金額が一定規模になってくると見積書が必要になります。

この記事では見積書の作成方法について解説しています。見積書をはじめて作る方や、見積書の作り方がよく分からない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

フリーランスにおける見積書とは?

見積書とは、ある案件に対して発注を受ける前に金額をクライアントに示すための書類です。

見積書にはただ金額が記載されているだけでなく、内訳や業務範囲など発注される(であろう)案件の内容が項目ごとに記載されています。

フリーランスが見積書を作成するタイミング

フリーランスが見積書を作成するタイミングは端的に言うと、クライアントが見積書の提出を求めてきたときです。クライアントはどのようなタイミングで見積書の提出を求めてくるのでしょうか?フェーズが進む順番で説明いたします。

概算金額を知りたい時

はじめに見積書が必要なのは概算金額を知りたいときです。「この作業をやってもらったら、いくらかかる?」という金額を知り、プロジェクト全体の予算感を捉えます。

予算申請をしたい時

プロジェクト全体の概算金額が分かり、予算申請する段階になるとしましょう。企業やプロジェクトの規模にもよりますが、概算金額を知ってから予算申請まで時間がかかる場合もあります。「より正確に金額を知りたい」、「見積書の有効期限が切れてしまった」といった理由により、予算申請時にも見積書の提出を求められる場合があります。

ただし、プロジェクトによっては元々予算が取れている場合もあるため、この限りではありません。

発注したい時

いよいよ発注という段階になった時にも見積書の提出を求められます。この時は競合する他のフリーランスにも見積書の提出を求めているかもしれません。詳細は後述しますが、特に注意して見積書を作成する必要があります。

見積もり内容に変更が生じた時

資材価格が高騰した、クライアントから追加作業を依頼されたなど、見積もり内容が変更になることもあるでしょう。戦略として多少のオーバーならサービスするのは良いと思いますが、基本的には業務内容や資材の価格が変化すれば再見積もりするのが基本です。

フリーランスの見積書の書き方

見積書はどのように書けば良いのでしょうか?基本的な記載項目を解説します。

タイトル・件名

通常は「御見積書」や「お見積書」と書く場合が多いでしょう。また、タイトルとは別に内容を記載し、どの案件についての見積書か分かるようにしましょう。あなたはクライアントに対して一つの案件しか抱えていなくても、クライアントは他のフリーランスも含めて多くの案件を抱えている場合があります。

宛名

宛先となる企業名、部署名、担当者名を記載しましょう。後で見たときに誰に宛てた見積書か把握するために必要です。また、宛先となる企業の住所も記入しましょう。

発行者

あなたの氏名と住所を記載します。住所を記載するには抵抗があるかもしれませんが、世間一般の見積書(請求書や納品書も)は住所を記載します。どうしても自宅の住所を記載したくない場合は、バーシャルオフィスやレンタルオフィスを契約してその住所を記載しましょう。

通し番号

見積書を名称や日付だけで管理するのは、受注件数が多くなればなるほど難しいものです。そのため、通し番号を付けて管理すると便利です。通し番号の付け方は自由ですが、番号付与のルールを決めておけば番号の発行・管理が楽になるでしょう。

発行日・見積もり有効期限

見積書には必ず発行日を記載するようにしましょう。資材の単価やあなたの労務単価は時間とともに変化する場合があります。いつの時点の見積書なのか明確にするために、発行日を記載するようにしましょう。

見積もり有効期限も必ず記載しましょう。見積もり有効期限がないと、資材の単価が上がっていても、過去の(安い頃の)見積書で契約を勧められる可能性があります。

見積金額

見積金額はクライアントが最も気にする部分です。分かりやすく、他の文字より大きく記載しましょう。また、見積金額は税抜きで記載することにも注意が必要です。なお、源泉徴収額については見積書に記載する必要はありません。

明細

項目ごとに単価、数量(あるいは人工)を記載しましょう。どの工程にどの程度お金が必要なのかクライアントに知らせておくと、次回以降の参考にしてくれることもあります。

また、予算が足りないが、どうにかあなたに発注したい場合もあるでしょう。そのような時クライアントは「この工程を自社で取り込むから金額を下げてくれないか?」という提案がしやすくなります。

あなたの収入が減ることは残念ですが、クライアントにも予算があります。また、今回の減額分を今後の継続発注で取り返せるかもしれません。目先の少ない利益より、長い目線で利益を考えることも必要でしょう。

納期

受注した場合、いつ納品できるのか納期を明確にしておく必要があります。必要な工数は見積もり時に算出しているため、受注後○日あるいは受注後○週間という書き方をしましょう。○月○日と書いてしまうと、受注タイミングに関係なく納期が決まってしまいます。

備考

備考には支払い条件(支払い期限)、振込手数料の負担をどちらがするか、消費税が別途かかる旨を記載しましょう。

フリーランスの見積書を書くときに気をつけるべきこと

相見積もり

前述の通り、発注段階の見積もり依頼では相見積もりを取っている可能性があります。市場平均や他社に比べて著しく高い金額を提示した場合、それだけで選考から外れる可能性がありますので、注意してください。

ただし、著しく安い金額にも注意が必要です。品質が低いのでは?と思われたり、実際に受注しても利益が残らない場合があります。利益が残らないのであれば、何のために受注したのか分かりません。

納期設定

見積書に記載した納期は、必ず守らなければなりません。そのため、納期設定を慎重にするようにしましょう。最短納期で書くのではなく、他の案件との兼ね合いや遅れた場合のバッファを少し考慮しておくことも大切です。

作業内容

見積書を作成する段階では、クライアントと作業の内容や範囲の打ち合わせはきちんとできているはず。その内容を再度確認し、抜けや漏れがないようにしましょう。

後で抜けや漏れが分かっても発注後であれば追加は難しい可能性があります。また、同じく見積書を提出した(相見積もり)他のフリーランスに対して不公平になります。見積書は、「案件を記載した期日までに記載した金額でできる」と確約するものです。慎重に作成しましょう。

捺印

捺印は必須ではありません。しかし、捺印が文化として根付いている日本では捺印がないと信頼度が下がる可能性があります。紙の場合は捺印し、電子データの場合は印影をつけるようにすると良いでしょう。

提出

見積書をメール等で送ったままにするのはよくありません。相手が気付かずに放置される可能性もありますし、気付いたときには他のフリーランスに発注された後という可能性もあります。

見積書で送った後は別の連絡手段で一言メッセージを送るか、必要があれば電話して内容を補足説明するのも良いでしょう(説明はクライアントが求めている場合に限る)。

まとめ

見積書はただ金額を提示するためのものだけではありません。作業内容と工程を熟知し、工数や必要な資材を見積もり、納期を設定して金額を提示するものです。インターネット上には便利なテンプレートがあったり、会計ソフトを使って作成することもできます。

提示した情報(内容、金額、納期)には責任を持たないといけません。きちんと見積書を作成し、お互い気持ちの良い仕事をするようにしましょう。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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