エンジニアは売り手市場!フリーランスエンジニアになるための道筋と方法を解説

How

エンジニアはこれからも人材不足が続きます。なぜなら今の時代、情報・サービス業が席巻しIT分野の成長が青天井だからです。エンジニアと聞くと以下のような印象を抱くことがあるでしょう。

「エンジニアは壁が高そう」
「理系出身ではないと無理」

1〜10まで独学でやろうとしない限り、確実にステップを踏めば誰でもフリーランスエンジニアになれて成功できるチャンスがあります。

ここではわかりやすいように企業に勤める会社員と対比しながら解説していきます。フリーランスのエンジニアはどんな仕事をしているのか

エンジニアと一口に言ってもさまざまな職種があります。以下に主なエンジニアの職種を紹介します。まずどの分野で活躍したいのかを考えてみてください。

システムエンジニア

顧客の要望をシステムに落とし込む設計の仕事とプログラマーが仕上げたプログラムをその要望や設計どおりにつくられているかを確認する仕事があります。顧客はシステムやプログラムについて詳しくない場合があります。そのため、クライアントの要望を聞き取って整理し、システムとしてどのように構築するか落とし込んでいく必要があるのです。また、プログラマーは顧客の要求事項を理解していません。そのため、システムエンジニアが顧客の要求事項を適切にプログラマーに伝える必要があります。システムエンジニアは言わば、クライアントとプログラマーの橋渡し役なのです。

プログラマー

システムエンジニアが設計した仕様を元に指定のプログラミング言語でプログラムを書く仕事です。プログラマーは基本的に使用を検討したり頭を使ったりする仕事ではありません。システムエンジニアが決めて要求仕様に合わせてプログラムを書いていく仕事です。

フロントエンドエンジニア

Web開発においてWebデザイナーが設計したデザインを元に形に起こす仕事です。例えば、WordPressによるホームページの構築などもこれにあたります。ユーザーが目にするUI(ユーザーインターフェース)、そしてユーザーにとっての使い勝手を左右するUX(ユーザーエクスペリエンス)を決めるのがフロントエンジニアです。UI/UXはサイトの離脱率にも直結するため、ユーザー満足度向上はフロントエンジニアの力量にかかっているといっても過言ではありません。

アプリケーションエンジニア

どの分野の開発でも活躍できる将来性のある職種のひとつです。スマホアプリ、Webアプリ、組み込みアプリなどです。Pythonなど様々なプログラミング言語、セキュリティネットワーク、インフラなど幅広い知識を持っていることが望ましいです。近年ではさまざまなアプリが開発されています。これら一つひとつを作っているのは、人間(アプリケーションエンジニア)なのです。スマートフォンなどのポータブル端末やPCがこの世に存在し続ける限り、なくならない職業かもしれません。

インフラエンジニア

IT分野の基盤となるサーバー(クラウドも含む)やネットワークの設計から運用保守までを担う幅の広い仕事です。さらにネットワーク系とセキュリティ系に分かれて仕事をすることもあります。インフラエンジニアはITシステムの基盤を扱うため、社会生活に欠かせない大切な職種です。特にネットワークを介してさまざまな情報をやりとりする現代において、ますますセキュリティレベルの向上が見込まれています。

データサイエンティスト

いわゆるビッグデータを扱う仕事です。データの分析をし課題解決をする仕事です。ひいては企業戦略にも関われるチャンスもあります。具体的にはデータの分析や加工、そして担当者からのヒアリングを通して、データをビジネス課題と結びつけ、課題解決に向けて提案することもあります。

フリーランスエンジニアの収入はどれくらい?

50〜70万円/月、年収にしておおよそ80万円前後が見込めます。ただし当然、案件のレベルや受注数によって異なります。例えばプログラマーの場合、難易度が高い、または公開されたばかりのプログラミング言語を使った案件は習得しているエンジニアの母数が単純に少ないため市場価値が高くなります。そのため、案件の単価が高くなるのです。

年代別で見ると、20〜30代におけるフリーランスの年収は会社員に比べておおよそ1.5倍多いというデータもあります。年代が上がるにつれて年収差は縮まるため、若ければ若いほどチャレンジする価値はあると言えます。

フリーランスエンジニアに必要なスキルは?

営業力

フリーランスはいわば個人プレーです。例えば「プログラミング言語をマスターしている」「ホームページやLPの作成をマスターしている」としましょう。実際にそのスキルを活かせるのは当然、案件が受注できたときです。ほとんどの場合、会社員として働くエンジニアは自分で営業して案件を受注することはありません。しかし、フリーランスは案件を受注するために自分を売り込む営業力が必要なのです。

交渉力

自分の市場価値はどの程度なのか事前に調査し、単価交渉を行えるスキルも身につけましょう。フリーランスは会社に雇われているわけではありません。すべての事に対して自分で対処する責任があります。そのため、納得のいかいないことを断る勇気を持ちましょう。あるいは自分が希望する条件で仕事するために、交換条件を作るなど交渉事をうまくできるようになる必要があります。

とはいえ、仕事は必ず対人関係によって成り立っているということを忘れてはいけません。相手があって成り立つ仕事であるため、自分の要求ばかり主張していては次第に案件を依頼されることもなくなるでしょう。自分が満足できることはもちろんですが、相手も満足できるように交渉を進めましょう。

会計や税金の知識

支出の帳簿をつける、税金を自分で納めるなどエンジニアの仕事以外にも事務作業のスキルが必要です。税理士に任せるという方法もありますが、その分費用が必要となります。

確定申告は面倒な作業かもしれませんが、はじめにざっくり計算して結論を把握しましょう。たとえば、事業所得は黒字でも控除を考慮した課税所得では赤字になるとしましょう。そうなると、国民健康保険料が大幅に安くなる、所得税の支払いが不要になる、源泉徴収額が手元に戻ってくる、国民年金の一部、または全部が免除となるなど、お金の流れが大幅に変わってくることがあります。事業所得は黒字で課税所得が赤字という点がポイントで、この状態になるには利用できる控除をすべて活用する必要があります。

控除には次のようなものがありますが、あなたはいくつ知っているでしょうか?

  • 生命保険料控除
  • 医療費控除
  • 住宅ローン控除
  • 特別支出控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 地震保険料控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除
  • 雑損控除
  • 寄付金控除
  • セルフメディケーション税制(令和8年12月31日まで)

また、経費関係の知識も必要です。事業に必要なお金は経費計上できるため、光熱費(電気代)や家賃、自動車の維持にかかるお金(保険料、車検代、自動車税、重量税など)も家事按分したうえで経費計上できるのです。ちなみに家事按分とは、事業で使った割合分だけ経費計上することです。たとえば、自宅件作業場の賃貸物件の内、面積比で30%を使用しているなら、家賃の30%を経費計上できるのです。

人脈

クラウドソーシングサイトフリーランスエージェントは、営業時間を短縮してくれるためフリーランスにとってありがたいツールでしょう。しかし、商品の最大の売り込み手段が口コミであるように、あなたの評判が人伝いに伝われば、黙っていても仕事が入ってくる状態になるかもしれません。そのために必要なのがリアルでの人脈です。

案件獲得という観点から人脈を作る場合、同じ職種の人脈を広げてもあまり意味がありません。必要なのは経営者や決裁権者との人脈を作ることです。経営者に実力や人柄を認められれば、トップダウンであなたの発注がくる可能性があります。そうなれば、ある実績がまた次の案件を呼び、文字通り黙っていても仕事が舞い込む状況になるでしょう。

しかし、リアルの人脈を広げるときには注意点があります。それは悪い噂ほどすぐに伝わるという点です。大きな失敗をしてしまったり、失敗そのものは小さくても不誠実な対応をしてしまうと、それがそのまま広がってしまいます。悪い噂は良い噂より早く広まり影響力も大きいため、信頼を取り戻すには長い時間が必要でしょう。

リアルな人脈から案件を依頼されたときは、細心の注意を払いながら取り組む必要があるのです。

ビジネストレンド

ITやDXの恩恵を受ける業界は年々増えています。そのため、さまざまな業種のクライアントが、エンジニアに仕事を依頼することがあるのです。そのとき、その業界特有の習慣やそのビジネス特有の問題点などを知っていると、仕事を進めるうえで有利でしょう。そのような知識があると提案もやりやすく、よりクライアントに満足してもらえるでしょう。また、その業界のビジネストレンドを把握しておくと、雑談などでも相手とよいコミュニケーションが取れるでしょう。

フリーランスとして独立するタイミング

20代後半〜30代前半が狙い目です。タイミングを決めるポイントは収入とキャリアの2つです。

収入

先に収入について述べましたが、若いほど会社員との収入の差は広がる傾向にあります。会社員の場合、年齢が上がるに連れ安定的に収入は増えますが緩やかです。残念ながら年功序列はいまだに根強く市場から正当に評価されるよりも会社の都合で給与が決まることが多いのが実情です。そのため、生涯年収を少しでも多くしたい方は早く独立するに越したことはありません。

キャリア

学生時代から経験を積み、企業に就職せず社会人1年目からフリーランスとして活躍される方もいますが、それは稀なケースでしょう。組織で働くための教育方針である日本は、多くの学生が卒業後、企業に就職します。その場合は社会人としての経験と、エンジニアとしての実務経験を積んでからフリーランスを目指しても遅くはありません。

以上の点を踏まえると、ある程度若くて動けるうえ、十分な実務経験を積んだ20代後半〜30代前半が望ましいと言えるでしょう。

実務未経験のままフリーランスとしてやっていけるか?

結論から言うと実務未経験の状態でフリーランスエンジニアとして働くのは非常に難しいでしょう。なぜなら、フリーランスになれることとフリーランスとして継続的に案件を受注していけることは別だからです。仕事を依頼する立場で考えると、まず即戦力になれる人を探すでしょう。そのため、実務未経験より経験を積んでいる人のほうが案件を受注しやすいのです。

ポイントとしては年数を重ねれば良いというより、どれだけ従事していたかということです。3年の経験で案件数が少ない人よりも、1〜2年の経験であっても案件数が多い人のほうが魅力的です。最低でも1年は実務経験があったほうが望ましいと言えます。もし現職で実務経験が見込めない場合、一度転職することも視野に入れましょう。そして、転職するならあえて案件数の豊富な忙しい企業を選びましょう。短期間のうちにエンジニアとしてスキルアップできます。

また実務未経験の場合、基本的なビジネススキルが足りない人も見受けられます。例えば、対面での応対をはじめ、問題が起きた時の報告・連絡・相談は必須です。

それでは実務未経験の状態からどうすればキャリアを積んでいけるのでしょうか。

副業で案件を獲得する練習をしよう!

始めは誰もが初心者です。まず会社に就職して実務経験を積むことが一番の近道でしょう。それとは別に副業で「自分で案件を獲得する練習」をしましょう。初心者歓迎でお仕事をいただけるクライアント様の中には、100%のうち50%を任せてくれたり、丁寧に教えてくれるところもあります。ただし始めのうちはそもそも応募できる案件が少なかったり、案件単価や時給単価が低めになってしまうのは覚悟しておきましょう。そこは会社でのキャリアを積みながら初心者マークを外して、案件の単価を徐々に上げていけば問題ありません。技術を盗むことは決して悪いことではありません。むしろキャリアにつながる本質そのものなのです。ただし、企業には機密情報があります。特に社外秘の情報を副業で利用しないようにしましょう。就業規則で禁止されていたり、損害が出た場合にはその金額を賠償しなければならない場合もあります。また、本業の人脈を使って副業案件を獲得するのもあまりおすすめできません。会社から許可が出ているならよいですが、そうでない場合は思わぬトラブルに巻き込まれる場合があります。

「会社員を続けながらやるなんて甘いことを考えていたらフリーランスにはなれない」

そんな話を耳にすることがあるかもしれませんが、会社員であることの恩恵をフル活用するのも一つの手段です。特に家族がいる人は急に会社を辞めてフリーランスになるのは難しいでしょう。ある程度のリスクは必要かもしれませんが、無計画に飛び込むことだけは控えましょう。

独立する前にやっておく3つのこととは?

開業届(個人事業の開廃届出書)

 自分が決めた開業日から1か月以内に税務署へ提出します。個人事業主は所得税のほかに地方税として個人事業税(職種による)、事業規模が大きければ消費税も納める必要があります。税金対策として青色申告を選択できることもメリットです。ワークスペースを確保するためにかかる費用、仕事をするために必要な機材は経費処理をすることで課税所得を減らせます(節税)。

印鑑・クレジットカード・銀行口座作成

 フリーランスは安定収入がある会社員と比べて残念ながら社会的信用度が低く、特に金融関係の信用審査は通りづらいです。新しくクレジットカードが必要な場合は会社員のうちに作っておくことをオススメします。

銀行口座は支出管理をやりやすくするために仕事専用の口座を作りましょう。自分で帳簿をつけるため簿記3級レベルの知識は学んでおいて損はありませんが、会計ソフトがあれば簿記の知識がなくても帳簿付けや確定申告に対応できます。

国民健康保険・国民年金

健康保険に関しては以下の3パターンから選択します。

  • 国民健康保険に加入
  • 現在の健康保険から任意継続
  • 国民健康保険組合運営の共済保険に加入

年金に関しては厚生年金から国民年金に切り替えが必要なので役所で手続きをします。年金を納めることが難しい場合、減額や免除措置がありますので相談してみましょう。会社員を辞めてフリーランスとなった場合、前職の会社から離職票を受け取っているはずです。離職票があれば所得がゼロとして扱われ、国民年金の一部、あるいは全部が免除になる可能性があります。

スキルシート・ポートフォリオ

 自分のサイトやSNSを活用し、そこに自分ができることやこれまでの実務実績を載せておきましょう。また、エンジニアのスキルは学べば学ぶほど強みになります。会社では習得できない部分を補完するためにスクールに通って学習するのもよいでしょう。フリーランスとして独立した後もスキルアップは必要なため、継続してスクールに通うのもよいでしょう。

フリーランスエンジニアのメリットとは?

収入アップ

 基本は案件ごとに報酬が決まるため、こなした分だけ収入が上がります。会社が価値を決めるのではなく、市場が価値を決めてくれます。質の高い仕事を行なうことや納期を必ず守ることで信用度もどんどんアップしていきます。

得意なことを仕事にできる

 自分の得意分野を活かせる案件を選ぶことができます。人には得手不得手があるので不得意分野の克服は余裕ができてからでも良いでしょう。

時間に縛りがない

 家庭の事情や、通勤時間の削減なども含め、自由に時間を使えるのは魅力的です。場合によってはずっと在宅ワークでよい案件もあります。

どこで働いてもいいのか

働く場所はクライアントや案件によって様々です。自宅、顧客のオフィス(常駐)、コワーキングスペースなどがあります。フリーランスだからといって必ずリモートでできるとは限りません。エンジニアの仕事はPCだけでできるとは限らないのです。職種によっては実機を動かす、ハイスペックなPCを使う、社外では使えない特殊なツールを使うといった開発もあります。

フリーランスエンジニアとして働くリスク

フリーランスと会社員の決定な違いは自分に対する直接的なダメージが大きいことです。まずは信用を築くことに注力してください。

スキル不足による納期遅延・続行不可

 自分の技術力を理解することは大切です。理解できていれば案件のレベルを見誤って受注することは避けられます。エンジニア全般に言えることですが、自分の技術を高く見積もらないことが大切です。必要ならばスクールに通うことも検討しましょう。

クライアントとのすり合わせ不足

 難しい案件になればなるほど、プロジェクトに携わる人数は増え、クライアントも統率が難しくなります。そのため、こまめにクライアントや他のエンジニアとコミュニケーションをとることが重要です。

収入が途切れて失敗に終わる

日々の自己管理も大切なことのひとつです。例えば激務でワークライフバランスが崩れ、それを改善するためにフリーランスを目指す方もいるでしょう。時間に縛りがないというのはフリーランスのメリットではありますが、時間を無制限に使えると間違った解釈をしてしまうと本末転倒です。いくら若くても「まだ大丈夫」が一番危険なのです。常に健康に気を遣い、感情に流されない仕組みづくりを重視しましょう。

特に、第三者が絡んだ損害(情報漏えい・著作権侵害)、クライアントへ多大な損失(作業ミス)を被った場合は、損害賠償請求をされることもあります。常にお互いに行き違いがないようにしておけば回避できることではありますが、万一に備えることも大切です。

個人事業主向け損害賠償保険

「補償は無制限か1億円以上」「示談交渉サービス付帯可能」のものを選ぶとよいでしょう。補償金が少ないですが無料で損害賠償保険をつけられるものもあります。

おすすめはフリーランス協会の損害賠償保険です。

  • 業務遂行中の補償
  • 業務結果(PL責任)の補償
  • 受託財物の補償
  • 情報漏えい
  • 著作権侵害
  • 納品物の傷や欠陥
  • 偶然な事故による納期遅延

に対応しています。年会費1万円のみ払えば補償が有効です。

自分のスキルが収入に直結する働き方

エンジニア業界はこれからも活況が続きます。世界的に年々技術力は底上げされていますが、その技術を使うエンジニアは不足しています。そのため、フリーランスとしてのエンジニアの仕事もそうですが、IT業界の正社員の求人が減らないのです。逆に言えば将来性のある職業であるといえるでしょう。一部AIに仕事をとられることも考えられますが、クライアントや顧客とのやりとりは最終的に人が介在します。また、プロ意識が高く常にスキルアップを目指したいという人にとって、エンジニアは最適な職業です。会社ではひとつの殻を破るのに時間がかかる場合もありますが、それと比較するとどんどんスキルを磨き市場価値を上げていくことができるのはフリーランスの強みです。おのずと自分のスキルに見合った収入になることでしょう。努力して収入を最大化しましょう。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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