「フリーランスは仕事に必要なものを自分で買う必要があるから大変」
「売上があっても支出が多いと利益が減る」
このようなことでお困りではありませんか?
この記事では仕事の支出(=経費)を計上するメリットと経費になるものを解説しています。
経費を計上すると税制面でメリットがあります。これからフリーランスになる方や、経費のことをよくわかっていない方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
経費って何?
経費とは、事業や仕事をする上で必要な費用のことです。
たとえば、ライターであればPCやインターネットの環境が必要です。また、イラストレーターやデザイナーであれば専用ソフトも必要でしょう。
このように、業務や仕事をする上で必要な費用、つまりその業務をしなければ発生しなかった費用を経費といいます。
経費を計上するメリット
経費を計上すると税制面でのメリットがあります。
その理由は、所得税や住民税は売上から経費を差し引いた所得に税率をかけて計算するからです。
たとえば、売上が500万円で経費が100万円、税率が20%だとします。
この場合収める税額は次のようになります。
売上(500万円)− 経費(100万円) = 所得(400万円)
所得(400万円)✕ 税率(20%) = 税額( 80万円)
仮に経費を計上しなかった場合は、所得が500万円となり税額は100万円となります。
経費と計上しない場合と比較して、税額が20万円も安くなるのです。
実際には所得によって税率は変わります。また、医療費などの控除はここでは省略しています。
フリーランスが計上できる経費
フリーランスが計上できるのはどのような経費でしょうか?
ここでは一般的な経費の費目別に、フリーランスが計上できる経費の例を示します。(表1)
表1 経費の費目と内容(経費の例)
費目 | 内容(経費の例) |
地代家賃 | 借りている土地や物件の賃料。賃貸物件である自宅で作業をする場合、その一部を経費にできる。事務所を別に構える場合は、その事務所の賃料も対象。 |
水道光熱費 | 電気代、灯油代など。作業する自宅の部屋や事務所で使う電気代や灯油代など。水道代やガス代を経費にできるのは、事業の都合上必要な場合のみ。 |
広告宣伝費 | 広告宣伝に関する費用。販売促進用のポスターや、Webサイト制作や運用にかかる費用を計上できる。 |
損害保険料 | 事務所の火災保険など、あくまでも事業で必要なもの。国民健康保険料などは、経費ではなく控除の対象となる。 |
旅費交通費 | 自宅から事務所まで、あるいは自宅から取引先までの交通費。公共交通機関の料金はもちろん、ガソリン代、高速道路代、駐車場代も計上できる。 |
通信費 | スマートフォンやインターネットの代金。あくまでも仕事で使うもののみなので、使用時間などで家事按分(※1)する必要がある。 |
接待交通費 | 接待にかかる費用。ちなみに接待時に利用したタクシー代は、旅費交通費ではなく接待交通費となる。 |
外注費 | 業務を外部委託したときにかかる費用。 |
租税公課 | 国や地方自治体(地方公共団体)に収める税金や交付金。固定資産税、不動産取得税、登録免許税、印紙税など。 |
諸会費 | 所属する組合・団体やセミナー・勉強会の参加用など。商工会費用やオンラインサロン代などを計上できる。 |
消耗品費 | 概ね10万円未満の物品。 |
減価償却費 | 概ね10万円以上の物品。耐用年数で割り返して、一定額ずつ計上する。ただし、青色申告の場合は1点(1組)あたり30万円以下の物品であれば、購入した年に一括計上可能。(少額減価償却資産の特例) |
支払い手数料 | 銀行の振込手数料など各種手数料のこと。税理士や弁護士の費用も支払い手数料として計上できる。 |
荷造運賃 | 商品の発送などにかかる費用。 |
雑費 | 上記いずれにも属さない費用。基本的にはほとんど発生しないはず。売上に対して割合が多ければ、不審に思われることもあるので注意。 |
(※1)国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」より
基本的には事業に必要な支出はすべて経費となります。
しかし、注意点がいくつかあります。
一つ目は家事按分する経費があること。
家事按分とは、ある一つの費用のうち事業で使用した部分(経費)と、個人で使用した部分に分けることです。
たとえば、賃貸物件である自宅を仕事場にしていたとしても、住居としても使用しているはずです。このような場合、家賃の全額を経費にすることはできず、一定の割合で按分することになるのです。
按分する割合の決め方は法律で決まっておらず、時間で区切ったり面積で区切ったりさまざま。ただし、社会通念上不自然でないことやおおまかな算出根拠は必要となります。(労働時間や仕事場として使用している部屋の面積など)
二つ目は同じ費用でも人によって経費にならない場合があること。
たとえば書籍代。ライターが文章の書き方を勉強するために購入した書籍は、経費になります。しかし、同じ本をデザイナーが個人的に楽しむため(趣味のため)に購入した場合は経費にならないのです。
ただし、本業はデザイナーでもライターのような仕事を受注しようとするなど業務上必要な場合は経費とみなされる場合があるのです。
注意しておくべき「経費にできないもの」
経費にできるか否かの判断は「事業に必要な支出かどうか」。しかし、事業に必要に思えても経費にならないものがあるので注意が必要です。
一つ目は所得税・住民税。
所得税や住民税はあくまでも個人に課せられるもの。事業の有無に関わらず所得があれば発生するため、経費にできません。
二つ目は社会保険料や健康保険料。
フリーランスなど個人事業主の場合は経費にできません。しかし、法人の場合、会社負担分の社会保険料や、従業員に受けさせる健康診断の費用は経費として計上できます。
領収書はどうやって管理してる?
領収書の扱いは、紙と電子データで異なります。
紙の領収書は月別や費目別など、わかりやすく整理してファイル等に入れて保管しましょう。また、2017年の電子帳簿保存法の改正により紙の領収書を電子データ化すれば、原本(紙の領収書)は保存不要となっています。(※2)
電子データの領収書は保管方法が変わるため注意が必要です。
2023(令和5)年12月31日までに行う電子取引は、領収書をプリントアウトして紙の領収書と同様に保管すれば問題ありません。しかし、2024(令和6)年1月1日以降の電子取引は、電子データの保存が義務となります。(※3)
電子データで保存する場合は、ファイル名に工夫が必要です。日付、金額、取引先などで検索しやすいよう、これらの情報をファイル名に入れておくと便利でしょう。
(※2)国税庁「電子帳簿保存法の概要」より
(※3)国税庁「電子取引関係」より
いざ確定申告!領収書はどうしたらいいのか?
結論から言いますと、保管しておいた領収書は確定申告のときには提出することはありません。
ただし、所得(税額)を計算する根拠となりますので、大切に保管しておきましょう。(7年間の保管義務あり)
税務調査を受けたときに提出を求められることがあります。保管していないと、架空請求を疑われ悪質な場合には脱税とみなされることもあるので、注意が必要です。
領収書をもらい忘れた!レシートは領収書代わりになる?
結論から言いますと、レシートは領収書代わりになります。また、クレジットカードの明細なども領収書の代わりとして有効です。
ただし、次の項目が記載されている必要があります。
- 購入したお店の名前
- 日付
- 商品やサービスの内容(お品代は好ましくない)
- 購入代金
- 購入者の氏名(上様は好ましくない)
また、慶弔費であるご祝儀や香典はそもそも領収書をもらえません。このような場合は、自身で出金伝票を作成して対応しましょう。
まとめ
この記事では経費の概要と、フリーランスが経費にできるものについて解説してきました。
経費を計上すると、売上が同じでも所得を下げられ結果的に税額を抑えられます。(節税)
基本的には事業に必要な支出を経費として計上できますが、所得税や住民税、それに社会保険料や健康診断の費用(個人の場合)など計上できないものもあります。
フリーランスはただでさえ、収入が不安定なもの。経費を上手に活用して節税し、事業のためのお金を残しましょう。
投稿者プロフィール
- 12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。
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