女性が未経験からフリーランスとして仕事をはじめるには?未経験からでもできる職種をご紹介!

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男女雇用機会均等法制定から18年経った2023年現在でも、家事や育児の担い手は女性がメイン。女性は男性に比べて働きづらいという状態は、程度の差はあれ昔から変わらないのです。

フリーランスはそんな女性にとってやりやすい働き方かもしれません。

この記事では女性が未経験からフリーランスとして仕事をするときのメリットや注意点、そしておすすめの職種を紹介しています。

未経験からフリーランスになりたいと思っている女性の方は、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

フリーランスは女性におすすめの理由

フリーランス協会の調査(※1)によるとフリーランスとして働く方のうち約60%が女性というデータがあります。ここではフリーランスという働き方が女性におすすめな理由を考えてみましょう。

(※1)フリーランス協会「フリーランス白書2021

家事や育児との両立がしやすい

一つ目の理由は家事や育児との両立がしやすいことです。

育児をしていると子どもの都合や体調で急遽休まないといけない時もありますよね?

フリーランスなら自宅で作業できる案件もありますし、納期さえ守れば途中の作業進捗については問われないため、気兼ねなく仕事のスケジュールを自分でコントロールできます。

人間関係のストレスが少ない

二つ目の理由は人間関係のストレスが少ないことです。

コミュニケーションは受注した案件に関する必要最低限ですので、対人ストレスはほぼ感じないでしょう。もちろん急に子どもが熱を出してスケジュールを変更することになっても、誰かに申し訳なく思う必要もありません。

女性フリーランサーの働き方は?

前述の通り、家事や育児は現代でも女性が担うことが多いようです。そのため、女性フリーランサーはどうしてもパートナーの収入が前提の働き方になってしまいます。

パートナーの扶養内になるように働く

女性の方が扶養内で働けるようにまず気にするのは所得です。

「扶養」と一口に言っても税制上の扶養と社会保険上の扶養では所得の条件が異なります。

はじめに紹介するのは税制上の扶養です。

所得が48万円以下(給与所得のみの場合:103万円以下)の場合には配偶者控除が適用されます(表1)。配偶者控除では扶養する人(納税者本人)の課税所得から一定額が控除されます。

表1.扶養(配偶者控除)の条件となる所得(※2)

控除を受ける納税者本人の合計所得金額控除額
一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者(※3)
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

(※2)国税庁「No.1191 配偶者控除」より
(※3)老人控除対象配偶者とはその年の12月31日時点で年齢が70歳以上の人のこと

所得が48万円を超えて133万円以下(給与所得のみの場合:103万円を超えて約201万円以下)の場合は配偶者特別控除が適用されます。配偶者特別控除も、配偶者控除と同様に扶養する人の課税所得から一定額が控除されます(表2)。

表2.扶養(配偶者特別控除)の条件となる所得(※4)

控除を受ける納税者本人の合計所得額(給与所得だけの場合の所得者の給与等の収入金額)
900万円以下(1,095万円以下)900万円超950万円以下(1,095万円超1,145万円以下)950万円超1,000万円以下(1,145万円超1,195万円以下)






配偶者の合計所得金額
48万円超95万円以下(103万円超150万円以下)38万円26万円13万円
95万円超100万円以下(150万円超155万円以下)36万円24万円12万円
100万円超105万円以下(155万円超160万円以下)31万円21万円11万円
105万円超110万円以下(160万円超1,667,999円以下)26万円18万円9万円
110万円超115万円以下(1,667,999円超1,751,999円以下)21万円14万円7万円
115万円超120万円以下(1,751,999円超1,831,999円以下)16万円11万円6万円
120万円超125万円以下(1,831,999円超1,903,999円以下)11万円8万円4万円
125万円超130万円以下(1,903,999円超1,971,999円以下)6万円4万円2万円
130万円超133万円以下(1,971,999円超2,015,999円以下)3万円2万円1万円

(※4)国税庁「No.2672 年末調整で配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けるとき

たまに「パートでの収入が103万円を超えたら、税負担が増えて一気に手取り額が減る」と勘違いされる方がいます。しかし、控除額は徐々に減るものの控除額がいきなり0円になることはありませんので、安心してください。

所得は売上−経費−控除で計算できます。開業届の提出の有無に限らず経費計算できますので、フリーランスで働く女性の方は経費も計算に入れて所得を算出してください(※5)。

以上は税制上の扶養でしたが、次は社会保険上の扶養について説明します。

社会保険の扶養範囲の基準となる収入は税制上の基準と異なります。年間の収入だけでなく、月間の収入も気にしなくてはなりません。

条件としては年間の収入130万円未満、かつ月間の収入10万8,333円未満です(※6)。

わからないことがあれば、最寄りの税務署を利用して相談してみましょう。

(※5)「国税局電話相談センター」に電話にて確認
(※6)全国健康保険協会「被扶養者とは?

隙間時間で働く

前述の通り、女性が家事や育児を担っている家庭が多いのが現状です。そのため、家事や育児の合間に働く、子どもが長期休暇になると稼働時間を減らす、子どもの体調が変わると急遽スケジュールを変更するなど、どうしても変則的な働き方になるでしょう。

未経験でもフリーランスとして活躍できる?

女性が未経験でフリーランスになった場合、活躍できるのでしょうか?

結論からいいますと、未経験からでも活躍している人はたくさんいます。しかし、未経験から活躍できるようになるまでには、いくつかの注意点があります。

単価の安い案件で実績を積む必要がある

どのような仕事もそうですが、はじめは報酬を気にせず実績を積みましょう。

フリーランスの世界は残酷で、比較的誰にでもできる仕事をしてもそれなりの報酬しかもらえません。高単価の案件を獲得しようとすると、それなりの知識やスキルや実績が必要となります。

はじめはクラウドソーシングサイトなどを活用して比較的単価の安い案件を獲得し、とにかく実績を積みましょう。そして、一定程度の実績を積んだら、エージェントサービスを利用するのもよいでしょう。エージェントサービスでは、転職エージェントのようにフリーランス一人ひとりにつきエージェント(担当者)がつきます。そして、案件やキャリアの相談に乗ってくれるのです。

自己投資が必要

前述の話と似ていますが、フリーランスとして活躍するには自己投資が欠かせません。仕事をする上で身につくスキルもありますが、飛躍的に成長するためには仕事とは別に時間を設けて自己投資(勉強)が必要となります。

メインの仕事以外にも仕事がある

フリーランスはメインの仕事以外にもすることがたくさんあります。

  • 請求書など書類作成
  • 売上・経費計算[
  • 確定申告
  • 案件獲得のための営業
  • 広告代わりのSNS運用
  • 人脈づくり

また、フリーランスとして活躍すればするほど、仕事とプライベートの境目が分かりづらくなります。このようなことも覚悟しておく必要があります。

未経験からでも始めやすい女性におすすめの職種

フリーランスの職種はさまざまですが、ここでは女性が未経験からはじめやすい職種に絞って紹介いたします。

Webライター

Webライターとは文章を書く仕事です。狭義にはインターネット上の記事を書くライター、自分でスケジュールを組める電子書籍(e-book)ライターも含まれます。

PCさえあれば始められるため参入障壁は低いですが、ライバルが多かったり単価の安い案件が多かったりというデメリットもあります。専門性の高い記事は単価が高い傾向にあるため、学生時代の専門性や、前職(現職)の専門性を活かした記事であれば、はじめからある程度稼げるでしょう。

ブロガー/アフィリエイター

ブロガー/アフィリエイター(以下、ブロガー)とは、自ら作成したブログ記事に商品広告(アフィリエイト)を貼り、アフィリエイト経由で商品が売れた場合に報酬(手数料)を受け取る仕事です。

文章を書くという意味ではライターと似ています。しかし、ライターはクライアントの要望に沿った記事を書くため必ず報酬が発生しますが、ブロガーは商品が売れないと報酬が発生しません。

オンライン秘書

オンライン秘書とはバックオフィス系の事務作業をオンラインで行う仕事。具体的にはメール対応や、請求書などの帳票作成、プレゼン資料作成などを行うため、秘書や事務として働いた経験があればやりやすい仕事です。

オフィス系ソフトやコミュニケーションツールだけでなく、対人のコミュニケーションスキルも必要となります。在宅でできる仕事ではありますが、会社で働くような緊張感はあるかもしれません。在宅勤務でも人とのつながりを大切にしたい方に向いているでしょう。

SNS運用代行

一口にSNSといってもX(旧Twitter)やInstagram、ThreadなどさまざまなSNSがあります。SNSのうち企業公式アカウントなどの運用をサポートするのがSNS運用代行の仕事です。隙間時間できるのが、女性におすすめする理由です。

SNS運用代行はターゲット(潜在顧客)の悩みに対してソリューションを届ける仕事です。ターゲットが「自分の悩みを解決してくれそう」と思ったら企業公式アカウントをフォローしてくれたり、イベントやキャンペーンに参加してくれたります。そして、ゆくゆくはターゲットが顧客に変わることを見込んでSNSに投稿を繰り返すのです。

投稿は自社の宣伝色が強いとすぐに飽きられます。あくまでもターゲットの立場に立って悩み事を共有し、そのソリューションを自社で提供できることを伝えるのです。

そのためにはターゲットにとって有益な情報を、定期的に届ける必要があります。もちろん予約投稿機能などを使うため、毎日決まった時間に拘束される訳ではありません。しかし、実際に投稿されたかどうかくらいの確認は必要です。

SNS運用代行の仕事は企画や計画がもっとも大切です。ターゲットの悩みを掘り起こし、辛い想いを共感し、このまま問題を放置するとどうなるのかターゲットに提示する。そして、同時に自社の商品を使えばよい未来が待っていることを伝えるのです。困っている人の心を理解する気持ちや、どうすれば気持ちよくお金を払ったもらえるのか考える力も必要です。

これらの企画を出し続け、計画に沿って投稿し続けるのがSNS運用代行の仕事です。たしかに隙間時間できる仕事ですが、その裏には大変な作業が待っています。このように細かい配慮が必要な部分に、女性の強みが活きるかもしれません。

デザイナー

デザイナーと一口に言っても、さまざまな種類があります。

1つ目はグラフィックデザイナー。グラフィックデザイナーとは書籍や雑誌、チラシや広告など紙媒体のデザイン全般を行う仕事です。世の中にあるあらゆる紙媒体のデザインに関わると言っても過言ではないでしょう。その中でも化粧品や美容品などターゲットが(ほぼ)女性となる商品があるでしょう。このようなデザインの仕事は女性に向いているといえます。

2つ目はWebデザイナー。Webデザイナーとは小さなロゴやバナーからはじまり、コーポレートサイトやLPなどWeb上に存在するあらゆるデザイン(Webデザイン)をする仕事です。近年は美容品やダイエット食品・健康食品のECサイトやオンライン販売が増えてきました。グラフィックデザイナーと同様に、ターゲットが女性の場合のデザインは、女性の方が向いているといえるでしょう。

いずれも実際に商品を使用している女性だからこそわかることがあります。また、どのようなメッセージが女性に刺さりやすいのか、どのような訴求方法なら女性が受け入れやすいのかわかるというメリットもあるでしょう。

動画編集

動画編集は専用のソフトが必要だったり、性能の高いPCが必要だったりして一見ハードルが高いと思われがちです。しかし、未経験者を対象にしたスクールも増えているため、少しの初期投資(設備、自己投資)があれば誰でもはじめられる仕事です。

完成した動画を見ると、動画編集とはダイナミックで派手な仕事と思うかもしれませんが、編集作業そのものは意外に地味。一つのことを根気よく続ける気持ちが大切になります。

動画編集では素材となる動画に合わせてテロップを挿入したり、効果音を付けたり、BGMを流したりと丁寧な作業が求められるもの。女性のきめ細やかな感性が必要な作業ともいえます。また、動画の製作目的にもよりますが、見る人に感動を与えたり、何か行動のきっかけを与えたりと、見る人の感情に訴えかける作品も多いもの。相手に共感できる女性ならではの心が大きな武器になるかもしれません。

プログラミング

プログラミングも未経験者にとってはハードルが高いもの。しかし、一口にプログラミングの仕事といっても、求められる言語やスキルレベルはさまざま。特にクラウドソーシングサイトには、それほど高いスキルのいらない仕事もあるため、きちんと勉強すれば女性でも未経験からできる仕事です。

プログラミングの基礎は構文を覚えること。そして覚えた構文を、ときには組み合わせて実戦で使用することです。プログラムは、動いてほしいようにはできあがりません。あくまでも、プログラマー(エンジニア)が組んだ通りにしかできあがらないのです。プログラムを作っていざ実行してもエラー修正しないと動かないことは多々あるでしょう。このようなとき、根気強くエラーを探して対処することが必要になります。

このような根気強さに女性の強みが出るでしょう。プログラミングは工業系の学校で学ぶ科目の一つですが、機械科や土木科に比べて情報科(いずれも正確な学科名は学校による)の方が女性は多い傾向にあります。

根気強く何かに取り組める女性の方は、プログラマーに向いているかもしれません。

Web製作(Webディレクター)

Web製作とは、コーポレートサイトやHP、それにLPなどを作る仕事です。作るといっても一作業者として作業するのではなく、WebライターやWebデザイナー、そしてコーダー(プログラマー)などに指示を出して全体を取りまとめたり、外部との調整役をしたりするのがWebディレクターの仕事です。また、プロジェクトのスケジュール立案、ワーカー(フリーランスなど)のアサイン、スケジュール進捗管理、プロジェクトの品質管理などもWebディレクターの仕事になります。

クライアントの要望を分かりやすいようにワーカーに伝えたり、反対にワーカーからの提案をうまくクライアントと調整したり、クライアントとワーカーの間に入って仕事をすることになります。また、プロジェクト全体の方向決めや、問題・目的の共有もWebディレクターの仕事になるのです。クライアントの抱える問題は何なのか、目的は何なのか、どのような状態になればクライアントの問題を解決したことになるのかなど、考えたり決めたりすることは多岐にわたります。そして、それらをクライアントやワーカーが常に共有するよう努めないといけません。

ワーカーはときに、自分の作業範囲のことしか見えていないときがあります。そのため、やっていることが目的からずれることも。そのようなときに軌道修正するのもWebディレクターの仕事です。また、ときにはクライアントから新たな仕様を要望されることもあります。そのときのワーカーとの調整や全体のスケジュールの立て直し・調整などもWebディレクターの仕事なのです。

現在でも家事を引き受けることの多い女性なら、全体を見渡して今起こっている問題への対処方法や、目的を達成するための手段を考えることに長けているかもしれません。そのような女性の力があればWebディレクターという仕事ができるでしょう。ただし、WebディレクターはWebライターやWebデザイナーなど、個々の仕事内容を多少なりとも理解しておく必要があります。

カメラマン・フォトグラファー

カメラマンやフォトグラファーのうち、ポートレートや家族写真を撮る仕事は女性の方が向いているかもしれません。たとえば、全員が笑っている家族写真を撮るとき、カメラマンにただ「笑ってください」と言われて自然な笑顔になれるお客さんはいないでしょう(特にお子さん)。

カメラマンは基本的に、お客さんと会話することで自然な表情を引き出します。このとき、お客さんに対する傾聴力や対話力といった面で、女性の強みを活かせるのではないでしょうか。

まとめ

この記事では女性が未経験からフリーランスになるときのメリットや注意点、そしておすすめの職種を紹介しました。

どのような仕事や業界でも未経験から挑戦するのは難しいもの。だからこそ、挑戦の先にはお金では得られないメリットや可能性があるのだと思います。フリーランスは決して安定した収入は得られませんが、挑戦する価値のある働き方です。

ぜひ、この記事を参考にフリーランスへ向けて一歩踏み出してみてください。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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