目次
最初にフリーランスについて簡単に解説!
フリーランスを解説する前に、その定義をおさらいしておきましょう。
フリーランスは働き方のひとつで、特定の企業や組織等に所属することなく、案件ごとに契約を結んで技能や役務・成果物を提供し、対価として報酬を受け取るというものです。
会社員をはじめとした被雇用者と違い、働き方が自由という大きなメリットがある一方、決まった給料が保障されていないため収入が不安定という最大のデメリットもあります。
受けた業務は全て自分の責任で完結させなければなりませんが、自分のスキルや実績を活かした業務だけをすることが可能です。仕事量や働く時間を自由に決めることができ、どこでも働ける仕事があるというのも特徴のひとつです。
パソコン1台あれば十分な職種もあり、喫茶店や空港のカウンター・旅先などで「ノマドワーカー」として活躍することも可能です。
極端な話、フリーランスを自称し仕事さえもらえれば、誰でもフリーランスの仲間入りをすることができるともいえます。
フリーランスの主な職種
フリーランスはあくまで働き方の種類を指すので、個人で案件ごとに契約を結び仕事をしていれば、どのような職種であってもフリーランスといえます。ただフリーランスとして特に活躍の場がある職種としては、例として以下が挙げられます。
・エンジニア・プログラマー
・Webデザイナー
・Webライター
・イラストレーター
・動画編集者
・ブロガー・アフィリエイター
・カメラマン
これらに共通しているのはWeb環境のメリットを活かせるという点で、パソコンさえあればどこでも働ける職種です。
ほかにも人事や営業・広報などいわゆる「オンライン秘書」や、コンサルタント・カウンセラーなど、Webツールを使用することで様々な職種のフリーランスになることも可能です。
広義になると弁護士をはじめとした士業・アーティスト・農家など、「特定の企業に属せず…」という点さえあれば、あらゆる職種でフリーランスを名乗ることも可能、といえるかもしれません。
フリーランスの業種別平均年収
一口に「フリーランス」といっても、副業として働くすき間ワーカーから本業としてフリーランスをしている人など、働き方は多様です。
2022年(令和4年)に内閣官房日本経済再生総合事務局が公表した「フリーランス実態調査」(※1)の結果によれば、主たる生計者が本業として行うフリーランスの年収は、答えたくない人を除けば100万円未満が14.1%と最も多くなっています。
職種ごとの年収について、上記実態調査のデータがありませんが、フリーランス協会が発表している「フリーランス白書2023」(※2)に職種ごとの調査結果があります。
フリーランス全体における年収を400万円で区切ると、400万円未満が47.4%、400万円以上は51.1%とわずかに年収400万円以上の方が多くなっています(残り1.4%はわからない・答えたくない)。
比較的年収の高い職種としては、エンジニア・技術開発系やコンサルティング系が挙げられます。年収400万円以上の割合は、それぞれ77.0%・76.1%となっています。
一方で翻訳・通訳系や出版・メディア系の年収は低い傾向がみられ、年収400万円以上の人はそれぞれ40.3%・39.3%しかありません。
※1:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査」
※2:フリーランス協会「フリーランス白書2023」
フリーランスになるメリット3選
収入が青天井
フリーランスの最大のメリットは収入が青天井であることでしょう。会社員の場合、学歴や年齢・勤続年数、それに人事評価により収入が決まってしまいます。昨今では年功序列での給与上昇が見込めない会社が増えてきたため、収入を上げるには人事評価を上げるしかありません。
しかし、人事評価には絶対評価と相対評価があり、相対評価の場合は自分の努力だけではどうにもならない場合もあります。いくら自分で努力して成果を出しても、他の社員がそれ以上の成果を出せば、評価は相対的に低くなります。また、どのような成果がどのように人事評価につながるか、評価される本人にはわからないものです。
つまり会社員の場合、収入を会社に決められ、収入アップのキーとなる人事評価も会社に決められるのです。
一方フリーランスの場合は、仕事を開始するとその成果がすぐに収入に反映されます。仮に受注している案件の単価が同じだとすれば、案件をこなせばこなすほど収入が多くなります。実際は案件ごとに単価が異なるため、単価の高い案件を数多くこなす方がよいでしょう。
ただ、人に与えられた時間は平等に24時間しかなく、8時間を睡眠に充てるとすると残りは16時間しかありません。その中で数をこなすといっても限界があるため、必然的に単価の高い案件を多く受注することになります。
なお、事業収入と家計のお金を区別するため、事業用の銀行口座を開設しておくとよいでしょう。あとで、事業収入の額を確認するときにも便利です。
平均時給を自分で決められる
収入と似ているかもしれませんが、平均時給を自分で決められるのもフリーランスのメリットです。会社員の場合、固定給の正社員でも、時給のパートやアルバイト(準社員)でも、基本給と拘束時間から平均時給はおのずと決まってきます。平均時給をアップさせるためには、前述の人事評価を上げてもらうか、転職するしかありません。いずれにしても、雇用主側があなたの平均時給を決めてしまいます。
一方、フリーランスの場合、基本的に業務委託契約(請負契約)のため、案件が完了すると収入が得られます。つまり、拘束時間が決まっていないのです。仮に5,000円の案件を受注して2時間で終わらせれば時給2,500円、1時間で終わらせれば時給5,000円となります(あくまでも参考)。
時給5,000円で1日8時間、1か月(20日間)働いたとすると月収は80万円になります。会社員で月収80万の方はそれほど多くないでしょう。このようにフリーランスは、自分の努力次第で自分の平均時給を決められる可能性のあることが大切なポイントです。
しかし、中には時給で報酬が支払われるフリーランスの仕事もあります。交渉の余地はあるかもしれませんが、一度単価が決まると基本的にはその単価のまま固定の場合もあります。時給で安定して稼ぐほうがよいのか、業務委託で努力して平均時給を上げるほうがよいのかは、個人の判断です。しかし、フリーランスの性質上、どこまで収入が伸びても安定することはほぼありません。「時給の方が安定していてよい」と思う方は、あまりフリーランスに向かないかもしれません。
業務の進め方に対して指示されない
会社員の場合、業務の進め方について必ず上司から指示されます。会社の決定にはさまざまな事情が関係しており、ときには理解しがたいことを指示されるかもしれません。ましてや、必ずあなたが納得できる指示とは限りません。また、上司への承認申請など、自分が決裁権限を持っていれば不要な仕事もあるでしょう。
しかし、フリーランスの場合は、すべての案件を自分が思う進め方で進められます。もちろんクライアントの意向に沿う形で進めなければなりませんが、細かい部分に関しては自分の裁量で進められるのです。極論、クライアントが求めるものを納期内に納品すれば、後は何か指示されることはありません。しかも案件にかかわるすべての情報を把握できます(クライアントが公開してくれる情報)。
フリーランスになるデメリット3選
収入が不安定
フリーランスは収入が青天井である代わりに不安定になります。やればやるだけ収入が上がるということは、できなければできないだけ収入は下がります。しかし、会社員のように体調を崩したり、ケガをしたりしたとき保障がないため、いかなる理由でも仕事ができなければ、収入が途絶えてしまいます。
体調管理も仕事のうちと考えれば、上記の例は自己責任といえるでしょう。しかし、フリーランス自身の努力とは関係なく収入が下がることもあります。クライアントが抱える案件の量は、その時々によって変化します。また、あなた以外も数多くのフリーランスがいるため、仮に潤沢に案件があったとしても、あなたがどれだけ受注できるかはまた別の話です。
このようにフリーランス自身の努力以外の部分で、収入が下がることもあるのです。それではどのようにして、少しでも収入を安定させればよいのでしょうか?
極論、フリーランスである以上、収入が安定することはないでしょう。しかし、収入の下限値をあげていくことは可能です。
たとえば、フリーランスになって間もないころの収入が10万円±5万円だったとします。この場合下限値は5万円となり、この収入では生活できません。しかし、実績と信用を積み重ねていけば1年後には30万円±10万円の収入を得られるようになるかもしれません。この場合下限値は20万円ですので、この金額以内に生活費を切り詰めればどうにか生活できるでしょう。
案件の営業、スケジュール管理、収支管理、実務などすべて自分でする必要がある
会社員のころは全社員で仕事を分担していたため、担当の仕事だけしていれば問題ありませんでした。たとえば、営業は仕事の受注だけすればよく、経理(会計)は収入と支出の管理だけすればよいのです。また、実務(製造業なら製品を作ること)にもそれぞれ担当がいるため、自分が担当する仕事だけすれば問題ありませんでした。
しかし、フリーランスはこれらの仕事をすべて自分でする必要があります。クライアントに営業をかけて案件を受注し、スケジュールに落とし込んで管理する。そして、案件をこなして得た収入とかかったコストを管理します。コストには自分の労務費は入らないかもしれませんが、かかった時間は加味しないといけません。ここでもスケジュール管理能力が必要になってきます。
そして、現在の事業(案件)の見直しや将来的な舵取り、つまり経営も自分でしなくてはならないのです。誤解を恐れずいうと、フリーランスとは非常に規模の小さい会社を自分一人で経営しているのと変わらないのです。もちろん帳簿付けといった地味な作業も仕事のうちとなってきます。
人間関係も含めて自己責任
フリーランスになるとまずは案件の獲得(営業)が必要になります。そして、営業のためだけに限らず人間関係(交友関係)が広がっていくでしょう。会社員は仕事でかかわる決まった人とだけ関わっていれば問題ありません。極論プライベートで関わる人がゼロでも仕事はできます。しかし、フリーランスの場合、多くの人(クライアントを含む)と関わることではじめて得られる仕事もあるのです。
しかし、世の中にはさまざまな人がいます。会社員の場合、「入社試験に合格した人」という一定のフィルターがありますが、世間には本当にさまざまな人がいるのです。中には悪いことを考えながらあなたに近づいてくる人もいるでしょう。反対にあなたから近づいていった人が、実は悪いことを考えている場合もあります。
このようにフリーランスは交友関係も自己責任になってきます。人を見る目を養い、付き合ってはいけない人を見極められるようになりましょう。そして、そのような人を見つけたら近づかない方がよいでしょう。仮に何かトラブルに巻き込まれても、すべてあなたの責任になります。
フリーランスになるために必要な手続き
フリーランスを名乗るだけなら何もする必要はありませんが、フリーランスとして実際に働き始めるためには、入念な事前準備が欠かせません。しっかり計画を立て、順調に仕事をスタートさせる手続きをすませておきましょう。
フリーランスは仕事探しから
フリーランスに限った話ではありませんが、仕事が受注できてはじめて、職業として成立します。キャリアを積んでいけばスカウトの機会も増えてきますが、スタートアップでは様々な方法を駆使して仕事を見つけましょう。
- 知人からの紹介
- 退職前の職場から業務委託を受ける
この2つは、今の人脈から仕事を探す方法です。信頼できるところから仕事を見つけられるという大きなメリットがありますが、依頼される業務の範囲はある程度限られてしまいます。
- クラウドソーシングの利用
- フリーランスエージェントを通す
フリーランスの実績が少ない場合は、クラウドソーシングのマッチングサービスを利用するのもよいでしょう。数割の仲介手数料が差し引かれますが、フリーランスとして実績を重ねながら仕事ができる点がメリットです。
フリーランスとしてある程度実績や経験を積んだ人は、それに見合った案件をピックアップしてくれるエージェントを利用するという方法もあります。自分の能力を客観的に評価してもらえるため、より適した案件に巡り会うことも可能です。
このほかにも、ブログやホームページの活用・SNSを使った営業活動・コミュニティや交流会への参加など、仕事を探す手法は多岐にわたります。
フリーランスになるときの事務手続き
専業のフリーランスとして働く場合には、社会保障関連の手続きや税関係の手続きも忘れず行いましょう。
フリーランスが加入できる健康保険や年金は、原則として国民健康保険や国民年金になります。退職してフリーランスになる人は、社会保険資格喪失証明書(連絡票)や離職票など、退職日や社会保険の資格喪失日がわかる書類を市区町村の役所に提出しなければなりません。その際、印鑑や本人確認書類・年金手帳・マイナンバーカードなども持参しましょう。
開業届とも呼ばれる「個人事業の開廃業届出書」は、個人事業の開業を税務署に申告する書類です。開業届を提出しなくとも罰則はありませんが、青色申告をするには開業届が必須です。
フリーランスになる前からあるといいスキル
職種を問わなければ、フリーランスはどんな仕事に就くことができます。スキルがあれば高収入が望めますが、必ずしも専門的なものでなくても身につけられるものがあります。
文章の作成能力
フリーランスの代表的な職種であるWebライターは、一定の文章作成スキルが求められます。しかし小説を書くような表現力ではなく、簡潔でわかりやすい文章力の方が、Webライターとしての活躍が期待できます。
クライアントの目的に沿った文章を作成するWebライターは、多くの場合「より閲覧回数を増やして検索エンジンの上位表示を狙う」ための記事作成を依頼されます。その手法であるSEO対策や専門分野に関する知識があれば、より効果的なWeb記事が書けるので、高収入を得られる機会も増えるでしょう。
システム・アプリ開発ができるITスキル
フリーランスで高収入の職種といえば、ITエンジニアを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
各種の業務システムやアプリを開発するITエンジニアに要求されるITスキルは、これからの時代になくてはならないスキルのひとつです。一長一短に習得できるものではありませんが、システム開発会社で働きながら学ぶことができます。
またITスキルを身につけると、フリーランスになってもマネジメントやコンサルティングなどIT関連の幅広い仕事に就くことも可能です。
要望を形にする表現力
Webデザイナーなどに必要な表現力は、クライアントの望むものを形にしたり効果をアップさせたりと、書きたいことを自由に表現するアーティストや小説家の表現力とは意味合いが異なります。
Webデザイナーの場合、描画アプリやコーディングなどWebならではのスキルがあればよりよいといえますが、むしろデザイナーという側面から、数値化できないセンスは経験・未経験に関係なく重宝されるスキルといえるでしょう。
フリーランスは未経験でも活躍できる?
フリーランスはスキルさえあれば、経験の有無を問わず幅広いジャンルで活躍することができます。もっといえば、納品する成果物の質が高ければ高収入が期待できます。そのため、未経験であっても活躍できる場は多いといえるでしょう。
未経験の業種であっても、実績を積みながら資格を取得したりスキルを磨いたりすることで収入増を図ることができます。副業が認められている勤務先であれば、会社員として働きながらフリーランスとしての実績を蓄積することも可能です。
フリーランスは「結果が全て」というシビアな面がある一方、結果さえ出せば活躍できると言い換えることができるかもしれません。チャンスをつかんで実績を残し、さらなる活躍や収入増を図ることもできるのは、フリーランスならではのメリットともいえるでしょう。
まとめ
社会情勢の変化でワークライフバランスが重視され働き方も多様化する中、時間や場所を選ばず働けるフリーランスは、これからの時代に合った働き方のひとつです。
フリーランスは自分を守ってくれる存在がいない一匹狼と考えられがちですが、逆に言えば自分の仕事にだけ責任をとればいいということです。上司や同僚の尻拭いをする必要がないというのは、フリーランスの隠れたメリットといえるかもしれません。
必ずしもフリーランスに固執する必要はありませんが、ライフスタイルに合った働き方として選択肢に加えておけば、より自分らしい生き方ができるでしょう。
投稿者プロフィール
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私は10年以上にわたり、デザイナーとしてのキャリアを積んできたフリーランスデザイナーです。デザインの魔法に魅了され、クリエイティブなアイデアを実現することが私の情熱です。
さまざまなデザインプロジェクトに携わり、ロゴ、ウェブ、印刷物、パッケージなど、多岐にわたる分野での経験を積んでいます。美しさと実用性を融合させ、クライアントのビジョンを実現するお手伝いを心から楽しんでいます。
クライアントとの協力を大切にし、オープンなコミュニケーションを通じて共にプロジェクトを築き上げます。納期を守り、高品質な成果物を提供することをお約束します。
私のデザインはビジネスに魅力を与え、ブランドを輝かせます。クリエイティブなアプローチと柔軟性を大切にし、クライアントの期待をいつも超えることを目指しています。一緒に素晴らしいプロジェクトを実現しましょう。
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