フリーランスが営業代行をするにはどうすればいい?仕事内容や必要なスキルを丁寧に解説

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ライター、デザイナー、イラストレーター。

さまざまな職種のフリーランスがいますが、営業に特化したフリーランスをご存知でしょうか?

実は営業職社員の固定費(労務費)削減などを目的として、営業(営業マン)を外注化する企業が増えてきています。

この記事では営業代行を専門とするフリーランスの仕事内容や、必要なスキルについて述べます。現在、営業職の会社員でフリーランスに興味のある方や、すでにフリーランスとして働いていて営業代行をやってみたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

フリーランスの営業代行に依頼される仕事の内容例

一般に営業といえばB to Bをメインに、電話やメール、それにWeb会議システムを活用して商品・サービスを見込み客に紹介・成約する仕事です。

ここではフリーランスの営業代行の仕事の例を紹介いたします。

新規顧客の開拓のための営業代行

一つ目は新規顧客の開拓です。営業と聞くと自分の足を使ってとにかく企業訪問を繰り返すイメージがありますが、営業代行ではリモート営業も行われます。

リモートなら多少肉体的な負担は少ないとはいえ、営業の中でもっとも難しいのが新規顧客の開拓と言われています。100件挑戦して1件反応があれば良いなど、気の遠くなるような作業と自ら改善を重ねる努力が必要なことは覚えておきましょう。

ルートセールスのための営業代行

二つ目はルートセールスです。ルートセールスとは既存顧客との関係を継続したり、より強化するための取り組みで、すでに顧客になってもらっているため新規顧客開拓よりはスキル面でのハードルは低いかもしれません。

こちらもリモート営業が広まってきているため、在宅でも対応可能な案件もあることでしょう。

テレアポの営業代行(アポ取り・成約)

テレアポとは電話を使った営業のことをいいます。顧客に電話をかけて、ニーズや困りごとを聞き出したり、おすすめの商品・サービスを説明したりします。

ただ、電話をかけて話をすればいいだけでなく、目的(アポイントメントや成約)に沿ったスクリプト(台本)を作成して話します。新規顧客開拓の場合は顧客に相手にされない場合も多く、かなり根気のいる作業となります。また、改善を重ねないといつまでも結果の出ない厳しい仕事でもあります。

営業代行をするメリットとは

フリーランスで営業代行をするメリットとは何があるでしょうか?

在宅でできる案件もある

営業には興味あるけど、会社員のように決まった時間に決まった場所に行きたくない(行けない)方もいるでしょう。しかし、営業代行の仕事であれば在宅でできる仕事もあるため、自宅にいながら営業の仕事ができます。

案件にもよりますが、働く時間を制限されないのも営業代行のいいところ。顧客の都合もあるため好き勝手に働く時間を決められるわけではないものの、ある程度働く時間の融通は効かせられるでしょう。会社員のように他人(会社)に始業時間や就業時間を決められることもありません。

多種多様な商材を自分で選べる

会社員として営業の仕事をしていると扱える商材は限られます。業界大手のメーカーや商社だとしても、扱っている商材は世の中にある商材のほんの一部です。

しかし、フリーランスとして営業代行をすれば、契約するメーカーや商社あるいはエージェントにより、扱う商材が変わってきます。反対に考えれば自ら商材を決めることもできます。また、扱ってみて「自分に合わないな」と思えば他のメーカーや商社と契約すればいいだけです。始めるのも辞めるのも、続けるのも変えるのもあなたの自由なのです。

収入が青天井

収入に上限がないのもフリーランスで営業代行をするメリットです。

会社の場合、いくらアポイントメントや成約をとっても給料には一定の上限があります。「◯◯株式会社」のように誰もが知る超有名企業であっても、収入の上限は決まっています(一般的な会社よりは高水準かもしれませんが)。

しかし、フリーランスの場合は案件を自分で選べるため報酬に上限はありません。報酬の受け取り方の種類は後述しますが、リスクをとって成果報酬型(歩合制)で高単価案件に挑戦することもできます。

フリーランスの営業代行のデメリット

フリーランスの営業代行には多くのメリットがありました。反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか?

成果を出さないと報酬が発生しない

営業代行には大きく分けて3種類の報酬形態があります。

1つ目は固定報酬型。これは成果によらず固定の報酬をもらえるという形態です。2つ目は成果報酬型。これは契約金額の一部を報酬としてもらう形態で、成果が出てはじめて報酬をもらえます。3つ目は固定報酬型と成果報酬型のハイブリッド型です。

固定報酬型の場合は成果が出なくても報酬が出ますが、成果報酬型やハイブリッド型の場合は、成果が出ないと報酬の一部、あるいは全部が支払われません。「もう少しで契約できたのに……」という案件がいくつあっても報酬にならないのです。

成果報酬型は文字通り成果だけがすべてであり、プロセスは一切評価されません。代わりに、収入が青天井というメリットを享受できるのです。そのため、はじめのうちはなかなか結果が出せず、報酬が営業職の会社員以下ということもよくあることです。

クライアントとの連絡が密になる

前述の通り、営業の仕事は企業の営利活動の根幹となる仕事です。そのため、経営者からすると営業の仕事の進捗具合がとても気になるでしょう。必然的にクライアントから報告を求められる回数が多くなる場合もあります。

しかも、営業先とのやりとりをもっとも詳細に把握しているのは、実際に営業活動をしているあなたです。クライアントへの進捗状況説明のとき、楽観的に報告すると必要以上に期待され、悲観的に報告すると必要以上に状況を悪く判断される場合があります。

言葉の受け止め方や進捗に対する考え方は人それぞれ。結論からいうと、経験を積む中で調整していくしかありません。しかし、一つだけアドバイスするのであれば事実と自らの推測を明確に分けて報告するとよいでしょう。そうすると、クライアントもあなたの話を理解しやすくなり、話の齟齬が発生したり余計なトラブルに発展したりすることも少なくなるでしょう。

クライアントの企業名に傷をつけないようにする

営業代行の仕事をするとき、場合によってはクライアントの企業名を名乗ることがあります。営業先の方からすると、企業名を名乗る以上あなたがフリーランスなのか正社員なのか関係ありません。つまり、クライアントの企業名を背負って仕事をすることになります。

一般的なフリーランスのように完全に個人名で仕事をするときは、仮に大きなミスをしたとしてもあなたの名前が傷つくだけです(もちろんクライアントに大きな迷惑をかけますが)。しかし、クライアントの企業名を名乗れば、大きなミスをしたときにクライアントに致命的な傷を負わせるかもしれません。

企業名を名乗るということは、契約形態を別にするとその企業の社員であると見られることを覚えておきましょう。

クライアントの事情に振り回される

クライアントは自社の都合で、フリーランスの営業代行のあなたに仕事をお願いしています。自社の都合というのは、急に扱う商材が増えた、急に営業社員が退職したなどさまざまです。反対に考えると、クライアントの都合で突然あなたの仕事がなくなることもあるのです。

たとえば前述の成果報酬型の仕事をしていた場合、契約前に自身の仕事がなくなればそこまでの努力がすべて水の泡になります(クライアントからするとありがたいですが)。

しかし、フリーランスとは、そもそも組織に属さないという選択をした人です。フリーランスが組織に対して都合よく考えているため、組織(企業)からも都合よく考えられるのは仕方のないことでしょう。

フリーランスとクライアントの関係では、お互いの需要と供給がマッチしたときに仕事が発生します。そして、その状態にはいつか終わりがきます。よくも悪くもこれがフリーランスの宿命なのです。

PDCAやスキルアップも含めて自己責任

会社員であれば、先輩は上司から自分の仕事のフィードバックや支援をもらえるでしょう。企業からしても、会社員(正社員)を育てて将来的に大切な戦力にしなければならないため必死です。しかし、フリーランスはそうではありません。能力が足りない、自社のカラーに合わないと思えば契約を終了させればよいだけなのです。そのため、詳細なフィードバックや自分の成長のための言葉は、ほぼもらえないと思っておいた方がよいでしょう。

フリーランスは、自分の知識とスキルを使ってプロとして仕事をする人です。クライアントに育ててもらおうと思ってはいけません。また、クライアントにフリーランスを育てる義務はありません(メリットならあるかもしれませんが)。はじめからクライアントを満足させられる、プロのフリーランスになりましょう。

フリーランスで営業代行の相場とは

ここではフリーランスの営業代行の報酬の一例を種類ごとに説明いたします。

固定報酬型

はじめに紹介するのは固定報酬型です。

この方式は会社員のようにあらかじめ報酬が決まっているものです。条件にもよりますが、月50万円〜60万円程度(日当2.5万円〜3万円程度)稼げる案件もあるようです。

成果報酬型

次に紹介するのは成果報酬型です。

この方式はあらかじめ決まっている単価に件数をかけて報酬が決まるものです。成約単価はアポイントメントとクロージング(成約)で異なります。

  • アポイントメント:1.5万円〜2万円程度/件
  • クロージング  :売上の30%〜50%程度

このように単価があらかじめ決まっているため、件数が多ければ多いほど報酬は高くなります。高収入は見込めますがリスクも大きいため、ある程度スキルと自信がある方向けと言えるでしょう。

複合型報酬

最後に紹介するのは複合型報酬です。これは固定報酬型と成果報酬型をミックスしたもので、固定報酬型の安定性と成果報酬型の高収入の可能性を併せ持っています。

報酬は案件によりますが、固定報酬部分は月25万円〜50万円程度、成果報酬分は案件と件数により異なります。

営業代行に必要なスキルはなにか

ここでは営業代行に必要なスキルを三つ紹介いたします。

傾聴スキル

はじめに紹介するのは傾聴スキルです。

ビジネスの基本は顧客の困り事を解決すること。そのため、傾聴スキルは必須のスキルと言えるでしょう。困り事が言語化されていて「この問題を解決してほしい」と具体的に言ってもらえれば助かるのですが、そういった顧客ばかりではありません。

中には現状のヒアリングなど困り事を探すところから始める必要もあります。そのようなとき傾聴スキルが必要になります。

プレゼンスキル

二つ目に紹介するのはプレゼンスキルです。

これは商品・サービスの魅力を伝えるとともに、顧客にベネフィットを説明する力でもあります。

たとえば商品・サービスがいかに素晴らしいものであっても、またその魅力を十分に伝えられたとしても、それが顧客の問題解決や幸せにつながらないのであればその商品・サービスは不要です。あなたが販売する商品で顧客のどのような問題が解決するのか、顧客はどのように幸せになれるかが大切なのです。

上記のような説明(ベネフィット)を顧客が理解して納得してくれれば、気持ちよくお金を払ってくれるでしょう。

商品・サービスの知識

三つ目に紹介するのは商品・サービスの知識です。

基本的なスペックや機能・効果はもちろんのこと、原材料や動作原理、商品コンセプトやその理由・背景など、何を聞かれても自信を持って答えられるのがベストです。

特に商品コンセプトやその理由・背景を気にする企業の担当者は意外にいます。交渉の場では納得感と信頼感が必要なため、あなたの商品・サービスの知識が販売を左右することもあるでしょう。

営業代行マッチングサービス

ライターやデザイナーのフリーランスに向けたクラウドソーシングやエージェントがあるように、営業代行のフリーランスにおいてもマッチングサービスがあります。

扱う商材や報酬の種類などそれぞれのマッチングサービスに特徴があります。各サービスの特徴やルールをよく理解して、自分の営業スタイルに合った案件を獲得するようにしましょう。

どのようにして仕事を獲得するのか

営業代行のフリーランスが仕事を獲得する方法を紹介いたします。

クラウドソーシングサイト

営業代行の仕事を獲得しようと思っても、実績がないうえ人脈もないという方もいるでしょう。そのような方は、はじめクラウドソーシングサイトを利用すればよいでしょう。営業の仕事の中には、たとえばテレアポのように「誰でもはじめられるが根気のいる作業」があります(もちろん知識やスキルも必要)。このような仕事であればクラウドソーシングサイトから受注できます。

営業代行に限らずクラウドソーシングサイトには、単価は安いけど実績を作りやすい案件が数多くあります。特にはじめのうちはクラウドソーシングサイトで仕事を受注し、自らの経験を積みながら、実績を作ればよいでしょう。クラウドソーシングサイトでの実績を武器に、さらなる仕事の獲得につながる場合もあります。

ただし、サイトそのものの利用料金はかからないものの、案件獲得時に手数料がかかります。

フリーランスエージェント

営業代行の仕事を獲得するにはフリーランスエージェントサービスを利用する方法もあります。クラウドソーシングより単価が高く、期間も長い仕事を紹介してもらえるでしょう。もちろん相応のスキルも必要なため、実績がものをいいます。

フリーランスエージェントでは、フリーランス一人につき担当者がつきます。担当者はフリーランスの仕事について相談に乗ってくれるだけでなく、将来的なキャリアについてサポートしてくれることもあります。

フリーランスエージェントを上手に活用して、フリーランスとしての自分の価値を高めていきましょう。

経営者への営業

企業が利益を上げるためには売上を立てなければなりません。そして、売上を立てるためにはじめに必要になる仕事が営業なのです。しかし、自社によい営業人材がいなかったり、営業人材の採用に苦戦しているなど営業体制が整っていない企業の経営者も数多くいるでしょう。そのような経営者と知り合いになれば、営業代行の仕事を獲得できるかもしれません。

直接知り合った経営者の方から仕事をもらえるのは大変うれしいことです。しかし、相手を直接知っているからこそ、何かミスをすれば印象がすぐに悪くなります。経営者から直接仕事を獲得するときは、きちんと相手の役に立てるか(自分にその商材を売る営業力があるか)見極めて、今後の関係性も大切にしながら仕事を進める必要があります。

知人からの紹介

営業代行の仕事をやっていると、前述の経営者だけでなく、以前のクライアントなど知人が増えていきます。営業代行だけではありませんが、フリーランスが仕事を獲得できるかは信用の度合いにも関係しています。周囲から信用してもらえているなら、以前一緒に仕事をしたクライアントや、クライアントの知り合いの方などから仕事を獲得できることがあります。

おわりに

近年さまざまな職種がフリーランス化(外注化)されており、かつては直社員が当然のようになっていた営業もフリーランス化されています。

フリーランス化されてということは、自分で好きなように案件(商材)を選べ、好きなように稼げるということです。

もちろんリスクはありますが、それぞれが目指す成功に向かって事業を進められるチャンスではないでしょうか。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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