フリーランスとフリーターの違いは何?平均年収が約170万円違う理由とは?

How

学校を卒業したら新卒で正社員として就職する。

かつてはこのような進路に進み、約40年働いたのち定年退職をむかえる方が多い時代もあったでしょう。しかし近年、多様化の波は働き方にも押し寄せ、正社員以外の働き方をする方も多くいます。

その例がフリーランスとフリーター。どちらも「フリー」という言葉が入るため一見、共通点が多くありそうな両者。しかし、両者には働き方やお金の受け取り方、それに専門スキルの必要性など、大きな違いがあるのです。

この記事ではフリーランスとフリーターの違いやメリットを解説しています。また、最後にはフリーターからフリーランスになる方法を紹介しています。

「何をどうしたらよいかわからない」
「道のりがとても遠いと感じる」
フリーランスになってもフリーターと同じなのか」

このようなイメージを抱くことがあるかもしれませんが、結論から言うと誰でもフリーランスになれます。
この記事が、あなたの行きたい方向に人生の舵を切るきっかけになることを願っています。 

フリーランスとフリーターの違いとは?

日本における労働人口の10%にも満たない約400万人がフリーランスであることがわかっています(フリーランス白書2023調べ)。

残念ながら会社に勤めていないというだけでフリーターか無職とされる風潮が日本にはあります。日本の義務教育は組織のための教育と言われていることがひとつの要因です。働き方の多様化は進んでいるとはいえ、会社に属さないことをまだ理解してくれない人もいます。ここではフリーランスとフリーターの決定的な違いをわかりやすく解説しています。

各々の言葉の定義

はじめに各々の言葉の定義を紹介します。

フリーランス

特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人

フリーランス白書2020より抜粋

案件ごとの契約で組織に従属しない働き方の総称です。自分でクライアントから仕事を請け負い、収入が発生すれば立派なフリーランスです。似た言葉に個人事業主がありますが開業届を出して個人で事業を営む人のことを指します。税務上の所得区分でそうしているだけで働き方に違いはありません。

フリーター

15歳〜34歳の男女、学生は除く、女性は未婚に限る雇用者のうち、勤め先における呼称がパート・アルバイトの者。完全失業者のうち、探している仕事の形態がパート・アルバイトの者。非労働力人口で、家事も通学もしていないその他の者のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態がパート・アルバイトの者。

平成3年版労働経済の分析より抜粋

アルバイト

非正規雇用のひとつです。法律上の区分はパートと同じです。フリーターは扶養から外れている社会人のアルバイトです。扶養に入っているとフリーターとは呼ばれません。単にアルバイトと呼ぶことが一般的です。

パート

非正規雇用のひとつです。法律上の区分はアルバイトと同じです。元々は限られた時間に働く人全般を指していましたが、今は扶養内で限られた時間に働く主婦(主夫)のことを指す傾向にあります。

契約社員

雇用期間が決まっており会社と雇用契約を結んで働きます。一定条件を満たせば正社員と同じく社会保険(厚生年金、健康保険など)加入が適用されます。

派遣社員

こちらも雇用期間が決まっていることは契約社員と同じですが、派遣先の会社員としては扱われず、社会保険の適用がなされません。

フリーランスとフリーターの違いについては一覧表にまとめましたので、確認してみてください。

フリーランスフリーター
雇用形態業務委託契約雇用契約
所得の種類事業所得給与所得
専門スキルの必要性必要ほぼ不要
平均年収350万円程度180万円〜210万円程度
確定申告必要不要※必要な場合あり
働く時間・場所自分で決められる※ただし、場所は契約による時間のみ自分で決められる
社会的信用低い※ただし、収入による低い

雇用形態

フリーランスは企業や組織に属さずに働きます。そのため契約は案件ごととなり、あくまでもその案件を遂行するためだけの契約を結びます。

一方、フリーターは正規雇用ではないものの、あくまでも企業の従業員として雇用契約を結んで働きます。一般に会社員(正社員)の雇用契約で期限は定められませんが、フリーターの場合は期限が決まっていることもあります。

所得の種類

フリーランスは成果物を納品した対価として、お金を受け取ります。そのため、所得の種類は「事業所得」となります。

一方、フリーターは企業に労働力を提供した対価としてお金を受け取ります。所得の種類は正社員と同様に「給与所得」となります。

専門スキルの必要性

フリーランスは自らのスキルで業務を遂行してお金をもらうもの。そのため、専門スキルがなければ仕事の単価が低いしかできないばかりか、そもそも仕事を受注できないこともあるでしょう。

一方フリーターは、ごく一部の職種をのぞくと専門スキルは必要ありません。仕事(作業内容)はマニュアルで決まっており、マニュアルさえ覚えれば誰でもできる仕事が多いためです。

平均年収

専門スキルの必要性は年収にもあらわれています。

フリーターの平均年収はフリーランスの約半分と低くなっています。また、フリーターはフリーランスと違い労働基準法により労働時間を管理されます。そもそも単価が低いうえ、自分の裁量で労働時間を増やせないため、年収を一定以上あげるのは難しいでしょう。

対してフリーランスは専門スキルが必要なため、フリーターよりも平均年収が高い結果となっています。しかし、フリーランスの年収の集計には副業の方も含まれているため、独立した方のみなら平均年収はさらに上がるでしょう。

また、スキル次第で年収があがる点もフリーランスの特徴。中には年収1,000万円を超える方もいます。

例えばフリーランスの中で高収入なのがIT・情報通信系のエンジニアやコンサルタントです。この中の約8割が400万円以上を稼いでいます。次いでWeb系の中では約5割が400万円以上を稼いでいます。もう一度言いますが、スキルや資格が必要な仕事ほど収入が高い傾向にあります。

確定申告

確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの所得と税金を計算して申請する手続きです。フリーランスの場合は国が収入を管理できないため、毎年確定申告を行う必要があります。

一方、フリーターの場合は正社員と同様に所属する企業が年末調整を行ってくれるため、確定申告をする必要はありません。しかし、年末調整を行わない企業や、複数の企業に所属している場合は確定申告が必要となります。

働く場所と時間

フリーランスが求められるのはあくまでも成果物。そのため、期限内に決められたクオリティ以上の成果物を納品すれば基本的に働く場所も時間も自分で決められます。ただし、フリーランス=完全フルリモートというイメージは間違いです。職種によっては企業に出向・常駐したり、定期的に出社したりする可能性もあるので注意してください。

一方、フリーターに求められるのは労働力。企業が決めた場所で決められた時間働く必要があります。

社会的信用

正社員であればクレジットカードやローンの審査に通りやすく、賃貸物件を契約するときに収入を理由に断られることはほぼありません。しかしフリーランスやフリーターは、収入が不安定と見られるため、社会的信用は比較的低い傾向にあります。フリーランスの場合は人によって年収は様々。正社員と同等以上の収入があれば、問題なくローンを組めたり賃貸物件を契約したりできます。

フリーランスのメリット

スキルの壁はありますが、フリーランスを経験することで得られることはとても多いです。

  • 労働環境の自由度が高い
  • 仕事を選択できる
  • フリーターよりも稼げる可能性がある
  • ビジネスの経験値が上がる
  • コネクションができる

労働環境の自由度が高い

働く場所や時間を自分で決められることでしょう。毎日同じ場所で同じ時間だけ仕事をするのが苦痛であったり、家庭の事情で決まった時間に働けない方にとってはありがたい働き方です。フリーランスの一番のメリットと言ってもよいでしょう。

仕事を選択できる

好き・得意は仕事を続ける上で超重要ポイントです。好きなら多少大変なこともなんとかしようと思えるからです。「やる機会がなかった」「とりあえず給料がいいからやっていた」など、気持ちの面で諦めていたことも選択できるようになります。また、人間関係で悩みにくくなるため仕事に関連することの自由度が高いのは確かです。

フリーターよりも稼げる可能性がある

場所や時間を選ばない分、効率よく稼げる点です。また、時給や日給と違い、仕事の質が高ければそれに見合った価値を買ってくれる人がいることです。スキル次第で年収が青天井であることもフリーランスのメリット。そのため質を高めたり量をこなせばこなすほど報酬は右肩上がりになります。

ビジネスの経験値が上がる

自分で仕事をとって、打ち合わせをして、報酬をいただき、収支を管理して税金を納める。一連の流れを経験できることはフリーターや会社員では経験できないことです。会社員と比較すると拘束時間が少ないため経験値を上げるスピードは速いと言えるでしょう。

コネクションができる

仕事で人脈を広げられることは今後の人生において大きな武器になります。会社員の場合、人脈ができたとしてもそれは個人ではなく対会社として繋がっていることに過ぎませんし範囲は限られます。ところがフリーランスの場合は、繋がれたのは個人の力であり、様々な経営者やプロと接する機会が格段に増えます。営業も自分でやらなければならないのは正直大変ですが、その分得られるものは大きいでしょう。

フリーターのメリット

  • 収入が労働時間で決まる
  • 勤務時間の自由度が高い
  • 別業種を並行で経験できる
  • 業務がマニュアル化されている
  • 仕事を変えやすい

収入が労働時間で決まる

働いた時間分だけ確実に収入につながることです。フリーランスと違い成果を求められないため、働いた時間が長ければ長いほど収入は高くなります。フリーターの一番のメリットと言ってもよいでしょう。

ただし自分の身体はひとつなので1日に働ける時間には限りがあります。逆算すると年収はおのずと決まり、それ以上が見込めません。給与体系はほとんどの場合、時給か日給で正社員との共通点は月給制や年俸制などと同じく収入の見立てやすさにあります。

勤務時間の自由度が高い

パート・アルバイトは基本的にシフト制のため自分で勤務時間をコントロールすることが可能です。無理強いをすることなく仕事に取り組めるのはメリットです。ただし、前述のとおり勤務時間と収入の比例関係は崩すことができないため、最低限生活できる分は必ず労働時間を費やす必要があります。

別業種を並行で経験できる

時間の許す限り掛け持ち可能なため、異なる業種での経験を積むことができます。どれか一つに絞って極めるのもよいですが、浅く広く経験することも大切でしょう。

業務がマニュアル化されている

パートやアルバイトに任せる仕事は人が代わってもできるようにしています。まずは言われたことを決められた範囲できっちりこなすことを身につけるにはよいでしょう。裏を返せば責任ある仕事は任せられないということでもあるため、このメリットはデメリットの側面も持ち合わせます。

仕事を変えやすい

賃金が低めに設定されている分、雇用主側もそれほど期待していないのが現実です。だからと言ってすぐに辞めたりすることは望ましくありませんが、気軽に応募できたり仕事を変えたりすることは難しくないでしょう。ただしフリーターや正社員に限らずどんな仕事でも辞めるときは1ヶ月前申告が原則です。このメリットは契約社員、正社員とステップアップを考えている方には当てはまりませんね。

フリーターからフリーランスになる方法

フリーランスで生きていくのは正直簡単ではありませんが、経歴に関わらず誰にでもなれるチャンスがある側面も持っています。

「でも何もないところからできるはずがない」
「仕事がなくなったらどうしよう」

とどうしても後ろ向きな気持ちが出てきてしまうのは当然ですよね。

メリットを比較するとフリーターも不安定というわけではなさそうに見えます。ところが、いつまでもフリーターのままでいると、仕事は単調で専門スキルがつかず年収もあまり上がりません。フリーターの中には今の職種で、より高度な仕事がしたいと思っている方もいるでしょう。

もし、あなたがそう思っているならフリーランスになることをおすすめします。

できることをまず探す

まずは自分ができることは何か、何で稼ぎたいかを探してみましょう。例えば、幼い頃から好きが高じて専門的な知識を身につけていることはありませんか?日常でこれだけは継続しているということは何かありませんか?

できないけどやりたいことは何か

考えてもできることがないという方もいますよね。では「興味がある」「続けられそう」という観点ではいかがでしょうか?これらの感じ方は仕事をする上で大事なことです。この場合はスクールや通信教育でスキルを習得してからが近道になります。Webライターや動画編集はスキルがなくても比較的簡単に始められるため人気があります。ただし収入にこだわるなら例えば、Webデザイナー、プログラマーを目指してからWebディレクターやコンサルタントにステップアップするパターンもあります。

スキルを身につけるために

しかし、専門スキルがない状態でいきなりフリーランスになっても仕事は受注できず不安定な収入になるでしょう。まずは専門スキルを身につけることに注力します。専門スキルを身につけるには次のような方法があります。

  • 目指したい職種で正社員になる
  • (正社員になれない場合は)社会人インターンに応募する
  • クラウドソーシングサイトの案件で実績を積む
  • セミナーに参加する
  • 名刺やポートフォリオを作成する

目指したい職種で正社員になる

正社員になれば専門スキルを身につけられ、経験も積めます。

合わせて基本的なビジネスマナーも身につきます。ビジネスマナーに欠ける行為はクライアントとの信用を失いかねません。「自分の素性を明らかにして連絡先を交換する」「かっこよさではなく清潔感を優先する」「相手の都合に配慮する」「感情的にならない」「迷ったり問題が発生したらすぐに相談する」を心がけましょう。

社会人インターンに応募する

今までフリーターとして働いていた人がいきなり正社員になるのは難しいもの。その場合は社会人を対象としてインターンに応募しましょう。報酬は低い場合が多いかもしれませんが、スキルと経験は手に入ります。

クラウドソーシングサイトの案件で実績を積む

クラウドソーシングとはクライアントがワーカーを公募できるサービスです。

クラウドソーシングサイトで小さな案件から実績を積む方法があります。小さな案件とはいえ、仕事は仕事。納期もクオリティも求められるため、自ら学んだりスキルアップしたいと自然なイメージを持つことになるでしょう。

何でも試してみることはフリーランスにとって重要です。例えばどの仕事が本当に向いているか自信がない人も含めてまずはやってみることです。自分の市場価値を把握することはひとつの指針になります。クラウドソーシングを活用して自分で案件をとる練習をしましょう。フリーランスになってもクラウドソーシングを使います。おすすめのクラウドソーシングサービスを紹介します。

報酬が発生したときに手数料を差し引いている収益システムなので、使用料は無料でお使いいただけます。複数のサービスに登録しておくことをおすすめします。

また、初心者の方、自分で案件を探すことやクライアントとの交渉が苦手な方は、エージェントをつけることをおすすめします。自分のことをよく知ってもらった上でエージェントがあなたにぴったりなクライアントと案件をマッチさせてくれます。

セミナーに参加する

同じ業界の人とつながるチャンスです。つまり困ったときに相談できそうな人を探せる場所でもあるのです。フリーランスは孤独でもあるので人とつながる機会は大切にしておきたいものです。情報をとにかくインプットすることも大事ですが、そればかりになってしまい、なかなか前へ進めないこともあるでしょう。ここはひとつ、セミナーへ行く目的を増やしてみるのはいかがでしょうか。

名刺やポートフォリオを作成する

フリーランスは信用という言葉に苦労することがあります。素性が明確であれば信頼度もアップしますよね。名刺には活動拠点の住所や連絡先の記載が必須です。

ポートフォリオとはプロフィールから始まり、どのような仕事を請け負って、どれくらい仕事の実績があるかをアピールするものです。クラウドソーシングでの実績ももちろん載せられます。ホームページを使う方法もありますが、SNSで発信する方が時間をかけずに簡単にできます。

まとめ

この記事ではフリーランスとフリーターの違いと、フリーターからフリーランスになる方法を紹介しました。

どちらを選ぶかはあなた次第ですが、収益性や将来性はフリーランスの方が高いかもしれません。

スキルが全くない場合は多少遠回りしてでもスキルを習得してからフリーランスを目指せば結果として近道になります。初心者のうちは報酬が思うようにいただけないこともあるでしょう。でもそれは実績を積むための必要な期間です。また、試さないことには向き不向きがわかりません。

スキルを上げてお金と時間の自由を手に入れたい方は、ぜひフリーランスになることを検討してみてください。

投稿者プロフィール

松田勇
私は10年以上にわたり、デザイナーとしてのキャリアを積んできたフリーランスデザイナーです。デザインの魔法に魅了され、クリエイティブなアイデアを実現することが私の情熱です。
さまざまなデザインプロジェクトに携わり、ロゴ、ウェブ、印刷物、パッケージなど、多岐にわたる分野での経験を積んでいます。美しさと実用性を融合させ、クライアントのビジョンを実現するお手伝いを心から楽しんでいます。
クライアントとの協力を大切にし、オープンなコミュニケーションを通じて共にプロジェクトを築き上げます。納期を守り、高品質な成果物を提供することをお約束します。
私のデザインはビジネスに魅力を与え、ブランドを輝かせます。クリエイティブなアプローチと柔軟性を大切にし、クライアントの期待をいつも超えることを目指しています。一緒に素晴らしいプロジェクトを実現しましょう。

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