フリーランスの働き方とは?会社員の違いやメリットデメリットなどをご紹介します

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「一生会社員でいることが正解の時代ではなくなった」

フリーランスに魅力を感じるが、会社員を辞めるのは怖い」

近年は働き方の多様化に伴い、人生(生き方)を真剣に考えた結果フリーランスとなる人が増えました。(※1)

しかし、フリーランスは会社員とはまったく違う働き方であり、フリーランスになりたくても一歩踏み出せない方もいるでしょう。

そこでこの記事では、フリーランスの働き方や収入、またフリーランスに向いている人など「フリーランス入門」となるような情報をまとめています。

今後フリーランスになりたい方や、会社員のまま働くつもりでもフリーランスという働き方(生き方)に興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

(※1)ランサーズ「フリーランス実態調査2021」より

フリーランスってどんな人?

そもそもフリーランスとは、会社員や公務員と異なり特定の団体には所属せず、個人で仕事(案件)を受注する働き方のことをいいます。

厚生労働省のガイドラインでは下記のように定められています。

フリーランスとは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」

フリーランスとはあくまでも働き方の呼称であり、フリーランスという職業(職種)はありません。

一口にフリーランスと言っても、職種はさまざまであり、エンジニア、コンサルタント、デザイナー、ライターなど分野が幅広いというのも特徴だといえるでしょう。

また、フリーランスと似た呼称として「個人事業主」があります。

これは税法上の呼称であり、会社などの法人を設立せず個人で事業を営んでいる人のうち、税務署に開業届を提出した方を個人事業主と呼びます。

すなわち、フリーランスのうち開業届を提出している人のことが、個人事業主と呼ばれます。

フリーランスの働き方の特徴

フリーランスは会社員とはまったく異なる働き方です。表1に相違点を示します。

表1 会社員とフリーランスの働き方の違い

会社員フリーランス
契約形態雇用契約業務委託契約
働く時間・場所会社に決められる自由
仕事内容会社に決められる自由
労働基準法の適用ありなし
税務処理会社がやってくれる
(年末調整、所得税・住民税の申請)
自分でやる(確定申告)

雇用形態

会社員は会社に雇用してもらうための契約をしますが、フリーランスは仕事(案件)そのものを遂行するための契約を結びます。そのため、フリーランスは案件ごとに契約を結ぶ必要があります。案件の獲得数がそのまま収入に直結するものであるため、案件が取れているときには高収入が期待できますが、なかなか案件が獲得できていないときには収入減が見込まれます。

特に、フリーランスとして活動し始めの場合は、なかなか案件が獲得できずに収入が挙げられないという壁に直面する場合も多いでしょう。

逆に、仕事が軌道に乗ってきたら仕事が獲得しやすくなることで、高収入を得るチャンスが出てきます。

働く時間や場所

会社員はすべて会社に決められますが、フリーランスは自分で決められます。自宅で働いてもいいですし、コワーキングスペース(※)などのサービスを利用しても構いません。ただし、案件によっては出社の必要があったり、守秘義務の関係でミーティングの場所に制約を受ける場合もありますので、業務ごとに確認が必要となるでしょう。

※ 近年メディアでも取り上げられているコワーキングスペースとは、さまざまな仕事を持つ人が共に働くスペースのことです。

フリーランスやテレワークの人たちが集まり、業務内容は違えどそれぞれが仕事に取り組む場となっています。

普段仕事で関わることのない人とのコミュニティーを形成することができたり、切磋琢磨しながら仕事に取り組むことができるというのが特徴です。

時間に関しては、自分の一日の生活リズムに合わせて労働時間を設定できるというのはフリーランスならではだといえます。

たとえば育児中であれば、子供が寝てから、もしくは起きる前の時間を有効活用したり、必ず平日何時から何時まで働くというような縛りがないため、平日に1日用事があれば、土日どちらかでその分の穴埋めをするというようなことも可能です。

そういった意味で、フリーランスはライフワークバランスを大切にしながら働くことのできるスタイルだといえるでしょう。

仕事内容

会社員の場合、希望は聞いてくれるかもしれませんが決めるのは会社です。しかし、フリーランスの場合は自分で決められるのです。

クラウドワークスなどのサイトを利用し、自分が興味があったり、条件に合う案件を見つけて手を挙げるという流れになります。

そのため、自分でやりたい仕事を自分で見つけることができるのがフリーランスの働き方の特徴です。

ただし、案件を受注するには面談や審査がある場合もあるため、必ずしもすべて希望が通るということではありません。人気の仕事であれば、面談や審査を通過するだけのスキルや経験は必須です。

そのため、安定して仕事の依頼を受けるためには、自分の実力を売り込むことができるようにブラッシュアップしていく必要があるといえるでしょう。

労働基準法の適用

会社員は当然労働基準法の適用を受けますが、フリーランスは適用外となります。

フリーランスの場合、業務の選択は自分自身で行い、その他労働時間や場所についても先のお伝えしたとおり、誰かに拘束されるものではないためです。

案件を獲得して、契約を締結した場合にも締結先の企業は指揮監督をする立場とはならないのです。

そのため、労働時間を管理されないなどのメリットもありますが、法律上労働者とみなされないため雇用保険の対象にはなりません。(もちろん雇用保険料を支払う必要もありません)

税務処理

会社員の場合は年末調整や税(所得税や住民税)の申請を会社がやってくれますが、フリーランスの場合は自ら確定申告をして納税する必要があります。

フリーランスとして仕事を行うのであれば、申告漏れ等がないようにあらかじめどのようなものが対象であるかを確認するとともに、必要に応じて会計ソフトを利用したり税理士に相談するなどの対策が必要となるでしょう。

その他にも、国民年金保険および国民健康保険などの社会保険料の支払いに関しても、全て自分でおこなう必要があります。

フリーランスを選ぶメリット/デメリット

フリーランスにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

フリーランスのメリット

フリーランスのメリットはいくつかありますが、代表的なものを二つ紹介します。

好きなことを仕事にできる

フリーランスは好きなことを仕事にできます。

会社員の場合は、たとえ希望を伝えたとしても、複数の従業員を抱えている以上かならずその仕事に就くことができるわけではありません。むしろ、希望が通らないということも多くなっているでしょう。

一方で、フリーランスであれば、案件単位で仕事を自由に選ぶことが可能であり、型にはまらずに仕事に取り組んでいくことができます。

極端に言えば、収入がきちんと確保できることが前提ではありますが、好きな仕事以外はやらないという選択ができるのです。

たとえば、Webライターの場合「ものづくり企業のSEO記事を書きたい」、「化粧品のLP(ランディングページ)を作りたい」「興味のあるプロジェクトに参加したい」など業種や成果物の形態をピンポイントで選べることから、フリーランスは好きなことや得意なことを仕事にできるのです。

そのため、フリーランスとして働く人はモチベーションを高い状態で保ち、仕事に前向きに取り組みやすい環境が整っているといえるでしょう。

自由度の高さがフリーランスとして働くメリットであるため、自分のやりたいことを仕事にしたいとお考えの会社員の方は、フリーランスに転身することを検討するのもありでしょう。

人間関係で悩むことが少ない

フリーランスは人間関係で悩むことがほとんどありません。その理由は、相性の悪いクライアントとは仕事をしなくていいためです。

たとえば、継続案件を受注したがクライアントからの指示が細かすぎたり、言葉遣いが気に障ったりすることがあるかもしれません。このようなときは、次回以降の契約を更新しなければいいだけです。(ただし契約が終わるまでは、きちんと契約内容を履行しましょう)

そのため、フリーランスは人間関係で悩むことがほとんどないのです。

また、フリーランスの業務はほとんどの場合が一人でおこなうものです。もちろん、事前の打ち合わせや納品などに関してはクライアントのやり取りなどが必要となりますが、基本的には仕事は自分で完結させるものとなります。

そのため、煩わしいしがらみなどがなく、ストレスを軽減させた状態で、自分のペースで仕事を進めていくことができるというのは大きなメリットだといえるでしょう。

フリーランスのデメリット

こちらもメリットと同様、代表的なものを2つ紹介します。

収入が不安定

フリーランスは会社員と比べると収入が不安定になります。その理由は、毎月決まった金額の報酬を受け取れないからです。

たとえば、思ったように案件が獲得できなければ報酬が減り、たまたま高単価案件を受注できれば収入が大きく増えることもあります。

このように、フリーランスは収入が不安定になりやすいのです。

先にもお伝えしましたが、特にフリーランスとしての活動を始めたばかりの時には、実績や経験不足によりなかなか交渉がうまくいかずに案件が獲得できず、収入もごくわずかということも多いでしょう。

実際、はじめからバンバン仕事を獲得することができるというケースの方がまれです。

クライアントからの信頼を受け、安定して仕事が獲得できるようになるには、やはり経験や実績を積むこと、そして資格取得などを目指し、積極的にスキルアップに取り組んでいくことが役立ちます。

また、仕事が獲得できたら、期限を守ることやクライアントの意図を汲み取った成果物とするなど次につながるような仕事の仕方をすべきだといえます。

とはいえ、どんなに自分の経験やスキルが上がったとしても、案件がなければ仕事を獲得することはできません。フリーランスとして働くのであれば、そういった状況もあり得るということをあらかじめ覚悟しておく必要があるといえるでしょう。

フリーランスエージェントを活用してみるというのもおすすめです。

フリーランスエージェントとは、フリーランスの案件獲得や契約・交渉をサポートしてくれるものです。

案件獲得の労力を軽減させられるほか、自分で進めるよりも、プロが経験や知識を活かして希望に沿った待遇で仕事を見つけるチャンスが広がります。

一口にフリーランスエージェントと言っても種類が豊富ですので、登録されている案件内容や件数、また口コミなどを参考にして自分に合ったものを見つけましょう。

社会的信用が下がる

フリーランスになると社会的信用が下がります。その理由は、給与を保証するものがなく、かつ不安定であるためです。

たとえば、住宅ローンを組む時、勤務している会社の規模と融資額にもよりますがローンそのものを銀行から断られることはあまりないでしょう。しかし、フリーランスの場合、フリーランスというだけでローンを断られる場合があります。

その他にも、クレジットカードの発行や家の賃貸、保険の契約などに関しても認められないというケースも出てきます。

近年はフリーランスが増えてきたため、確定申告の書類などで収入を証明すればまったくローンが組めなかったり、その他の審査を通らないという訳ではありません。ただし、会社員より社会的信用が低いという傾向は変わらないのです。

このように、フリーランスになると社会的信用が下がり、不利益を被る可能性があるというわけです。

どんな人がフリーランスに向いているのか?

ここではフリーランスとして活動するのであれば、どのような人が向いているのかについて見ていきましょう。

行動力のある人

仕事を獲得するために、自らを売り込み交渉していく必要があります。

積極的かつ迅速に行動を進めていくことができる人は、フリーランスとして活躍するチャンスがあります。

初めての場であっても、臆することなくむしろ好奇心をもって前向きに進んでいくことができる人にはフリーランスの仕事が向いているといえます。

コミュニケーション能力が高い人

交渉を進める上では、ただ単に自分をアピールするのみならず、クライアントの希望を聞き取り、それを仕事に反映させるために、的確なコミュニケーションをとることが必須です。

フリーランスは自分一人で活動を広げる必要があるため、さまざまな人との円滑なコミュニケーションを取っていくことが仕事を軌道に乗せるためには必要条件となってくるでしょう。

自分のすべての行動に責任を持てる人

その理由は、行動一つひとつが報酬に直結するからです。

たとえば、受注した案件を進めることはもちろん大切ですが、新規案件を探すことや人脈を広げることなどさまざまな行動が(短期、中長期に関わらず)報酬に直結します。

また、仕事に集中できずにダラダラしてしまうと、最悪の場合納期を守れず仕事を失います。

そのため、すべての行動に責任を持てる人でないとフリーランスは務まらないのです。

フリーランスになる前にしておくこと

フリーランスになる前にしておくことのうち大切なのは、フリーランスになる目的を明確にすることです。

その理由は、目的もなくフリーランスになった人はほとんど成功しないからです。

たとえば、新しくフリーランスになったAさんとBさんがいるとします。

Aさんはやる仕事が決まっており副業の経験もあり、そしてフリーランスとしてどう生きたいかが決まっています。一方Bさんは、ただ会社員の辛さから逃げるためにフリーランスになりました。

Aさんは目的が決まっているので目指すべきステージへ猛進するのに対して、Bさんはその準備ができていないため、どのように生きればいいか迷うでしょう。

そのため、フリーランスになる目的を明確にすることが大切なのです。

どんな職業が多いのか?

フリーランスにはどのような職業が多いのでしょうか?表2に代表的な職業をまとめました。

表2. フリーランスの代表的な職業

職業特徴
SE(システムエンジニア)システム構築(設計)をする仕事。
クライアントからの要望を聞いてどのようなシステムにするのか決める。
Webライター文章を書く仕事。SEO記事、インタビュー記事などさまざまな文章を書く。
イラストレーターデザイナーイラストを描いたり、素材を使ってデザインをする仕事。
イラストレーターはゼロからイラストを描くが、デザイナーはイラストやコピーなど素材を使ってデザインを構築する。
動画編集YouTube動画などを編集する仕事。素材となる映像を繋げたりカットしたり、あるいは効果音やテロップを入れたりする。
マーケター販売戦略を考える仕事。クライアントの要望をもとに、商品を売る仕組みを考える。行動心理学や販売心理学の知識が必要となる。

まとめ

この記事ではフリーランスという働き方について解説してきました。

フリーランスは会社員とはまったく異なる働き方であり、会社員のメリットはフリーランスのデメリット、また逆も然りです。

また、フリーランスに向いているのはすべての行動に責任を持てる人であり、その理由は一つひとつの行動が報酬に直結するためです。

会社員とフリーランスは働き方(生き方)が異なるだけで、どちらの方が優れているということではありません。

自分の人生を真剣に考えて、納得のいく生き方を選びましょう。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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