知らなかったでは済まされない!知ってお得!フリーランスが納める税金は一体いくら?

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フリーランスは確定申告を行なって税金を納めるというのは聞いたことがあるけれど、実際はどんな税金を納める必要があるのか、一体どれくらいかかるものなのか。フリーランスになる前に知っておきたいと思いませんか?この記事はあらかじめ知っておいて損はない基本的な知識を解説しています。フリーランスになるための心の準備ができるものになっていますので少しでもお役立てください。

フリーランスになったら支払わなければいけない税金の種類

支出の不安材料の1つ目は税金です。どんな税金があるのかを理解するところから始めましょう。

所得税

1月1日〜12月31日までの収入から算出します。所得とは簡潔に言うと収入から諸々の経費を差し引いた額を示します。日本は超過累進課税制度を適用しています。収入が多いほど納税金額も多いと言われますが、実は一定額を超えた分にのみ税率を高くしている制度なので、極力なだらかに納税額が上がるようにできています。

そして特別税として復興特別所得税があります。これは所得のある人すべてが対象で、一律2.1%上乗せ(2013年1月1日〜2037年12月31日の期間)のルールになっています。

住民税

都道府県および市区町村の両方に支払う税金のことです。6月頃に納付書が届き、年4回に分けて支払います。一方、会社員は給料から天引きされる(源泉徴収)ため納税忘れがほとんど起こりません。

個人事業税

これも都道府県に支払う地方税のひとつです。業種によって税率が変わり、3〜5%がほとんどです。詳しくは計算方法のところで説明しますが、所得が290万円以下であれば税金はかかりません。

出典:東京都主税局「個人事業税」

個人事業税を払わなくて済む業種は表に載っていない代表的なものとして以下があります。

 ✔︎文筆業
 ✔︎翻訳家
 ✔︎漫画家
 ✔︎画家
 ✔︎音楽家

個人事業税は開業届を出しているか否かは無関係です。確定申告とは別で納税が必要ですが、確定申告書または開業届を見て納税が必要かを税務署は判断しているのです。納付時期は8月と11月の2回です。

消費税

売上が1,000万円を超えた場合に納める必要があります。商品やサービスの取引で課税されるものです。消費者が税金を支払い、事業者が納税する間接税です。

消費税がかからない取引は切手や有価証券、行政手数料、土地の譲渡など公的なものが多いです。したがってほとんどの商品販売など対価を得て取引を行なうものには消費税がかかります。

フリーランスになったら支払わなければいけない社会保険料の種類

支出の不安材料の2つ目は社会保険料です。こちらもどんな社会保険料があるのか理解していきましょう。

国民健康保険料

 会社員は第2号被保険者で健康保険組合などの一般被用者保険ですが、フリーランス第1被保険者になり国民健康保険に該当します。国民皆保険制度のため社会保険に加入することは必須です。会社員からフリーランスになったら忘れずに切り替えなければなりません。一般被用者保険との大きな違いは「扶養の扱いがない」「傷病手当金がない」「保険料が高い」ことです。国民健康保険料シミュレーションによると年収別で、

 200万円:約14万円

 300万円:約20万円

 400万円:約28万円

意外とばかにならないんですよね。会社員の場合、会社と従業員が保険料を折半する労使折半が適用され保険料は半額になりますが、フリーランス全額自己負担です。

国民年金保険料

 2023年度時点で1ヶ月あたり16,250円です。ただし、2年分の前払いが可能で最大16,100円の割引になります。(口座振替の場合)

介護保険料

 40歳以上65歳未満の人が支払いの対象です。国民健康保険料に上乗せされるため手続きは不要です。会社員と異なり、市区町村自治体で保険料の金額が決まります。

フリーランスは税金をどれくらい支払う必要がある?その計算方法は?

では実際に各種税金の具体的な計算方法を解説します。

住民税

 (収入ー経費-(青色申告特別控除)-所得控除)×10%(*1)+5,000(*2)
 (*1)所得割額:10%(市区町村6%、都道府県4%)
 (*2)均等割額:5,000円(市区町村3,500円+都道府県1,500円)

所得税

 (収入ー経費-(青色申告特別控除)-所得控除)×税率-税額控除
以下、順番に算出していくことで納税額がわかります。

①所得

 所得=収入-経費(*3)
 (*3)通信費、交通費を家事按分(生活する上で事業に使った割合を決めること)

②課税所得金額

 課税所得金額=所得-各種控除(*4)
 (*4)基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除など

③所得税額

所得税額=課税所得金額×所得税率-所得控除

以下の表から税率と所得控除額を決めます。

引用:国税庁「所得税の税率」

納税額=(所得税額-税額控除(*5))×1.021(*6)
 (*5)住宅ローン控除、配当控除
 (*6)復興特別所得税2.1%

個人事業税

 (前年売上-前年経費-290万円(*7))×税率
 (*7)個人事業控除:所得290万を超えなければ支払う必要はない理由がこれです

消費税

 売上にかかる消費税-仕入にかかる消費税

流通段階では消費者が負担した消費税を預かるような形で業者は納税します。流通段階で複数の業者が入っている場合のイメージは以下のとおりで、二重三重に納税されないようにできています。

出典:国税庁「消費税のしくみ」

具体例で計算してみる

例)
・年収500万円
・独身
・35歳
フリーランス
・ITエンジニア(請負契約)
・年間経費20万円
・国民健康保険料40万円
・国民年金保険料16,250円/月
・青色申告条件クリア

前章の計算方法に沿って算出していくと、

①所得=年収500万円-経費20万円=480万円

②課税所得=所得480万円-基礎控除38万円ー青色申告特別控除65万円-社会保険料控除(40万円+16,250×12ヶ月)=317.5万円

③所得税額=課税所得317.5万円×税率10%ー所得控除9.75万円=22万円

④納税額=所得税額22万円×復興特別所得税1.021=22.5万円

そして気になる手取り額は、

収入500万円-経費20万円-国民健康保険料40万円-国民年金保険料19.5万円-納税額22.5万円=398万円

通常IT業種の場合、個人事業税はかかります。ところが今回は請負契約であり、ほぼ雇用の状態とみなせたとし、個人事業税がかからない前提です(請負業にも該当しない)。

フリーランスは確定申告をしなければいけない?

収入-経費=48万円を超える場合は確定申告が必要です。
おすすめは青色申告ですが強制はできません。あくまでも安定的に収入を得られるようになってからのほうが吉です。それも踏まえて白色申告と青色申告を比較していきましょう。

白色申告と青色申告

青色申告は白色申告に比べて節税効果は見込めますが、事務作業の負担により約20万円分のメリットがなければ本末転倒になります。そのため、簿記の資格やスキルを有していなくても、青色確定申告が簡単にできるように自動で帳簿を作成してくれるソフトもありますので安心してください。

節税・節約のポイント

細かい話になりますが、余計な税金を支払わないようにするためにできる限りのことはやっておくと良いでしょう。

▶︎小規模企業共済やiDeCo

小規模企業共済はいわば個人事業主向けの退職金制度、iDeCoは老後資産形成の資産運用になります。余裕があるなら併用も可能です。年間の掛金がそのまま所得の控除になるため掛金の所得税率分がまるごと節税されます。
iDeCoの場合、急きょ資金が必要になっても65歳まで引き出せないのがデメリットですが、65歳のときに運用商品を売却しその売却益で資産を増やせる仕組みです。この売却益に対しては税金がかかりません。
一方、小規模企業共済は資金が必要になれば引き出し可能で60歳前でも共済金(退職金)を受け取れます。もし経営が傾いたときでも貸付制度により一時的に補てん可能です。したがって個人事業主やフリーランス向けのものになります。
ただしどちらも受取金は課税対象で、受け取り方により退職所得、雑所得、一時所得と扱いが変わります。

▶︎ふるさと納税

住民税の前払いなので節税効果はありませんが、生活する上での節約として有効です。負担金は2,000円のみで、寄附した金額が住民税から控除されたり、所得控除として扱われます。ただし、医療費控除など他の控除がある場合は寄附金限度額を確認しておかないと、単なる寄附になり返礼品を高額な値段で買っていることと同じになります。

まとめ

会社員からフリーランスになろうとしている方も、社会人一年目でフリーランスになる方も、税金や社会保険料の扱い方は気になりますよね。フリーランスの平均年収帯は400万円〜と言われています。青色申告をする場合も、業務の負担や時間などトータル的に判断することをおすすめします。無駄な支出は極力避けられるように知っていて損をしない知識はどんどん吸収していきましょう。

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