フリーランスになる前の準備とは?必要な手続きをご紹介します!

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フリーランスになる前に知っておくべき認識

フリーランスとして仕事をする際には、まず開業届を出すか出さないかという選択があります。

開業届とは、個人事業の開業を税務署に知らせる届出のことです。

事業を開始してから1月以内に提出するとされていますが、提出しなくても特に罰則はありません。

しかしながら、本格的にフリーランスとしての活動を進めていくのであれば、出しておくことにいくつかのメリットがあります。なお開業届にかかる費用は無料ですので、検討してみてもよいでしょう。開業届を提出したからといってオフィスを開設する必要はありませんので、安心してください。

そのメリットを以下に示します。

1,青色申告で確定申告ができる

青色申告は節税面で大きく優遇されています。

具体的には、一定の水準を満たす場合は、不動産や事業等から生ずる所得から最大65万円が控除されたり、家族の給与を経費扱いにできるというものです。

ただし、「青色申告」は「白色申告」と呼ばれる、税制上のメリットがないかわりに、帳簿作成が簡単な申告方法に比べると、帳簿付けや確定申告書類作成の作成が難しくなっています。

しかしながら、会計ソフトを使えば難しいことではありませんので、必要に応じて会計ソフトの利用をおすすめします。税理士に依頼してもよいですが、フリーランスになりたての頃はそれほど収入に余裕がないでしょう。

2,小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済は、退職時や廃業時に給付金が支給される制度で、開業届を提出していれば加入できます。

フリーランスは辞めた時に、退職金等が出る仕事ではないため、こちらに加入することで仕事を変えたり辞めたりするときの助けになります。

3,屋号付きの事業用銀行口座を作れる

仕事と家計口座を別にしておくことで、管理がしやすくなる、また確定申告の際に便利になるというメリットがあります。

さらに、仕事のやり取りをする際にも、個人名よりも事業者名である方が、会社として成り立っているという信頼を与えることに繋がります。

4,就業の証明になる

保育園や学童への申し込みの際や、住宅ローンを組むとき、またクレジットカードを作るときなどには、会社員など企業務めの場合は「勤務証明書」、個人事業主の場合は「開業届」の提出を求められる場合があります。

開業届により、仕事をしていることを証明することができます。

5,補助金や助成金の申請ができる

開業届を出すことで、事業主向けの様々な補助金や助成金の制度の対象となることができます。

フリーランスになるために不可欠な手続き

続いては、会社を辞めてフリーランスになるという場合に必要な手続きのご紹介です。

1,年金、健康保険の手続き

会社員として働いていた方がフリーランス・個人事業主になる場合、年金に関する諸手続きをする必要があります。

まずはじめに、年金に関してはフリーランスは自営業の方と同様に、国民年金に加入します。

国民年金とは、各地方自治体が運営している年金制度で、お住いの住所を管轄している市町村役場の国民年金担当課で、加入の手続きをおこないます。

次に健康保険に関しては、いくつかの選択肢があります。

①国民健康保険

市区町村が運営する国民健康保険に加入するというものです。国民健康保険は他の保険制度に加入していないすべての人が対象です。

加入の場合には、退職後14日以内に市町村役場に届け出をおこなう必要があるので、届け出漏れの無いようにしましょう。

②会社の健康保険を任意継続

会社で加入していた保険は、これまで会社が半分負担してくれていた保険料も含めて、全額自分で支払うことで2年間継続することができます。

なお、保険料は退職時の標準報酬月額に基づいて決められ、保険料は原則2年間変わりません。

任意継続は、退職後20日以内に申請すれば2年間継続して加入することができます。

③健康保険加入中の家族の扶養家族になる

一定の要件を満たせば、健康保険加入中の家族の扶養家族になれます。

扶養家族に入ることができれば、保険料を安く抑えることができます。

④国民健康保険組合への加入

国民健康保険組合とは、国保組合とも呼ばれ、同業者の組合員で構成されている団体です。業種は限られますが、合致すれば、加入することができます。

国民健原則的に保険料は前年の所得にかかわらず、一定金額だからです。

フリーランスになる前に準備するべきこと

続いては、フリーランスになる前におこなっておいた方がスムーズに進むことについてご紹介していきます。

会社員だと何の問題もなく進められていたことも、フリーランスという立場に変わったとたんに、手続き等に手間がかかることも出てきます。

事前に済ませられることは、済ませておくことで作業が楽になります。

1,クレジットカードの作成

フリーランスは毎月の給与保証がないという点で、クレジットカードの審査が通りにくくなるというデメリットがあります。

将来的に必要になりそうな場合には、あらかじめ仕事が変わる前に作成しておくことをおすすめします。

2,仕事用口座の作成

フリーランスとして、一事業者として活動を進めていくうえでは、プライベートと仕事の講座を分けておくことで、管理がしやすく、また確定申告の際にも使い勝手がよくなります。

3,賃貸契約の締結

クレジットカードの作成と同様に、家を借りる際の賃貸契約に関しても、給与保証のないフリーランスの場合には会社員のようにスムーズに進めることが難しくなる場合があります。

近々で引越し予定等がある場合には、仕事が変わる前に契約をしておくとよいでしょう。

4,仕事用のメールアドレスの用意

プライベート用のアドレスを仕事で使用すると、重要なメールの見逃しなどにもつながってしまいますし、仕事用にアドレスを設定しておくことで、管理もしやすくなります。

5,クラウドソーシングサイトへ登録

既に仕事の目星が決まっているという人は別ですが、フリーランスとしての第一歩を踏み出すには様々な案件が用意されているクラウドソーシングサイトへの登録が必須です。

サイトは複数あるため、はじめは色々なサイトに登録し、使い勝手や案件の内容に応じてメインサイトを見つけていくという方法が効率的でおすすめです。

ただし、クラウドソーシングサイトにはあまり高単価案件はありません。あくまでも初期の実績作りの場と割り切り、実績ができたら後述する方法で案件を獲得しましょう。また、クラウドソーシングサイトは受注時に手数料を支払う必要があります。ただでさえ安い売上から、さらに手数料が引かれるのです。「案件を受注しても満額もらえないのは嫌だ」と考える方は、初期の実績ができた段階でクラウドソーシングサイトを卒業した方がよいかもしれません。

6,複数のクライアントとの契約

フリーランスは会社員と異なり、案件一つひとつにつき報酬が決まっています。そしてその一つひとつの案件の報酬を積み上げて、月間の売上を立てるのです。たとえば会社員時代の月給が20万円だった場合、月収30万円を目指したいとか月収40万円を目指したいとか目標があるでしょう。しかし、フリーランスになりたての頃はそれほど単価の高い案件は受注できません。職種にもよりますが、一件1万円にも満たない案件もあります。この程度の単価の案件を受注しながら前述の売上目標を達成するには、複数のクライアントと契約する必要があります。

長期間のプロジェクトや連載といった案件以外は、タイミングによってクライアントの発注状況(フリーランスからすると受注業況)は異なります。スケジュール調整が難しいほど発注数が多い月もあれば、発注そのものがない月もあります。このような状況で売上を立てるには、複数のクライアントと契約して、十分な量を受注できる確率を高めておくのです。

フリーランスは仕事さえ受注してしまえば、売上が半分確定したようなもの。あとは、クライアントが求める仕様と品質を保って納期までに納品すれば売上が確定します。リソースが埋まるギリギリまで案件を受注してスケジュールを立て、決して遅れないように(遅れても挽回できるように)スケジュールをこなしていけば問題ありません。目安としては少し断る必要があるくらいの依頼が毎月ある程度がよいでしょう。そしてあるクライアントの発注数が少くなってきたと思ったら、また新しいクライアントを探して契約するのです。

フリーランスとしてのスキルを磨こう

フリーランスとして仕事を進めるうえで、必ずしも必要な資格やスキルというものがあるわけではありません。

しかしながら、仕事に直結するような資格やスキルを持っていれば、それはアピールポイントにもつながりますし、何よりスムーズに業務を進めることができます。

これから勉強を始めるとしたら、どの様な資格やスキルがおすすめなのでしょうか?

いくつかご紹介していきましょう。

1,MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

ExcelやWordなど、マイクロソフトのofficeソフトを使いこなすスキルを証明する資格です。

資格取得により、より効率的に作業を進めていくうえで知っておきたいさまざまな知識を身に付けることができます。

2,日商簿記検定

フリーランスとして働くならば、記帳や売掛金の管理、確定申告などの経理処理を自分で行う必要があります。そのため、あらかじめ基礎知識を身に付けておくと良いでしょう。

まずは、3級取得の勉強から始めていきましょう。

その他にも業務内容ごとにおすすめの資格はさまざまです。

自分が取り組んでいきたい仕事が定まったら、その仕事に必要なスキルを身に付けるための勉強を進めていき、自分の魅力アップに努めることが求められます。

3,マーケティングスキル

フリーランスは自分という商品(スキル、納品物)を顧客(クライアント)に買ってもらう仕事です。そのためには、クライアントがどのようなことに困っていて、どのような未来を望んでいるのかリサーチやヒアリングを通して知る必要があるでしょう。そのうえで、どのように提案すればクライアントが納得して仕事を発注してくれるのか、どのような価値を提供できれば仕事を継続してくれるのか考える必要があるでしょう。マーケティングと聞くと一般的な商品を売るときに必要なスキルと思われがちです。しかし、フリーランスは自分自身が商品であるため、マーケティングの考え方が応用できるのです。

また、一般的なマーケティングスキルが必要になる場合もあるでしょう。ライターやデザイナー、コーダーや動画編集者がLPなど商品販売に直結する仕事をするときに役立ちます。収益を上げるには売上を上げるかコストを下げるかしかありません。しかし、そもそも売上がないといくらコストを下げても大きな収益を得られないでしょう。そのため、ビジネスにおいて売上を上げるスキルは、非常に大切なのです。

4,ビジネスセンス

フリーランスと聞くと、専門スキルを持った職人のような働き方をイメージする方が多いかもしれません。職人というのは、フリーランスの一つの働き方を示す表現として間違っていないでしょう。職人のようにひたすらスキルを磨くのも大切ですが、スキルだけでは生き残っていけないのがフリーランスの世界なのです。

たとえば、同じ様なデザインの仕事をする場合、業界が違えば単価がまったく異なるような場合があります。端的に言うとリクルートなど大きなお金が動く業界なら、(一定以上のスキルがあれば)稼ぎやすいでしょう。反対にニッチな商品を販売する業界だと、そういう訳にはいきません。このように同じ仕事(作業)をするにも、どの業界のどういった仕事かというのはとても大切になってきます。フリーランスとして生き残りたいなら、スキルを磨くだけでなくビジネスセンスを身に着けましょう。

商流を上げていくことも大切です。フリーランスが受注のは基本的に「作業」です。作業という言葉をあえて使ったのは、目的や目標が決まっていて企画があり、それに沿う条件の作品を納品するような仕事をイメージしたためです。こういった仕事で最高品質のものを納品するのも、よいフリーランスの生き方としては正解でしょう。しかし、より単価の高い仕事やより全体を網羅する仕事をするなら、作業から企画などへ商流を上げていかなければなりません。商流を上げるといってもフリーランスとして磨いてきたスキルが無駄になる訳ではありません。作業しかできないフリーランスで終わるのではなく企画もできるフリーランスになれば、より需要が高まり案件の単価も高くなるのです。

フリーランスの案件獲得方法

フリーランスはどのように案件を獲得しているのでしょうか。実は前述のクラウドソーシングサイトのほかにも、案件を獲得する方法はいくつかあります。

フリーランスエージェント

フリーエージェントサイトもクラウドソーシングサイトと同様に、案件を発注したい企業(法人)と案件を受注したいフリーランスをマッチングするサービスです。しかし、転職エージェントサービスのようにフリーランス一人ひとりに担当者(エージェント)がついて、フリーランスに合う案件を紹介してくれるのです。案件獲得の相談はもちろんのこと、フリーランスエージェントによってはフリーランスとしてのキャリアの相談もできるとのこと。目先のことだけでなく、長いスパンでフリーランスとして生きていく覚悟のある方は、フリーランスエージェントサービスが向いているかもしれません。

SNS

SNSでも案件の募集があります。「◯◯(職種名)募集」などと検索すると、案件募集の投稿(ポスト)が見つかるでしょう。SNSで案件を獲得するメリットは手数料がかからないことです。しかし、クラウドソーシングサイトフリーランスエージェントサービスのような発注者に対する審査はありません。実際に契約してみたら募集内容と違った、案件は受注できるががなかなか契約を結んでくれないといった状況になっても、すべてがフリーランスの自己責任です。案件を受注する場合は、相手(アカウント)がどのような人物なのか、把握してから受注したほうがよいかもしれません。

知人の伝手・紹介

案件獲得方法のうちもっとも手堅いのが知人の伝手や紹介です。いずれも、フリーランスのスキルや方向性を理解したうえで発注してくれるため、スキルのミスマッチが発生しづらいでしょう。また、一緒に仕事をしたクライアントの知人、そのまた知人というようにあなたの評判が広まれば、より多くの方から発注してもらえるかもしれません。

この方法では基本的にフリーランスのことを知っている人や、普段からフリーランスと交流のある人が発注者になることが多くあります。そのようなとき、価格面を含めた条件交渉、及び文書化(契約書作成)がしづらいかもしれません。しかし、契約をきちんと書面で結ばないと後でトラブルになる可能性があるのは、フリーランスでなくてもビジネスの常識です。必ず案件着手前に条件を明確にしてから受注して取り掛かりましょう。

まとめ

以上、フリーランスとして仕事を進めていくうえで知っておきたいことやしなければならないことなどについてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?

あらかじめ理解をしておくことで、いざフリーランスとして仕事を始める際に、焦ったり不安が生じたりすることが少なくなり、落ち着いて仕事に取り組んでいくことができます。

この記事を活用して、フリーランスになるためにやることを確認してみてください。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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