家が欲しいけどフリーランスはローンを組めない?審査のポイントや対処法を解説します

How

「憧れのマイホームがほしい」

「でも、フリーランスだからローンは組めないかな……」

いつかはマンションや戸建住宅など、マイホームを取得したいと思っているフリーランスの方は多くいるでしょう。これらの買い物を自己資金100%でできれば良いですが、なかなかそうできない事情がある方も多いのではないでしょうか?

この記事ではフリーランスが会社員や公務員と比べてローンを組みづらい理由、そしてローンを組むにはどのようにすれば良いか解説しています。マイホームに限らずローンを組みたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

フリーランスがローンを組めない理由は将来性

フリーランスがローンを組みづらい理由は、一言で言うと将来の返済能力に対する信用です。国土交通省が金融機関に対して行ったアンケート結果(※1)を一覧にしました。

表1.住宅ローンを組むときに必要な条件

金融機関の回答で多かった意見
完済時年齢80歳未満
健康状態団信加入が必要
担保評価担保が融資判断へ影響する
借入時年齢70歳未満
返済負担率45%以内
勤続年数1年以上
連帯保証系列の保証会社の保証が必要
金融機会の営業エリア営業エリア内に在住
融資可能額100%以内
雇用形態派遣社員・契約社員は対象外
国籍日本国籍、永住許可・特別永住者
他の債務状況や返済履歴他の債務や返済状況が融資判断へ影響する

※1:国土交通省「令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

表1では完済時の年齢や借入時の年齢に加えて、返済負担率や勤続年数、そして雇用形態などが問われることが分かります。つまり、フリーランスより、安定して毎月給料が振り込まれる会社員や公務員のほうがローン審査に通りやすいのです。

銀行がローン審査でチェックする5つのポイント

銀行がローン審査を行うときに確認しているポイントを5つ紹介します。

年収

年収がどの程度あるかによって、借入金額が変わってくることは容易に想像できるでしょう。もちろん、年収が高ければ高いほど借入金額は高くなります。

会社員や公務員と違いフリーランスには経費という概念があります。そのため、たとえば年収500万円の会社員と、年間売上500万円のフリーランスがいれば、会社員の方が信用されるでしょう。年間売上500万円のうち、経費が占める割合によって所得が変わってくるためです。銀行からすると所得が分からないと、どの程度返済に充てられるのか判断が付きません。

収入の継続性

会社員の場合、解雇されたり企業が事業停止にならない限り、給料は支払われ続けると判断されます。ただし、事業停止のリスクは企業によって異なるため、この部分は個別の判断となるでしょう。

公務員の場合、自治体が消滅することは通常考えにくいものです。しかも、整理解雇されることもないため、本人が解雇に相当するようなルール違反を犯さない限り、給料は支払われ続けると判断されるでしょう。

一方、フリーランスは収入の金額が変動するうえ、同レベルの収入が将来継続して得られると判断されることはほどんどありません。仮に法人化していても一人社長のマイクロ法人では、収入の継続性をそれほど高く判断されることは少ないかもしれません。

たとえば住宅ローンの場合、返済期間は30年を超えるケースがほとんどです。フリーランスが30年間継続して安定的に収入を得られると判断されるためには、黒字を継続すること、そして収入(所得)を一定の範囲内で安定させることが必要になるでしょう。

社会的信用

会社員や公務員の場合は、過去の給料が今後も継続して支払われると判断されます。しかし、フリーランスは過去の所得がどれほど高くても、将来にわたって継続的に所得を得られるとは判断されづらいもの。将来的な返済能力という点において、どうしてもフリーランスの方が社会的信用が低くなることは事実としてあります。

会社員が一定期間働けなくなった場合には傷病手当金を受給できます。しかし、フリーランスには傷病手当金はありません。フリーランスの場合、一部のストック型の事業を除いて、体調を崩して働けなくなれば、すぐに収入がストップしてしまうのです。このような点も、社会的信用が低い理由の1つとなっています。

他金融機関等での借入状況

他の金融機関等での借入状況もローン審査に影響します。他の銀行や自動車ディーラー系の信販会社、あるいは消費者金融なども対象となります。奨学金は仕方ないかもしれませんが、あると返済が苦しくなるのは事実。他の金融機関からの借り入れは、ローン審査のためにも余裕を持った返済のためにも、完済しておくのが良いでしょう。これはフリーランスに限らないチェックポイントです。

税金や社会保険料の支払い状況

債務者(ローンを組む人)が仮に自己破産をしたとき、税金や国民健康保険料などは免責とならず、手元に残った非常に少ない自己資金から支払うことになります。つまり、銀行からすると、自己破産時に回収できる金額が少なくなるのです。そのため、税金や社会保険料の滞納に関しては特に厳しくチェックします。

このチェックポイントは一見、会社員や公務員とフリーランスに共通しているように思いますが、実はそうでもないのです。

ローン審査を受けるとき、収入に関する書類を提出します。たとえば会社員の場合、源泉徴収票と課税証明書を提出しますが、ここには税金滞納の情報は記載されていません。しかし、フリーランスが提出する納税証明書には、税金滞納がある場合その旨が記載されているのです。

いずれにしても税金を滞納しているという事実に変わりありませんが、フリーランスの方が客観的に分かりやすいというデメリットを抱えてます。

ローン審査が通らない時はどうするべきか?

「ローン審査が通らない」という2つの解釈

一般にローン審査が通らない、という状況には2つの解釈があります。

1つ目はローンそのものが却下されること。これを不承認(借り入れ不可)といいます。この場合、ローンそのものを組むことが出来ません。

2つ目は希望の金額通りに審査が通らないこと。これを減額承認(希望額よりも少ない金額で融資可能)といいます。

いずれも、希望金額を借り入れできないことは分かりありませんが、状況はまったく異なります。

銀行を変える

ローン審査が通らないとき、利用する銀行を変えるのは1つの方法です。メガバンクより地方銀行や信用金庫の方が、より個々の事情を考慮してくれます。普段から使用しており口座を持っている銀行の方が、多少なりとも審査に通りやすくなるかもしれません。まずは最寄りの地方銀行や信用金庫に相談してみてください。

共同名義で審査を受ける

配偶者や両親と共同名義で審査を受けられます。収入を合算して審査を受けるため、ローンに通りやすくなるでしょう。そのため、専業主婦や収入のない高齢の両親の場合は、共同名義にするメリットがないかもしれません。

自己資金を用意する

どうしてもローン審査に通らないときは、自己資金を用意する必要があります。基本的には働いてお金を貯めましょう。手っ取り早く調達したいと思って、消費者金融から借りるのはオススメできません。利息が高いうえ、借入上限額は年収1/3程度なので、それほど足しにならないでしょう。

「ローン審査が通らない」という2つの解釈

一般にローン審査が通らない、という状況には2つの解釈があります。

1つ目はローンそのものが却下されること。これを不承認(借り入れ不可)といいます。この場合、ローンそのものを組むことが出来ません。

2つ目は希望の金額通りに審査が通らないこと。これを減額承認(希望額よりも少ない金額で融資可能)といいます。

いずれも、希望金額を借り入れできないことは分かりありませんが、状況はまったく異なります。

銀行を変える

ローン審査が通らないとき、利用する銀行を変えるのは1つの方法です。メガバンクより地方銀行や信用金庫の方が、より個々の事情を考慮してくれます。普段から使用しており口座を持っている銀行の方が、多少なりとも審査に通りやすくなるかもしれません。まずは最寄りの地方銀行や信用金庫に相談してみてください。

共同名義で審査を受ける

配偶者や両親と共同名義で審査を受けられます。収入を合算して審査を受けるため、ローンに通りやすくなるでしょう。そのため、専業主婦や収入のない高齢の両親の場合は、共同名義にするメリットがないかもしれません。

フリーランスは1年~3年毎に事業計画を見直そう

住宅ローンの審査においては、過去3年分の確定申告の書類を提出する必要があります。赤字があると必ずしも審査に通らないわけではありませんが、黒字の方が信用されやすいのは明らかでしょう。住宅ローンなど、大きく借り入れを計画している場合は、それに合わせて事業計画を見直し、淡々と利益を上げるようにしましょう。

フリーランスがローン審査を通るためのポイント

お伝えしてきたように、フリーランスはローン審査が通りにくいというのは紛れもない事実ではありますが、フリーランスであってもローン審査を通るために工夫したり対策を講じることは可能です。ここでは、ローン審査が通りやすくなるポイントをご紹介していきます。

フリーランスとして働いてからある程度の年数が経過している

フリーランスとして働きだしたばかりという場合には、まだ仕事が軌道に乗っていなかったり、案件数が思うように獲得できていないという状況の方も多いでしょう。

そのような状況では、融資側も毎月の支払いがきちんとできるかどうかについて疑問を持つのは当然です。

ある程度の具体的な年数としては、4年以上が目安となります。というのも、フリーランスとして仕事を始めても4年未満の短期間で廃業してしまうケースも多いというのが実態だからです。

目安である4年では、案件の獲得が安定してきたり、実績を積んでクライアントとの信頼関係が築くことができるようになる頃ではないでしょうか?

融資側の視点だけでなく、自分自身の将来設計という視点で見ても、住宅購入のためにローンを組むのであれば、生活が安定してきていることは一つの基準値となるでしょう。

なお、フリーランスの勤続年数の数え方は、開業届を提出してからがスタートとなります。

フリーランスの方で、将来的にローンを組んで家を建てることを想定している場合であれば、早い段階で開業届を提出しましょう。また、フリーランスから法人化した場合には、法人化してからの年数が対象となります。

安定した収入が証明できる

金融機関によって異なることがありますが、ローン審査では直近3期分の所得により判断されることが多いです。

そのため、ローンを組むのであれば3年間の収入を安定させることで審査が通りやすくなることが期待できます。

貯金ができている

ローンを組むまでの間にある程度貯金をして蓄えておくことで、その一部を頭金に充てるこのも可能です。

頭金を用意し、ある程度のお金を工面できることが証明できれば、支払い能力の証明としても役立つことでしょう。

もちろん、借入金額を少なくすることにもつながるので、自分自身にとっても負担減となります。

したがって、住宅購入を検討し始めた段階で、将来に向けて蓄えを増やしていく努力をしていくことはのちのちプラスの結果をもたらすことが期待できます。

健康である

個人で仕事を進めるフリーランスの場合は、健康でなければ仕事をして収入を得ることが難しくなるため、ローン審査においても健康状態が重視されます。

特に、持病があったり大病を患ったなどの病歴がある場合には、審査に影響を及ぼす可能性もあります。

どんな仕事であっても体が資本であることには変わりませんが、会社員と比較すると保障が手薄であるフリーランスだからこそ、自分自身の健康管理には気を配る必要があるといえるでしょう。

過去にクレジットカードやローンの支払い遅延や延滞がない

これまでに、クレジットカードやローンのほか、税金や保険料に関しても支払いの遅延や延滞があった場合にはローン審査が通りにくくなってしまいます。

「支払いを忘れていた」「覚えていない」は通用しません。

これまでの行いを今一度確認して、不利になるような行いがなかったかを今一度確認してみましょう。

連帯保証人を準備する

仮に本人が支払うことができないという状況に陥ってしまっても、本人に代わって支払いを続けられるような連帯保証人を準備することができれば、ローンの審査に通りやすくなります。

とはいえ、万が一の場合代わりに支払いをおこなうという大きなリスクを背負うことになるのが連帯保証人です。

信頼関係のうえで成り立つ連帯保証人ですので、迷惑のかかることのないように無理のない返済計画を立てることなどが大切です。

フリーランスが住宅ローンを組む際に気を付けるべきこと

続いては、ローンを組む際に注意しておきたいポイントについて見ていきましょう。

・自宅を仕事場として使用する場合

フリーランスの場合、自宅の一部を店舗や仕事場として使用するという場合もあるでしょう。

その際に注意すべき点として、仕事場の割合が住宅の50%以下でなければ、住宅ローンを組むことができなくなるというものです。居住スペースが50%以上で住宅ローンの対象となります。

仕事場として使用した部分の家賃に関しては、経費として計上することができるからといって、全体の半分以上を仕事場扱いとすると、今度は住宅ローンの対象とならず、住宅ローン控除の対象にもならないことから、正しい知識のもとで進めていく必要があるといえます。

・住宅ローンの種類に注目

住宅ローンは、主に3つの種類に分類することができます。

まず1つ目が「民間融資」です。

メガバンクや地方銀行のほか、ネット銀行を活用する人も増えてきています。

銀行各社がさまざまな商品を取り扱っており、機関によってはキャンペーンやイベントを設けていたり、相談窓口も多数であることから、借り入れや返済に関する相談のしやすさがメリットだといえるでしょう。

早く融資を受けたいという場合には民間融資がおすすめですが、安定した収入が証明できなければ融資を受けることが難しいという難点もあります。

2つ目が「公的融資」です。

国や自治体、信用保証協会などが提供している住宅ローンであり、上記の民間融資よりも金利が低く設定されていたり、無担保で融資を受けることができるなどの特徴があります。

公的融資では、民間融資で扱いにくい融資についても取り扱うことも目的であるために、仮に民間融資が通らなかったというフリーランスや自営業の方にもセカンドチャンスとして申し込みすることもできるでしょう。もちろん、将来性が見込まれる場合が対象であることに変わりはありませんが。

一方で、審査が煩雑であったり、借入までの期間が長いというのがデメリットとして挙げられます。

3つ目が「フラット35」です。

民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する住宅ローンがフラット35です。

特徴として、契約者の年齢や職業の審査基準が低いために、フリーランスでも利用しやすいということが挙げられます。(フリーランスも会社員同様に、審査は直近1期分の確定申告書の提出で良い)

また、金利が全期間固定となっているため、返済計画が立てやすくなっています。

低金利の時にローンを組めば、将来金利が上がったときも低金利のままで支払いを続けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

なお、フラット35の金利や手数料は選択する利用機関によって異なります。

したがって、相談は無料であるため、複数の機関で確認して比較検討してみることをおすすめします。

・購入する物件の価格と収入を比較する

一般的に、住宅ローンの返済額は年収の25%以内であれば無理のない返済計画が立てられるといわれています。

フリーランスの場合、その年によって収入が変動することは予想されるものの、直近数年に平均年収を計算したり、今後の見通しをある程度予測する中で、自分が購入する物件の価格および住宅ローンの金額と見比べてみて、問題のない金額であるか否かをまずは自分で判断する必要があるといえます。

ローン審査が通ったからと言って、安心ということではありません。あくまでも、将来にわたってきちんと返済できる金額であるか否かの判断が重要です。

まとめ

この記事ではフリーランスがローンを組むときの注意事項を説明しました。フリーランスは会社員や公務員に比べて収入が不安定で社会的信用も低いため、同程度の収入(利益)があってもローンの審査に通りにくいものです。それを払拭して社会的信用を得るためには、きちんと事業で利益を上げ、それを継続するようにしましょう。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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