営業活動も仕事の内。
頭では分かっていても、なかなか実行できていないフリーランスの方が多いのではないでしょうか?
この記事ではフリーランスのポートフォリオについて解説します。これからポートフォリオを作成する方も、ポートフォリオを作成したもののうまく案件受注に繋がらない方も、ぜひ最後まで読んでみて、ノウハウを身に付けてください。
目次
ポートフォリオとはそもそも何?
ポートフォリオとはそもそも何でしょうか。
ポートフォリオの概要
ポートフォリオとはフリーランスがこれまで納品した作品(成果物)をまとめたもので、その人材のスキルや実績を示すものです。クライアント(発注者)からすると、案件を発注するフリーランスがどのような人か(スキル面、人柄面)気になるもの。「自分」という商品を端的に表したものがポートフォリオなのです。
ポートフォリオについてあまり詳しく理解していないと、「作成が難しそう」「何から始めればよいのかわからない」などと苦手意識を持つ方も多いかもしれません。
しかしながら、作り方やコツを押さえれば、誰にでも作成することは可能です。
就職(転職)活動をするときに必ず履歴書を用意します。求職者における履歴書がフリーランスにおけるポートフォリオだと考えると、理解しやすいかもしれません。
ポートフォリオの必要性
続いては、フリーランスとして働くうえでなぜポートフォリオが重要とされるのでしょうか?
その理由に迫ってみましょう。
・実績やスキルを知ってもらう役割を担う
特にフリーランスとして働き始めであり、人脈などもない場合であれば、自らで案件を獲得していかなければなりません。
案件獲得のためには、自分自身を売り込み他者との違いや、自分に依頼するメリットを最大限にアピールする必要があります。その上でポートフォリオが大いに役立つのです。
・クライアントから声がかかる可能性も
ポートフォリオを作成し、自分のSNSやブログに掲載しておくことで、逆にクライアント側から前向きな相談を受けたり、案件の提供がある可能性もあります。
しっかりと自分をアピールすることのできているポートフォリオがあれば、それだけで十分に営業活動ができているといえるでしょう。
この場合ポートフォリオはある種、名刺代わりの役割を担い、自分で名刺を配るよりも多くの人に知ってもらうチャンスがあるというのが大きなメリットだといえます。
ポートフォリオに記載する内容
ポートフォリオに明確なルールはありませんが、多くのフリーランスが載せる項目の例を以下に示します。
プロフィール
履歴書と同様に氏名や顔写真が必要です。本名の記載に抵抗がある、顔写真を掲載するのに抵抗があるという方もいるでしょう。最近ではニックネームや似顔絵などで活動する方がいるのも事実です。ただし、「顔も分からない相手に発注したいと思うか?」というビジネスの基本はおさえておく必要があります。
他には学歴や職歴を記載するといいでしょう。これまでどのようなことを学んできて、どのような知見があるのかといった情報は、フリーランスとして仕事をするうえで重要です。
また、現在フリーランスとしてどのような働き方をしているのか、どのような分野の案件を中心に受注しているのかなどについても記載することで、より具体的な仕事ぶりをアピールすることができます。
そして、簡単な自己紹介文も添えましょう。生年月日や出身地などを載せることで、クライアントとの共通点が見つかり話が広がる可能性もあるでしょう。
一通りのプロフィールが完成し、余裕があるのであれば、学歴や職歴では分からない人柄が伝わる内容を意識して作成できればなおよいでしょう。
実績(成果物)
これまで納品した成果物を載せましょう。クライアントは成果物があれば、スキルや実績を判断しやすくなります。また、ライターであれば文章の世界観やデザイナー・イラストレーターであれば全体的な印象も伝わるでしょう。
ただし、成果物をただ羅列すれば良いわけではありません。自信のあるものや、得意なジャンルのものを重点的に載せて、ポートフォリオを見たクライアントがどのような印象を受けるのか考えましょう。また、ポートフォリオに成果物を載せるには、制作者の名前が記載されている作品以外の場合、納品先のクライアントの許可が必要です。
まだ納品実績がない場合は、作品のサンプルで構いません。そのサンプルが現在のスキルを示すため、ポートフォリオとしては十分な機能を果たします。
スキル
実績(成果物)とは別に可能な業務範囲も記載しましょう。ライターであれば執筆の他にインタビューや写真撮影、デザイナーであればコーディング、プログラマーであれば対応可能言語などを記載すれば、成果物からは分からないスキルがあることを伝えられます。
ただし、嘘や紛らわしい表現はいけません。できないことができるように伝わってしまうと、自分ができる以上の仕事を請け負って後々トラブルに発展するということもあり得ます。
等身大の自分のスキルを最大限にアピールするというのが大切です。
報酬(参考価格)
「○万円〜」など業務に対する報酬(参考価格)があれば、クライアントも判断しやすいでしょう。
金額を提示する場合には、たとえばライターであれば、3,000文字で〇円、5,000文字で〇円のように細かく記載しておくことで、よりわかりやすくなります。
ただし、中にはクライアントとの協議の中で報酬を決めるフリーランスもいます。その場合は、金額ではなくその旨を記載すれば良いでしょう。
なお、設定金額については、あくまでも自分がこの金額で受注することが納得できるものをあらかじめ提示する必要があります。案件がなかなか取れないという状況であるからと言って、低く設定した報酬で契約を結んでしまうと、それ以降同じクライアントと仕事を継続していく場合、報酬を上げることが難しくなってしまうためです。
そのため、相場の報酬金額および自分のスキルや実績を加味したうえで金額を設定するのが良いでしょう。
連絡先
ポートフォリオを見てクライアントが「発注したい」と思っても、連絡先の記載がないと発注できません。必ずしも電話番号である必要はなく、EメールのアドレスやDM機能のあるSNSアカウントでも良いでしょう。何らかの形であなたに連絡がつくようにしておきましょう。
フリーランスがポートフォリオを持つメリット
就職(転職)活動をする学生や社会人、営業をするフリーランスに共通するのは「相手に一緒に働くイメージ」を持ってもらうことです。就職(転職)活動であれば履歴書で基本的な内容を伝え、面接の場でより詳しいことを伝えたり人柄を伝えます。
しかし、フリーランスの場合必ずしも面接(面談)はありません。つまりポートフォリオだけでクライアントに「この人と働くとメリットがある」と思ってもらわなければなりません。
求職者(特に新卒の学生)とフリーランスとの違いは、スキルや実績を求められるかどうかです。新卒の学生であれば、スキルに関してはその後の伸びしろを評価するしかないため、人柄を重視されます。しかし、フリーランスの場合はスキルや実績をより重視されるため、それを示すポートフォリオが大切になるのです。
ただし、スキルや実績さえ十分であれば人柄は問わないというわけではありません。仮に同程度のスキルを持つフリーランスが他にいた場合、コミュニケーションのやりやすさや丁寧な仕事や納期を守る姿勢も問われます。
思わず依頼したくなる効果的なポートフォリオの作成方法
前述の通り、ポートフォリオはただ成果物を羅列するものではありません。まずは自分よりレベルの高いフリーランス(稼げている、実績豊富など)のポートフォリオを真似しましょう。それだけで、クライアントに分かってもらいやすいポートフォリオになるでしょう。
プロジェクトやチームで成し遂げた実績など、複数名で関わった案件もあるでしょう。そのような場合は、自らが担当した領域とどのように取り組んだか書くことが大切です。また、チームメンバーが著名な方や業界の有力者の場合、本人から許可をもらった上で氏名を記載するのも良いでしょう。
ポートフォリオを一度作って終わりではありません。あなたのスキルは日進月歩で向上し、より良い作品も日々生まれ続けているでしょう。一度作成したらそれで終わり、ではありません。定期的にポートフォリオを更新することも大切です。
得意なジャンルが複数ある場合は、ジャンル別にポートフォリオを作るのも良いかもしれません。基本的にポートフォリオに載せる成果物は特にクライアントに見せたいものだけ。その観点からもジャンル別にポートフォリオを用意するのも一つの手でしょう。
ポートフォリオは紙とWebどちらで作成したらよい?
ポートフォリオはWebでの作成のイメージが強いかもしれませんが、紙で作成する場合、そしてPDFで作成する場合があります。
それぞれのめりとやデメリットについて説明していきましょう。
Web媒体
Webで作成する最大のメリットとして挙げられるのが、不特定多数の人に情報を公開できるという点でしょう。
より多くの人に自分をアピールしたいという場合であれば、Webでの発信が大いに役立ちます。
また、Webであれば、動画や画像を動かして見せたり、背景にこだわるなどの工夫を施すことも可能です。
特にデザイナー動画クリエイターなどの分野での活躍を目指している場合には、Web媒体を最大限に活用することができるでしょう。
紙媒体
紙で作成するメリットとして、掲載する情報をピックアップしてよりアピールしたいものや見せたい情報だけを見せるということがしやすいということが挙げられます。
また、仮に「パソコンや電波の状況が悪い」「画面がうまく表示されない」といったトラブルが起こっても、紙であれば問題なく活用することができます。
印刷の手間や時間、費用は要しますが相手の手元に残るというのも大きなメリットと言えるでしょう。
PDF媒体
PDFは、Web媒体と紙媒体の中間的存在だといえます。
Webサイトに直接アクセスしなくても、メールに添付して使えるため、拡散の機会を増やすことが可能です。
リモート面接などの際にも手軽に使用することができるでしょう。
PDF媒体を利用するうえで特に気を付けるべきポイントが、データの重さです。大きな画像や複数の画像を用いることで、データが重すぎると、開くのに非常に時間がかかったり、場合によってはメール等に添付ができないということになってしまいます。
それぞれの媒体にそれぞれのメリットがありますので、理解したうえで、どれか一つにこだわることなく状況に合わせて複数の媒体を使ってみるというのもよいでしょう。
ポートフォリオの作成におすすめのツール
ポートフォリオはドキュメントファイル等でも作れますが、より簡単に作れるツールを三つ紹介いたします。
MATCH BOX
MATCH BOXは大手採用企業が運営するサイトで、画面の指示に従って操作するだけで簡単にポートフォリオを作成できます。記載する項目を選択できるため、雛形に困ることもありません。また、履歴書の作成もできるため、将来的に就職(再就職)を考えているフリーランスの方にも役立つでしょう。
Jimdo
Jimdoは予め用意されている豊富なテンプレートにより、HTMLやCSSの知識がなくても本格的なデザインのポートフォリオが作成可能です。AIが提示する質問に答えて作成する機能もあり、デザインの知識やセンスに自信がない方でも扱えます。また、FacebookやInstagramなどSNSとの連携も可能なため、それらのSNSを案件受注ツールとして活用している方にとっても役立つでしょう。
WordPress
WordPressはポートフォリオ作成ツールではありませんが、HPなどWebページ作成に多く使われているツールです。世界シェア64.2%・国内シェア84.4%(2023年6月現在)(※1)は驚異的なシェアであり、人気の秘密は使いやすさにあるようです。
デザインや装飾の自由度が高く、プログラミングができなくても扱えるのが特徴。ただし、サーバー代(維持費)がかかること、メンテナンスやセキュリティ対策を自ら行う必要があるため注意が必要です。
※1:PRONIアイミツ「WordPressの占めるシェアは?人気の理由を解説【2023年最新版】」
ポートフォリオ作成のポイント
最後に、ポートフォリオを作成する際に注意しておきたいポイントについてご紹介していきます。
量よりも質でアピール
過去の作品実績を掲載する際には、あれこれとたくさん載せるよりも、自信があるものを2~3つ乗せる方が効果的です。
よっぽど興味がない限り、たくさんの作品を掲載していてもすべてに目を通すということは無い場合が多いものです。したがって、これだけは是非見てほしいというものを厳選して量よりも質でアピールするようにします。
注意すべき点として、実際よりも誇張したような表現や掲載は避けるということです。
いざ仕事を請け負ったものの、実はそこまでのスキルがなく対応しきれなかったなどといったことがあってはマイナスイメージとなってしまいます。
なお、作品を掲載する際には必ず掲載許可をとるようにしましょう。のちのちトラブルなどに発展することのないよう、事前の確認が必要です。
出来るだけシンプルに伝えることを意識する
先のコンテンツと重複する部分でもありますが、たくさんアピールしたいという思いのあまり、なんでもかんでも詰め込み過ぎると、一番伝えたいことが陰ってしまい、全体が中途半端な印象になってしまいます。
まずは、絶対にこれはアピールしたいという点をしぼったうえで、短時間であってもパッと相手に印象付けられるようなレイアウトや伝え方を意識して作成していきましょう。
自分の実績やスキルをどのように活かせるかを伝える
ポートフォリオはただ単に、自己表現にとどまるのではなく、実際に仕事の中でどのように活かせるかまでをアピールすることでより洗練されたものとなります。
実際に仕事を受け、どのような成果を出してどのように貢献できるのかを伝えることで、さらに魅力的なポートフォリオが完成するでしょう。
職種に合ったアピールを心がける
たとえば、Webデザイナーとして活動している場合であれば、ポートフォリオはWebで作成し、その中で自分の知識や技術を発揮するのが良いでしょう。
また、紙でのデザインを手がけているのであれば、紙媒体でのポートフォリオを作成すれば、自分の得意分野を活かすことができるのではないでしょうか?
実際に獲得したい仕事がどこなのかを見据えたうえで、自分を最大限にアピールできる方法でポートフォリオを作成していくことが、案件獲得への近道となるでしょう。
まとめ
ポートフォリオはフリーランスの実績を示す大切なものです。
ポートフォリオには氏名や顔写真、学歴や職歴といった基本的なことはもちろん、これまでの成果物や対応できるスキルなど、クライアントがあなたと一緒に働いた時に感じるメリットを想像しやすいように作成しましょう。
これまで、ポートフォリオを作成せずに活動してきた人、これからフリーランスとして仕事を始めようとしている人は、ぜひ今回お伝えしたことを参考にして取り組んでみてください。
ポートフォリオを作ることにより、あなたの受注案件が増えることを願っています。
投稿者プロフィール
- 12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。
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