通訳者フリーランスの仕事とは?スキルと年収を解説

How

「観光地で英語を使って日本の良さを伝えたい」

「国際会議で外国の方が話す内容を同時通訳したい」

世界にはさまざまな言語があり、そのすべてを理解している人はいません。そのため、聴く人が分かる言語に訳す必要があります。通訳は言葉の壁を越える大切な仕事なのです。

この記事ではフリーランスの通訳として活躍するためのスキルや年収、そしてメリット・デメリットを紹介しています。フリーランスの通訳になりたい方や、単価アップを目指したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

通訳でフリーランスになれる?

通訳と聞くとどこかの会社、あるいは組織に属してチームで仕事をするイメージを持つ方もいるでしょう。通訳でフリーランスになれるのでしょうか?

通訳の仕事を受注するのに必要なスキル

通訳の仕事をするには次のようなスキルが必要になります。

  • 最新情報をキャッチする力
  • 体調を管理する力
  • 柔軟に会話する力

最新情報をキャッチする力

はじめに紹介するのは最新情報をキャッチする力です。情報収集能力やリサーチ力といってもいいかもしれません。

通訳の案件ごとに業種・職種の情報は日々飛び交っています。業界の情報はもちろんのこと、経済、地球環境など新聞やニュースで発信されているような内容はおさえておく必要があります。

通訳の仕事は単純に言語を訳すだけだと思われがちです。しかし、ベースには業界の環境や国内外の情勢を知っている必要があるのです。

体調を管理する能力

二つ目に紹介するのが体調を管理する能力です。通訳の仕事は翻訳とは違い、決められた時間に決められた場所に行く必要があります。体調が良くないと思うように仕事ができません。

もちろん一度受注した仕事を体調不良という理由で断るのも難しいものです。

また、「体調が悪くても仕事はできる」と無理をした場合、たとえば旅行ガイドの仕事をしたときにお客さんに風邪をうつしてそのまま本国まで持ち帰らせてしまうリスクもあります。後々無用なトラブルを避けるためにも、日頃から万全の体調でいることを心がけましょう。

柔軟に会話する力

三つ目に紹介するのは柔軟に会話する力です。いわゆるコミュニケーション力と呼ばれるものです。

「コミュニケーション力が高い人」と聞くと「よく喋る人」と思う方もいるかもしれませんが、決してそのような意味ではありません。打ち合わせや現場でクライアントの要望を聞いたり、話す人の意図を汲み取ったりする傾聴力が必要となります。

また、ただ話を聴くだけでは何も解決しません。相手の要望に応えられるスキルも大切なのです。この力は通訳という仕事に限らず必要な力です。

通訳者フリーランスの平均収入は?

通訳者フリーランス平均的な収入はどの程度なのでしょうか?

経験年数やスキルでわけると、一つの仕事(1日)の料金は表1のようになります(※1)。

表1.通訳者の労務費

クラス一般的な価格帯/日備考
Sクラス8万円〜12万円【経験15年以上】 医療・金融・ITなど、 専門分野に精通
Aクラス5万円〜8万円【経験10年以上】 分野を問わず 的確な通訳が可能
Bクラス3万円〜6万円経験5年以上】 一般的なビジネス知識があり、 同時通訳にも対応
Cクラス2万円〜5万円【経験3年以上】 日常会話レベルの 逐次通訳が中心

表1.はあくまでも通訳にかかるすべての労務費です。この労務費をもとに次の条件で年収を計算します。

  • 通訳者フリーランスへの支払いは労務費の60%
  • 月間20日✕12か月労働

一つ目の条件を適用すると、各クラスの1日の報酬は次のようになります。

  • Sクラス:5万円〜7万円
  • Aクラス:3万円〜5万円
  • Bクラス:2万円〜4万円
  • Cクラス:1万円〜3万円

そして、二つ目の条件を適用すると、各クラスの年収は次のようになります。

  • Sクラス:1,200万円〜1,700万円
  • Aクラス:   700万円〜1,200万円
  • Bクラス:   500万円〜1,000万円
  • Cクラス:   250万円〜   700万円

ステップアップして専門性をあげるもいいですが、最低限の生活であればBクラスやCクラスの単価でもできるかもしれません。

とはいえ、平均年収351万円(※2)というデータもあるため、決して簡単に稼げる仕事ではありません。

(※1)アイミツ「通訳会社の平均費用と料金相場|早見表つき【2023年最新版】
(※2)doda「平均年収ランキング

通訳者フリーランスのメリット・デメリット

通訳者フリーランスのメリットとデメリットは何でしょうか?

メリット

一つ目のメリットは好きなクライアントの好きな案件に応募できることです。
会社員だと管理職が仕事の割り振りをするため、自分で仕事を選べません。しかし、フリーランスであれば好きな仕事を獲得すれば、スケジュールを自分の好きな仕事で埋めることもできます。

二つ目のメリットは毎日決まった時間に決まった場所に通勤する必要がないことです。
会社員であれば通訳の仕事がない日でも所属する会社のオフィスへ行かなければなりません。しかし、通訳者フリーランスなら通訳をするときに現場へ行く必要はあるものの、その他の作業は自宅など好きな場所でできます。通勤の必要もないため、時間を有効に使えます。

もちろん社内の煩わしい人間関係に悩むこともありません。

三つ目のメリットは自分次第で収入は青天井であることです。
会社員であれば会社の評価制度とそれに則った給与体系があり、急に下がることもなければ急に上がることもありません。しかし、通訳者フリーランスなら自分の頑張り次第で単価を上げたり、労働時間を増やすこともできます。

デメリット

一つ目のデメリットは稼げるようになるまで時間がかかることです。
はじめの頃はなかなか案件が獲得できなかったり、獲得できても単価が安かったりするでしょう。

二つ目のデメリットは仕事ができなくなると収入がなくなることです。
フリーランスは体が資本です。会社員のように「年次休暇」はありません。しかも、体調不良が理由でも突発で仕事をキャンセルすれば、信用問題にかかわるでしょう。

三つ目のデメリットは休日という概念がないことです。
フリーランスは、いつ働くかもいつ休むかも本人の自由です。そのため、自分の中で休日を設定しないといつまでも休めません。稼ぎたくて休むことなく仕事をしていると、急に体調を崩すこともあります。自ら休日を設定し、適宜リフレッシュするようにしましょう。

おすすめの言語は?

通訳が訳す言語はさまざまです。ここでは修得するのにおすすめの言語を三つ紹介します。

一つ目は英語です。
英語は今も昔も世界で最も使用されているエリアの広い言語です。外国語=英語というイメージは一昔前ほどではありません。しかし、今日でも世界の共通言語として通用するのは間違いないでしょう。

二つ目は中国語です。
中国語は英語に次いで世界的に有名な言語。中国語を使用するのは中国本土に加えて台湾やシンガポールなど約13億人もいるのです。中国は一時期ほどの経済成長の勢いはありませんが、それでも人口が多く世界の中で経済的に影響力の大きい国であるのは間違いないでしょう。

三つ目はフランス語です。
フランス語はフランス本国以外にもアフリカや東南アジアでも使用されており、使用されているエリアの広さは英語に次ぐレベル。そのため、修得すれば広い範囲で通訳の仕事ができるのです。

【通訳者】フリーランスになる手順

はじめに外国語に関する大学や専門学校でベースとなる語学力を身に着けます。その後通訳者の養成スクールで実務を学びます。

その後会社に入社すれば会社員として、個人で仕事を受注すればフリーランスとなれます。フリーランスで仕事をするには通訳エージェントに登録する必要があります。

しかし、なかなか登録テストに合格できない場合もあるかもしれません。そのような時はクラウドソーシングサイトで案件を受注して実績を積んでから、再度チャレンジしてもいいかもしれません。

まとめ

この記事では通訳者フリーランスとして活躍するためのスキルと年収、そしてメリットやデメリットを紹介しました。

通訳は他のフリーランスと職種と違い非常に専門性の高い仕事です。未経験からはじめるにはハードルが高いかもしれません。しかし、思い切ってチャレンジした先にはあなたが思い描く未来が待っています。

その未来を掴めるかはあなた次第。この記事を参考に、ぜひ通訳者フリーランスにチャレンジしてみてください。

投稿者プロフィール

廣石健悟
廣石健悟
12年の会社員経験(メーカーの機械設計など)を経てフリーライターになりました。会社員の良さ、フリーランスの良さそれぞれを実際に体験しています。記事執筆の他にインタビュー、取材(写真撮影含む)もできます。

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