近年、新型コロナウィルスやロシア情勢の影響で、今まで以上に日本の経済が厳しくなり、ものの見方が変わってきました。物価が上昇したことで家計が苦しくなったり、今の働き方に疑問を感じ、これからの仕事を見直している人が多いのではないでしょうか。
そんな中、働き方のひとつである”フリーランス”が注目されています。自由度が高く、自分が好きな仕事ができるため、やりがいを感じながら活躍している人が増加しています。
しかし、その反面、源泉徴収や請求書の発行は、慣れていない作業のため”大きな壁”となっています。そこでこの記事は、フリーランスになるなら知っておきたい源泉徴収の仕組みや、請求書を作成するときの注意点について解説します。フリーランスとしてこれから働きたい方や副業で収入を得ている人でも、源泉徴収の知識を把握できれば、不安を感じずにクライアントから仕事を請け負うことができます。ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
フリーランスに関係する源泉徴収制度とは?
副業が一般的になり、フリーランスとして開業届を出している人が増加しています。そこで気になるのが”税金”や”源泉徴収”です。フリーランスとして、これから活動していきたいと考えている人は、源泉徴収制度について理解しておきましょう。
源泉徴収とは
そもそも源泉徴収について、きちんと理解しましょう。源泉徴収とは、報酬を支払う側が、報酬を受け取る個人の代わりに所得税を納める仕組みのことです。しかし、所得すべてが所得税の対象となるわけではありません。そのため、適用される所得に対してどれだけの所得税を収めるべきなのか、決められた計算方法で算出し、差し引きます。
一般的に、会社に属していれば、会社が給与から自動的に天引きをして納税してくれています。しかし、会社に属していない個人事業主やフリーランスの方の場合には、取引相手が源泉徴収義務者なのか確認をし、必要によっては自分で申告する必要があるので注意しましょう。
源泉徴収制度とは
源泉徴収制度とは、会社に属していないフリーランスが納めるべき所得税を取引相手のクライアントに天引きしてもらい、代わりに納税してもらう制度のことをいいます。基本的には、フリーランスは自ら所得税を申告して納付する「申告納税制度」を利用します。しかし、クライアントが報酬を支払う際に、所定の所得税の額を計算し、徴収して納付するケースがケースが増えています。フリーランスは仕事を請け負う際に、源泉徴収をしてもらうのか必ず確認をして取引を進めるようにしましょう。ただし、 源泉徴収税額は概算のため、納めすぎていた場合には、税金が還付されるので覚えておきましょう。
源泉徴収の対象となるもの
源泉徴収には、対象になる仕事とそうでない仕事があります。対象になる仕事の代表例に、原稿の報酬やデザインの報酬などがあります。以下に、源泉徴収の対象となる仕事をまとめたので、自分の仕事が対象となるのか確認してみてください。
- 原稿料やデザイン料、講演料
- 弁護士、公認会計士、司法書士等へ支払う報酬
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
- プロのスポーツ選手やモデルなどに支払う報酬
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- 映画や演劇などの芸能、芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
- 宴会等で接待業務をするコンパニオンに支払う報酬
- 契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
詳しい要件は税理士やクライアント先に確認の上、請求書を発行しましょう。
源泉徴収の対象となる所得は?
源泉徴収される所得は給与所得に限りません。利子所得なども報酬対象になるので、事前に確認しておきましょう。
給与所得に含まれるもの
給与所得は源泉徴収の対象になりますが、含まれるのもが何か知っておきましょう。残業手当や休日手当、扶養手当や住宅手当も給与所得に含まれます。賞与も給与所得に含まれるため、覚えておきましょう。
利子所得
報酬の支払いを受ける際に生じる、利子所得も源泉徴収の対象になります。一律15.315%の税率を乗じて算出したもので、所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。
源泉徴収と消費税との関係は?
源泉徴収税額を計算する際に気になるのが、”消費税”を含めるかどうかです。原則、請求書を発行する際には消費税を含めた金額で請求を行うため、消費税は源泉徴収の対象となります。ただし、作成する請求書によって、報酬額と消費税額を区分した場合は、消費税を除いた報酬額のみを源泉徴収の対象にすることも可能です。
例えば、請求書に「報酬1万円」と「消費税1,000円」と区別して記載されている場合には、源泉徴収税額の計算は報酬のみが対象となります。1万円 × 10.21% = 1,021円となります。しかし、復興特別所得税額の関係で、報酬が100万円以下と100万円を超える場合で計算方法が異なるため、心配な方は専門のソフトを利用したり、税理士に相談することをおすすめします。
フリーランスが請求書を作成するときの注意点
フリーランスとして活動している場合、もしくはこれから始める仕事が源泉徴収の対象になる場合には、請求書の発行が必要です。ここでは、初めて請求書を作る方に向けて、請求書を作成するときの基礎や注意点を紹介します。
記載するべき項目
請求書を発行する場合には、エクセルなどで作る方法や簡易ソフトを利用する方法などがあります。自分がやりやすい方法を選択して、作成していきましょう。
その際、請求書に記載するべき項目は以下の7つです。
- 請求書作成者の氏名または名称
- 取引先(請求書を受け取る業者)の氏名または名称
- 日付
- 取引内容
- 取引金額
- 支払期日
- 振込先
記載漏れがないように、必ず確認してから項目を埋めていきましょう。また、取引先によっては請求ソフトを指定されるケースもあるため、作成する前に確認することをおすすめします。
仕事に対する報酬・金額の書き方
取引金額を記載する際、「¥」「円」のどちらの書き方にするか迷われる方がいます。正式なルールは決まっていませんが、注意点としてどちらかに統一をするようにしてください。
また、3桁ごとに「,」を付けましょう。
例)1000円ではなく、1,000円
消費税の書き方
請求書を発行する際、基本的に税込金額と税抜価格、消費税額の3つを記載するのがベターです。契約している条件によって異なりますが、税抜価格で記載する場合は、消費税を記載するべきなのかクライアント先に確認しましょう。
源泉徴収税の有無
フリーランスが法人の取引先と契約をした場合、源泉徴収税は請求書に記載を行い、取引先経由で国に納付してもらいます。そのため、報酬金額から源泉徴収税額が差し引かれた金額が入金されます。
クラウドワークスなどで仕事を請け負う場合、この源泉徴収税の有無を選択することが可能です。多くの企業は源泉徴収義務者になっているため、源泉徴収してもらうに”チェック”をつけるのがいいでしょう。
ちなみに、この源泉徴収税額ですが、確定申告書を作成する際に必要になるため、取引先から支払調書を手に入れ、管理する必要があります。
インボイス制度
インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式で、今年2023年10月1日から導入されます。インボイス制度導入後は、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を企業がクライアントに発行し、双方が適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除が適用されるようになります。
万が一適格請求書が発行されていない場合、クライアントは仕入税額控除が適用されないため、売上時に受け取った消費税額をそのまま支払わなければいけないデメリットが生じてしまうので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、フリーランスになるなら知っておきたい源泉徴収の仕組みや、請求書を作成するときの注意点について紹介してきました。フリーランスは、クライアントから請け負う仕事によっては、請求書に源泉徴収税額を記載する必要があります。今回紹介した源泉徴収の対象となるものを参考にし、自分の仕事が対象になるのかどうか事前に確認することをおすすめします。企業によっては、請求書を作成できるソフトを指定してくるケースも多くあります。簡易的に請求書を作ることができるので、必要に応じて指定ソフトがあるのか確認したり、注意点を把握しておきましょう。
投稿者プロフィール
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私は10年以上にわたり、デザイナーとしてのキャリアを積んできたフリーランスデザイナーです。デザインの魔法に魅了され、クリエイティブなアイデアを実現することが私の情熱です。
さまざまなデザインプロジェクトに携わり、ロゴ、ウェブ、印刷物、パッケージなど、多岐にわたる分野での経験を積んでいます。美しさと実用性を融合させ、クライアントのビジョンを実現するお手伝いを心から楽しんでいます。
クライアントとの協力を大切にし、オープンなコミュニケーションを通じて共にプロジェクトを築き上げます。納期を守り、高品質な成果物を提供することをお約束します。
私のデザインはビジネスに魅力を与え、ブランドを輝かせます。クリエイティブなアプローチと柔軟性を大切にし、クライアントの期待をいつも超えることを目指しています。一緒に素晴らしいプロジェクトを実現しましょう。
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