フリーランスという働き方でトラブルに巻き込まれないためには?覚えておきたいポイントを徹底解説!

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近年、社員という働き方を離れ、フリーランスとして働く人が多くなりました。フリーランスと聞くと、自由なイメージがあったり、きらきらとしていたりと華やかな印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

フリーランスは企業に所属せずに、企業から仕事を請け負う「委託」という働き方です。そのため、契約や報酬の請求、トラブルの解決など全て自身で解決する必要があります。トラブルに巻き込まれないためにも、しっかりとしたフリーランスの知識を身に付けることが重要です。

この記事では、トラブルに巻き込まれないためのポイントや契約に必要な業務委託契約書の注意点など、フリーランスで働くうえで必要な情報を紹介します。

フリーランスはなぜトラブルに巻き込まれやすいのか

フリーランスという働き方は、自由に仕事ができるというプラスの部分がある反面、トラブルに巻き込まれてしまう可能性が大きいというマイナスな面を持っています。

フリーランスの働き方は、企業の正社員として業務を行うのではなく、個人で契約書を交わし、全て個人の責任で行動することが特徴です。

そのため、会社員のように組織に守られているわけではなく、全て自分で判断しなければなりません。「法律や契約内容の理解不足」「業務に対する認識の違い」「信頼不足」など、多くの要因がトラブルの原因として挙げられます。

フリーランスとして働く以上は、トラブルに巻き込まれないように最善の注意を払う必要があるでしょう。

業務委託契約とは

業務委託契約とは、企業が自社業務の一部を外部へ委託する際に結ぶ契約のことです。業務委託には「請負」「委任」「準委任」の3つの種類が存在します。

請負

請負契約は業務の受注者が仕事の成果に責任を伴う契約です。決められた時間や決められた工数分の仕事をこなしたとしても、報酬は発生せず、業務を完了することではじめて報酬が発生します。

建物の建設が完了したら報酬が発生する建設業や荷物を送り届けたら報酬が発生する運送業などに採用されることが多い契約形態です。

委任

法律行為に関わる行為を委任する際に使われる契約形態です。主に弁護士や税理士に業務を委任する際に使われる契約形態となっています。仕事の受注者(受任者)は業務の結果に責任はありません。決められた時間や決められた工数分の業務を行うことで報酬を受け取ることができます。

準委任

業務の一部を外注する際に使われる契約で、発注者が受任者に法律行為以外の事務を委任する契約形態です。委任契約と同じく、業務の結果に責任はないため、決められた時間、工数の業務を行うことで報酬が発生します。

例を挙げると、医師に診察を受ける場合やコンサルタントにコンサルティングを受ける場合などが準委任に該当します。

業務委託契約書には何を書いたらいい?

業務委託契約を交わす際に「業務委託契約書」の作成が必要になります。業務委託契約書を作成する理由としては、委任者と受託者の双方が契約内容を確認できるようにするためです。

業務委託契約書の中身として、以下の内容を記載する必要があります。

業務内容

契約形態

契約期間

報酬

支払い条件

秘密保持

契約解除の条件

禁止事項

契約書を交わす際は、これらの内容が詳しく記載されているかをしっかりと確認するようにしましょう。

業務委託契約を結ぶときの注意点

業務委託契約を結ぶ際に気を付けなければならないことがいくつかあります。ここでは業務委託を結んだ後に「失敗した!」ということがないように注意点を解説していきます。

契約内容をしっかりと確認する

業務委託契約を結ぶ際には、契約形態や業務の内容などを確認する必要があります。業務委託といっても請負契約、委任契約、準委任契約によって内容は大きく変わるものです。後々、「思っていた契約内容と違った」「余計な業務が増えた」などの問題が起きないようにしっかりと契約内容を把握するようにしましょう。

業務委託契約の期間を確認する

業務委託契約の種類によっては契約期間に期限がある場合も考えられます。成果物を納品したら契約終了というパターンもあるので、契約の有効期限をしっかりと確認することが大切です。期限に定めのある契約なのかをしっかりと確認するようにしましょう。

支払い方法や支払いタイミングなど、報酬に関することを確認する

業務委託契約では、報酬面に関するトラブルが多くなりやすい傾向にあります。どのような業務を行うと報酬が発生するのか、報酬の支払われるタイミング、支払い方法など、報酬面の確認は怠らないようにすることが大切です。

納品物がある場合の納品期限を確認する

業務委託契約において、成果物に対して提出期限が設けられる場合があります。提出期限に間に合わない場合、報酬がもらえないというケースも考えられるため、業務依頼から納品までの期間をしっかりと確認するようにしましょう。

万が一納品期限に間に合わなかった場合にどのような対応がなされるのかをあらかじめ確認しておくことも大切です。

経費の請求範囲

業務委託契約で仕事を依頼された場合、業務に付随する経費は請求できる場合があります。しかし、全額請求できるとは限らないので、どこまでが請求範囲なのか確認しておくことが大切です。あとになって請求できない経費だったということも考えられるので、損しないためにも請求範囲の確認は怠らずに行いましょう。

反省に学ぶ「契約関係でトラブルになった」事例

業務委託契約でトラブルになってしまったという人も多いです。事例を見て、同じ失敗をしないように頭の中に入れておくとトラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、トラブルになってしまった事例を挙げていきますので見ていきましょう。

トラブル①報酬の未払い

フリーランスという働き方は自由に働ける反面、相手方とのトラブルも目立ちます。例を挙げると、ひとつめが「報酬の未払い」です。契約した仕事内容が完了しているにもかかわらず、報酬が未払いであったり、目標を達成できていないことや納品したものが求められた水準に達していなかったなどの不利な状況化を理由に報酬が未払いとなるケースです。こういったフリーランスに不利となる状況を打破するため、フリーランスを保護するためのガイドラインが策定され、雇用関係でなくとも、仕事を発注する事業者は正当な理由がなく報酬を著しく低く設定したり、支払いを遅延させる行為は、独占禁止法の優越的な地位の濫用にあたると明記しています。実際に報酬が未払いとなった場合、額が少ないこともあり民事裁判を起こさず泣き寝入りするケースも少なくありません。

ふたつめが「支払いの遅延」です。報酬の支払いを失念していたケースであれば、問い合わせることですぐに解決することができるでしょう。しかし、意図的に遅延させていた場合、催促しても支払いが一向にされないケースや支払われることなく、音信不通になってしまうケースもあります。こういった、相手方とのトラブルを回避するためにも、契約書を締結することを推奨します。

トラブル②業務内容の認識齟齬

契約を交わす前に、業務内容の認識齟齬が発生しないようにすることも大切です。取引相手によっては、契約内容に明記されていないことをいいことに、最初に提示した報酬額よりも減額した報酬額にされてしまう可能性もあります。

例えば、事前に話していた業務内容と実際の内容が異なっていたり、報酬額が変わらずに聞いていた話以上の仕事を振られるケース、修正依頼が多くなかなか高い報酬をいただけないなどがあります。仕事を頂いている以上、なかなか追加業務を断れず、安く請けおってしまうことも珍しいことではないでしょう。フリーランスの場合、会社員ような労働者とは異なり、残業代が発生しないため、仕事の内容と報酬金額が見合っていない場合には、時間だけを無駄にし、自分の首を絞めてしまうため、きちんと見合っている報酬なのか事前に把握することが大切でしょう。フリーランスが業務委託を受ける場合には、受託した仕事を「完成させる」ことで報酬が発生する請負契約と受託した仕事を「完成させる」ことで報酬が発生する準委任契約のどちらで契約を結ぶのか、しっかり認識にズレがないように、必要であればクライアントに確認をしておきましょう。SNSでさまざまな情報を取り入れられる現代において、SNSやDMのみで仕事の受注をすることも多くなってきました。DMや口約束だけで安心するのではなく、必ず業務委託契約書などを締結し、明確な文書で残しておくと何かあった時に役立ちます。

トラブル③損害賠償

フリーランスで活動していると、トラブルをきっかけに損害賠償で訴えられる可能性があります。損害賠償とは、他人に損害を与えたため被害者に対してその損害を填補することを指します。フリーランスがトラブルをきっかけに訴えられたり訴えるケースとしては、業務を遂行している上で過失によって先方もしくは自分に不利益が及んだ場合です。その行為自体が意図的であったかも重要となりますが、意図的だった場合には、賠償責任は厳しいものになる傾向にあります。主に損害賠償の原因になるケースは下記のようなものが挙げられます。

  • 情報を漏洩してしまったケース
  • 著作権を侵害してしまったケース
  • 納品物が欠陥しているケース

一つずつ簡単に紹介していきます。

情報を漏洩してしまったケース

フリーランスがクライアントと契約した業務を行ううえで、外部には決して流出してはいけない情報を扱うことは少なくありません。この知り得た情報や企業秘密を、外部に流出させるようなことは禁止されています。意図的ではなかったとしても、パソコンの紛失や大事な情報を盗まれるようなことがあった場合には、情報漏洩と判断され損害賠償を請求される可能性があります。フリーランスの場合には自宅や自宅以外のオフィスやカフェで作業をすることも多いため、仕事で扱う情報の取り扱いには注意が必要です。

著作権を侵害してしまったケース

フリーランスで活動している人の中には、フリー素材を扱うことも多いでしょう。知らぬ間に「侵害するリスク」や「侵害されるリスク」が隣り合わせになっていることを忘れないようにしましょう。特にフリー素材ではない画像を無断で掲載したり、文章を転載することは著作権の侵害にあたり、損害賠償を請求される可能性があります。エンジニアの場合には、すでにA社に著作権を譲渡したソースコードを使ってB社に全く同じソースコードを納品するケースも禁止されています。これくらいなら許されるだろうは通用しないため、身近なところに著作権侵害の可能性があることは意識しておきましょう。

納品物が欠陥しているケース

先でも紹介したように、目標を達成できていないことや納品したものが求められた水準に達していなかったなどの不利な状況化を理由に報酬が未払いとなるケースの他に、求められたものが提出できずに発生した損害に対して賠償責任が生じてしまうケースもあります。

フリーランスは不利な状況化に陥りやすいため、仕事を請け負う前に納品物における責任の範囲や修正に対応する期間などを確認しておくことをおすすめします。大きなトラブルに発展させないように、自分の身は自分で守りましょう。るためにも。

収入の不安定さ

フリーランスは正社員と違って、収入が安定しないという特徴があります。成果物の納品後、報酬の支払いに思ったより時間がかかったということも見受けられ、資金繰りに失敗してしまうパターンも考えられます。契約によって支払いサイクルは異なるので、その都度確認することが大切です。フリーランスの仕事量の調整は、基本的に自身でコントロールする必要がありますが、タスクを管理をしながら案件の受注と報酬の支払いなどを見越して、マーケティングを行いスケジュールを調整していく必要があります。収入アップを狙って過密なスケジュールになることはおすすめできませんが、事業が継続できるように仕事を引き受け続けなければ、一定の収入を確保し続けることは難しいでしょう。作業のスタート時期や納期が大幅に前後するようなことがあった場合には、フリーランスが相談できる窓口などに相談することも検討してみてください。

急な仕事のキャンセル

フリーランスにとって仕事がなくなるということは大きな問題です。クライアントの規模によっては生活に支障をきたすことも考えられます。特に大きなプロジェクトだった場合には、その仕事のために労働時間を確保していた期間も浮いてしまい、損失となります。当たり前ですが、収入にはつながらないため、新しい仕事を受注したり営業を行う必要があります。どんなに計画的に仕事を請け負っていても、急な仕事のキャンセルが発生してしまうことは想定しておくのがいいでしょう。急な仕事のキャンセルがあっても困らないように、資金操りは誰かに相談しながら進めるのもおすすめです。

特に、取引先の都合によるキャンセルの場合は、機会損失を生んでいることから報酬の一部をクライアントに負担してもらう交渉をすることも可能です。しかし、その交渉自体がトラブルに発展するケースも少なくないため、クライアントの事情も考えられますが、仕事の急なキャンセルで損害が出た場合は、フリーランスが相談できる窓口などに相談するのがおすすめです。

トラブルを回避するためにできる事

フリーランスとして働く人のほとんどは多くの失敗を経験しています。おそらく全く失敗しないという人はいないはずです。失敗を経験し、学んで自身の働き方を確立させていきます。

トラブルに巻き込まれたくないという気持ちから恐れすぎるのもよくありません。いままでのトラブルの事例や先人たちの失敗談を頭に入れておくことで、回避できるトラブルも大いにあります。

トラブルをあらかじめ回避するためには「先人たちのトラブルを参考にする」ことが1番の解決策といえるでしょう。

いざトラブルに巻き込まれてしまったら

トラブルに巻き込まれないよう十分に気を付けていても、避けられない場合も考えられます。トラブルに巻き込まれてしまった時にどのような対処をすればいいのか分からないという方も多いので、トラブルに巻き込まれてしまったときの対処方法を見ていきましょう。

フリーランス・トラブル110番

厚生労働省を中心として各省庁と6000人以上の会員数を誇る大規模弁護士会「第二東京弁護士会」がタッグを組んだ相談窓口が「フリーランス・トラブル110番」です。

厚生労働省から委託を受けて事業を行っていることもあって相談費用は無料となっており、フリーランスにとっては優しい相談窓口となっています。

契約に関するトラブルや報酬の未払い、ハラスメント行為など多くのジャンルの相談に乗ってくれる窓口です。

公益財団法人日本税務研究センター

確定申告や税金など、財務関係の相談をすることができる窓口です。電話相談が無料なので聞きたいことを気軽に相談することができます。

法人税や所得税、贈与税など、幅広い税関係の相談ができるので覚えておくといいでしょう。

法テラス

法テラスとは、法務省が運営している法的トラブルを解決するための総合案内所のことを指します。法テラスの利用料は無料で、WEBフォームからの問い合わせ、もしくはサポートダイヤルに問い合わせると、専門のオペレーターに繋がり相談内容に応じて、相談機関・団体を紹介したり、法制度について案内をしてくれます。法テラスは全国各地に事務所を設けており、各県庁所在地には法テラスの支部・出張所も設置されています。電話面談だけでなく、法テラスの出張所に出向き面談をしたり、内容に応じて適切な相談窓口の案内を電子メールで受け取ることも可能です。相談できる内容としては、クライアントとの契約や支払いに関するトラブルの相談を中心に、法的な対処方法や適切な相談機関、弁護士会、司法書士会、地方公共団体の相談窓口などの団体の紹介なども適用し行ってくれます。無料法律相談や弁護士費用を立替る民事法律扶助制度を利用できる可能性もあります。

業務委託契約書はどのように取り扱ったらいいのか

業務委託契約を結んだ場合、契約書の取り扱いには十分注意しなければなりません。業務を委託した企業「委託者」と委託された側「受託者」双方に保管する義務があります。また、契約書は契約期間中はもちろんのこと、契約期間終了後も保管が義務付けられているため、しっかりとした保管が必要です。

「事業に関する重要な資料」に該当する契約書では「10年」、税務関係の帳簿や契約書では「7年」の保管が必要とされています。

保管する方法としては

紙で保管

PDFとして保管

電子契約書として保管

の3パターンがあります。決まりがない限りはどの保管方法が正解というものはないので、自身で紛失するリスクが低い保管方法での保管がおすすめです。

また、領収書などにも保管期間が設けられており、青色申告の場合は「7年」、白色申告の場合は「5年」と定めがあるので注意しましょう。

まとめ

この記事ではフリーランスでトラブルに巻き込まれない方法や巻き込まれてしまった場合の対処法などを解説してきましたがいかがでしたでしょうか?

個人の働き方が多様化し、フリーランスとして活動する人が非常に多くなりました。業務委託契約で、失敗しないためにも、最低限の法律の知識を把握しておくのがいいでしょう。

先人たちの失敗例や概要を参考に、同じ過ちを犯さないように意識して活動していくのがおすすめです。

投稿者プロフィール

Ryonta

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