番外編3直帰率って何？？│初心者でも理解できるようGoogleアナリティクスを徹底解説「直帰率とは」

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GA4で直帰率を正しく理解する初心者向けガイド

ウェブサイトの成果を測る上で「直帰率」は非常に重要な指標のひとつです。しかし、Googleアナリティクス4（GA4）では従来の直帰率の概念が変化しており、初めてウェブ解析に触れる方にとっては混乱を招くことも少なくありません。本記事では、直帰率の基本的な意味から、GA4における新しい定義、エンゲージメント率との違い、具体的な確認手順、そして直帰率が高い際に考えるべきポイントまでを、専門家の視点を交えながらわかりやすく解説します。数値の背景にある「なぜ」を理解することで、より効果的なサイト改善につなげましょう。

そもそも直帰率とは何を意味するのか

まず「直帰率」という言葉が何を意味するのかを正しく理解することが、ウェブ解析を始める上での第一歩です。直帰率とは、ユーザーがウェブサイトに訪問した際に、最初のページだけを閲覧してそのまま離脱してしまった割合のことを指します。つまり、他のページには一切遷移せず、サイト内での行動が1ページのみで終わったセッションが「直帰」としてカウントされます。

この指標は、ユーザーがそのページに満足せず早々にサイトを離れてしまったか、あるいはそのページだけで十分な情報を得たかのいずれかを意味する可能性があります。一見すると直帰率が高い＝悪いという印象を持たれがちですが、実際にはコンテンツの種類やユーザーの意図によって一概に評価することはできません。たとえば、営業時間やアクセス情報を調べるためだけに訪れたユーザーが、トップページだけを見て情報を得た場合も直帰としてカウントされますが、これは必ずしもネガティブな結果ではないのです。

つまり、直帰率を評価する際には、単なる数値の高低だけでなく、その背後にあるユーザーの行動や意図を分析する視点が欠かせません。実務においては、ページの種類や目的、ユーザーの導線を踏まえた上で、直帰率をどのように解釈するかが問われるのです。

GA4では直帰率がどう変わったのかを理解しよう

従来のGoogleアナリティクス（ユニバーサルアナリティクス）では、直帰率は標準で表示される主要指標のひとつでした。しかし、GA4ではこの直帰率という指標がデフォルトでは存在しておらず、「エンゲージメント率」という新たな概念が代わりに取り入れられています。

GA4では当初、直帰率という指標は存在しませんでしたが、2022年7月のアップデート以降は「探索」やカスタムレポートで「直帰率」を追加して表示可能 になりました。GA4における直帰率は「エンゲージメントが発生しなかったセッションの割合」と定義されています。

ここで注意したいのは、GA4における「エンゲージメントがなかったセッション」とは、特定の条件を満たさなかったセッションであるという点です。GA4では以下のいずれかを満たすと「エンゲージメントあり」と見なされます：

エンゲージメントの条件	詳細内容
10秒以上の滞在	ユーザーがページ上に10秒以上とどまった
コンバージョンイベントの発生	定義されたコンバージョンアクションを実行した
2ページ以上の閲覧	セッション中に複数のページを閲覧した

つまり、GA4における「直帰」とは、これらのいずれにも該当しなかったセッションを指します。従来のUAと比較すると、よりユーザーの行動を細かく捉える形となっており、結果的に直帰率の定義が実質的に変化しているのです。これにより、GA4ではユーザーのエンゲージメントの有無を中心にデータを分析することが可能になり、より精度の高い判断が求められるようになりました。

直帰率とエンゲージメント率の違いとは

GA4における分析では、「直帰率」と「エンゲージメント率」という、似て非なる指標を区別して理解する必要があります。両者は表面的には反比例の関係に見えますが、その意味するところは大きく異なります。

直帰率は、先述の通り「エンゲージメントがなかったセッション」の割合です。一方、エンゲージメント率は「ユーザーがエンゲージメントを示したセッション」の割合であり、GA4が重視する中心的な指標となっています。このエンゲージメント率は、ユーザーがページ上で10秒以上滞在したか、コンバージョンイベントを起こしたか、または2ページ以上を閲覧したかを基準にカウントされます。

重要なのは、直帰率が「何もしなかったユーザー」に注目するのに対して、エンゲージメント率は「何かしらの行動を起こしたユーザー」に焦点を当てているという点です。これは従来のUAと比べて、よりポジティブな側面を重視した分析手法への転換を意味しています。特に、コンテンツ中心のサイトにおいては、ユーザーがページをじっくり読んだ結果、他のページには遷移しなかったとしても、それが価値ある訪問である可能性があります。GA4ではこうした行動もエンゲージメントとして評価されるため、より実情に即した解析が可能になるのです。

また、実務においては、この2つの指標を併用して分析することで、ユーザー行動の全体像がより明確になります。たとえば、エンゲージメント率は高いのに直帰率が高い場合、そのページ自体で十分な情報提供がなされている可能性があります。そのようなページに対しては無理にリンクを追加するのではなく、コンバージョンへの導線を強化するなど、より戦略的な対応が求められるでしょう。

Googleアナリティクス4（GA4）で直帰率を確認する手順

GA4では、ユニバーサルアナリティクスに比べてインターフェースが大きく変更されており、直帰率を確認する手順も異なります。標準レポートには直帰率が表示されないため、少し工夫が必要です。

まず、GA4の管理画面にログインし、左側のメニューから「探索（Explore）」を選択します。ここではカスタムレポートを作成することができ、自分が見たい指標やディメンションを自由に組み合わせて分析可能です。レポート作成画面では、「自由形式」や「パス探索」などのテンプレートから自由形式を選び、分析対象を設定します。

次に、ディメンションとして「ページタイトル」や「ページパス」、指標として「エンゲージメントのないセッション」を追加します。さらに、「セッション数」も同時に追加しておくと、エンゲージメントのなかったセッションの割合、すなわち直帰率を計算することができます。この割合を出すには、エンゲージメントなしのセッション数をセッション全体数で割り、100を掛けることで直帰率（%）が求まります。

このように、GA4では直帰率を直接表示する機能がないものの、探索機能を活用することで実質的に同等のデータを得ることが可能です。はじめは操作に戸惑うかもしれませんが、慣れてくると自分に必要なデータを自在に抽出できるようになりますので、早い段階で探索レポートの使い方をマスターしておくことをおすすめします。

直帰率が高いときに考えられる主な原因

直帰率が高くなる理由は一つではなく、さまざまな要素が絡み合っています。そのため、数値だけを見て一喜一憂するのではなく、原因を多角的に分析することが重要です。まず最もよく見られる要因のひとつが、ページの読み込み速度です。現代のユーザーは非常にせっかちであり、ページ表示に2〜3秒以上かかると離脱してしまうケースが少なくありません。特にモバイル環境では回線状況によってはさらに顕著になります。

次に、コンテンツの品質や構成も直帰率に大きな影響を与えます。ユーザーが求めている情報がページ内に見つからなかったり、タイトルと内容が一致していなかったりすると、すぐにページを閉じてしまう傾向があります。また、過度な広告表示やポップアップの多用もユーザー体験を損ね、直帰の要因となり得ます。

さらに、集客チャネルとのミスマッチも見逃せません。たとえば、SNS広告からの流入ユーザーがコンテンツの文脈と合っていない場合、せっかく訪問しても関心が続かずに離脱してしまうことがあります。こうした場合には、広告の見出しやクリエイティブを見直し、導入するユーザーの期待とランディングページの内容が一致するよう調整する必要があります。

最後に、内部リンクやナビゲーションの設計にも注目すべきです。ユーザーが次の行動を取りやすいよう導線が整理されていないと、せっかく関心を持っても他のページに進むことができずに直帰してしまう可能性があります。サイト全体の構造を俯瞰しながら、自然な誘導がなされているかを定期的に検証することが求められます。

これらの要因はいずれも単独で作用するわけではなく、複合的に影響を与え合っています。だからこそ、直帰率が高いと感じた際には、表面的なデータにとどまらず、その背後にあるユーザー体験を想像しながら改善策を検討することが、実務における成功への近道となるのです。

ウェブマーケターが実践する直帰率改善の具体策

ユーザー視点でのファーストビュー最適化

直帰率を改善するために、まず取り組むべきはファーストビューの見直しです。訪問者がページにアクセスして最初に目にする領域は、その後の行動を左右する重要な要素です。ここでの印象が悪ければ、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。多くの経験を積んできたマーケターは、ファーストビューに「ユーザーの検索意図と一致するメッセージ」があるかどうかを最も重視します。たとえば、検索クエリが「初心者向けSEO対策」であった場合、ページ冒頭に「SEO初心者のための実践ガイド」といったタイトルが入っているかが重要です。

加えて、視覚的な要素の最適化も欠かせません。重すぎる画像や読み込みの遅さは、ユーザーのストレスを増加させ、直帰の要因となります。画像の圧縮や遅延読み込み（Lazy Load）の導入、フォントの読み込み速度の改善など、技術的な対応も並行して行う必要があります。また、ページの冒頭に動画を配置するケースもありますが、再生ボタンが分かりにくかったり、自動再生によって音が突然鳴るような設計は避けるべきです。こうした細部に気を配ることが、直帰率の改善に直結します。

心理的ハードルを下げるCTA設計

ページ内のCTA（Call To Action）の設置も、直帰率に大きな影響を与える要素の一つです。CTAボタンが目立ちすぎてユーザーに押し付けがましい印象を与えてしまうと、訪問者はそれを嫌ってページを離脱する傾向があります。経験豊富なマーケターは、あえてファーストビューにはCTAを置かず、ページをスクロールした中盤以降に自然な流れで設置することを選びます。たとえば、サービスの特徴を丁寧に説明した段階で「もっと詳しく知る」といった控えめなトーンのリンクを設けることで、心理的な負荷を減らし、次のアクションに繋がるよう設計します。

また、CTAの数が多すぎると、ユーザーはどれを選べばよいか分からず混乱してしまいます。複数のCTAが必要な場合は、それぞれの役割と導線を明確に分け、ユーザーの目的ごとに最適な選択を提示することが大切です。例えば、「無料資料請求」や「個別相談予約」など、異なるニーズに応えるCTAを用意する際は、ビジュアルや文言に変化をつけて、ユーザーが迷わないよう配慮する工夫が求められます。

ページ別に見るべき直帰率とその分析ポイント

トップページとランディングページの違い

直帰率の分析において、ページの種類ごとに異なる視点が求められます。たとえば、トップページは企業やサービス全体の入口となるページであり、訪問者が情報を広く探っている段階であることが多いため、ある程度直帰率が高くても致命的ではありません。むしろ、他ページへの導線を適切に設けていないことが問題となります。トップページの直帰率が高い場合、ナビゲーションメニューの構成やバナーの配置、リンク先の明確さに課題がある可能性が高いです。

一方、広告や検索エンジンから直接流入するランディングページでは、直帰率の高さがコンバージョン率に直結します。このタイプのページでは、訪問者が求める情報に瞬時に応え、かつ次のアクションへと促す構成が求められます。つまり、ページ上で完結する情報設計と、自然な形でのコンバージョン誘導の両立が鍵を握ります。ランディングページで直帰率が高い場合は、検索意図とのミスマッチや、コンテンツの読みにくさ、導線のわかりにくさなどを総合的に見直す必要があります。

ページごとの直帰率比較と改善優先度

全ページの直帰率を一律に評価するのではなく、ページごとの役割を踏まえて比較・分析することが重要です。例えば、ブログ記事ページは自然検索からの流入が多く、情報収集が目的のユーザーが大半であるため、直帰率が高くなりがちです。しかし、関連コンテンツへの内部リンクが適切に機能していれば、セッションの延長や再訪の可能性を高めることができます。以下の表は、一般的なページタイプごとの平均直帰率と、改善すべき目安を示したものです。

ページタイプ	平均的な直帰率	改善が必要な目安	主な改善アプローチ
トップページ	40〜60%	70%以上	ナビゲーションの見直し、導線設計
ランディングページ	30〜50%	60%以上	検索意図との整合性、CTAの配置
ブログ記事	60〜80%	85%以上	内部リンクの強化、関連記事の提案
商品詳細ページ	40〜60%	70%以上	レビュー表示、購入導線の改善

このように、ページ特性に応じた直帰率の適正値と、改善方法を把握することで、より的確な施策が可能になります。数値だけを追うのではなく、ユーザーの行動を想像しながら分析する姿勢が、改善の質を左右するポイントなのです。

直帰率を下げるためのコンテンツと導線の工夫

ストーリーテリングによる読了率の向上

ユーザーが離脱せずにページ内を読み進めるためには、ただ情報を羅列するのではなく、ストーリー性を持った構成が効果的です。経験を重ねたマーケターは、訪問者の「悩み」から始まり、その「原因」や「背景」を説明し、最後に「解決策」や「成功事例」を提示するという流れを自然に組み込んでいます。このような構成は、訪問者にとって自身の課題とリンクしやすく、共感を得ることでページ滞在時間を延ばし、結果として直帰率を下げることができます。

また、文章の可読性にも配慮する必要があります。難解な専門用語が多用されると、初心者はすぐに離脱してしまいます。業界用語を使用する場合でも、注釈や補足を加えることで、すべての読者にとって親切なコンテンツづくりが可能になります。さらに、段落ごとに見出しを設けたり、重要な情報を太字にするなどの視覚的な工夫も有効です。

行動を促す内部リンクとコンテンツ構造

直帰率を下げるには、ユーザーが次に読むべきコンテンツへと自然に誘導することも欠かせません。たとえば、「SEO対策の基本を理解したら、次はキーワード選定について学ぶ」など、関連性の高い記事への内部リンクを文脈の中に挿入することで、訪問者の興味を維持することができます。リンク先がすぐに役立つ情報であると感じられれば、ユーザーはリンクをクリックし、セッションは継続されます。

また、ページ全体の構造にも工夫が必要です。情報を章立てして整理することで、訪問者は自分に必要な部分だけを効率的に読むことができます。特にモバイルユーザーに対しては、スワイプしやすい構成や、タップで展開できるアコーディオン形式の導入など、操作性にも配慮した設計が重要です。ユーザーの行動を想定した構造設計が、結果として直帰率を安定的に下げる鍵となります。

初心者が注意すべきGA4の設定ミスと対処法

測定タグの二重設置によるデータ誤差

GA4（Googleアナリティクス4）を導入する際、最も多いミスの一つが測定タグの二重設置です。特に、Googleタグマネージャー（GTM）を使用している場合、既にサイトに埋め込まれているGA4のタグと重複してしまい、イベントの重複記録やセッション数の過大計測が起こります。直帰率の計算はセッション数に依存しているため、誤ったデータが収集されると、実態とは異なる直帰率が表示されてしまうのです。

このような場合、まず「リアルタイム」レポートで1人のユーザーが複数のイベントを同時に送信していないかを確認します。次に、タグマネージャー内の設定を見直し、GA4タグが一つだけしか発火していないことを確認します。タグの配信条件が重なっていないか、またトリガーの設定が適切かを慎重に検証することが大切です。

イベントデータの過剰送信による直帰率の誤解

GA4では、「直帰」という概念が従来のユニバーサルアナリティクスとは異なり、「Engaged Session」が採用されています。これは、10秒以上滞在した、あるいはイベントが発生したセッションを「エンゲージメントあり」とカウントする仕様です。そのため、意図せずイベントが多く送信されていると、実際には離脱しているユーザーも「エンゲージメントあり」と誤認され、直帰率が過度に低く表示されることがあります。

このような事態を避けるためには、イベントの設計を意識的に行う必要があります。スクロールやクリックなど、ユーザーの明確な行動をトリガーにしてイベントを送信し、自動で発火するイベントの数を最小限に抑えることが重要です。特に、「page_view」以外のイベントが自動で発生している場合、それが本当に価値のあるアクションかどうかを慎重に判断すべきです。設定時には、GoogleタグマネージャーとGA4管理画面の両方を活用し、イベントの一覧と計測条件をしっかりと管理することが推奨されます。

このように、GA4の設定には細心の注意が必要です。正確なデータを収集することで、直帰率の改善に向けた施策も的確に実行できるようになります。最初の設定段階でつまずかないようにすることが、結果として効果的なウェブマーケティングの第一歩となるのです。

監修者

松本慎太郎Cyvate株式会社 代表取締役

株式会社マクロミルに入社し、FMCG領域のデータ分析業務に従事。
その後トランスコスモスに転職。大手金融機関におけるWEBディレクション業務に従事。
その後、業務委託にて大手通信事業会社のDXコンサルティングに従事する。
Cyvate株式会社を設立し、累計100社以上のWEBマーケティング支援を行う。

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